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実際我が身に降りかかる定番のネタは憎たらしい

 イケメンハーレム体質の幼馴染をもつ地味な女の子の召喚巻き込まれ時の回想。

 女の子が語ってるだけです。




 今から五年前の私は、花も恥らうようなセーラー服が似合う女の子だった。 

 そこ。誇大表現だとか言わない!

 気分的にはまだまだまだ、十分すぎる程初々しくジューシーな果実だったんだから。何か表現がおかしいって?

 おかしくなーいよー。だって今だってセーラー服似合うものー。

 なんたって、日本人は童顔だからね。五年前は十代前半の私でも、五年経てば十代後半。もうじき二十だよ。お酒も飲めちゃう年だよ。

 ここだと、12歳の時から飲めるらしいけどやっぱり、私にとっての成人は20歳だね。何たって日本人ですから。

 身長が155cmしかない所為で、未だに成人前に勘違いされたりもするけど断言しよう。ここの連中が高すぎるだけだと。

 さっきから表現がおかしいって?

 12歳からお酒が飲めるなんて聞いた事が無い? 外国にでも行ったの?って??


 ………。


 ある意味外国だよねー。

 性質悪いけど。


 そうそう。

 よく小説ネタになってる異世界トリップって知ってる?

 そりゃ知ってるってそうだよね。文字読む人間なら大体は知ってるよね。定番中の定番だよね。

 じゃ、幼馴染がイケメンでモテモテで自然ハーレム作っちゃうっていうのは?

 あぁ定番だねって。私もそう思うよ。

 それじゃーイケメとは対照的に、幼馴染は冴えない男、もしくは女っていうのは?

 やはり定番ですか。

 まぁ、近所なんて偶々帰りが一緒になっちゃって、イケメンハーレムが勇者召喚の儀式か何かで呼び出されちゃって。

 おまけとばかりに召喚に巻き込まれた幼馴染はお払い箱。門前払いっていうか、ポイ捨て?

 なんだこの汚いのは!って怒られてね。

 え? 何?? 地球に帰してくださいよ。っていう当たり前の言葉は右から左へと軽く流される。

 脳みそに皺がないんですかー?

 その頭は飾りですかー?

 必死の叫びも虚しく城門の外へと捨てられて。その間、勇者として召喚された幼馴染はもてはやされ、こっちの事は眼中外。

 元々眼中にも入ってなかったみたいだけど。

 せめて少しは視界に入れろよ。と文句を言ってみた所で、召喚先の姫様から強烈アプローチを受けているイケメンハーレム体質な幼馴染は気付かない。

 ゴージャスなお姫様も、地味な幼馴染が素敵な勇者様にくっつくのが気に入らなくて、態と幼馴染を別室に連れちゃっていったりね。

 もう少し恥じらい持とうよ。姫様っていう人種に夢を見させてよ。

 見させてくれないけど。

 

 そんなわけで、城門の外へと放り出された通行人Aの役割さえ与えられなかった地味な幼馴染。

 

 ん? もう一つの定番??

 実は、そのイケメンハーレム体質の幼馴染が、地味な幼馴染激ラブ?


 ……色々と夢見すぎだと思うよー。


 清楚で可憐な正統派美女もハーレムの一人になっちゃうような、イケメンでハーレム体質な幼馴染だよ?

 それが、十把一絡げな幼馴染に恋をするとでも??


 ちなみに、地味な幼馴染代表としては…。

 何? 代表にいつなったと?

 自分の中じゃ自分が代表ですよ。口に出さないけど。

 そして同じ年の幼馴染がその地味な子一人ってだけで、近所にはお綺麗なAランクやSランクのお姉様方や、将来有望な光源氏計画を持ち出されそうな可愛らしい美少女なんかがいるわけですよ。

 分類的に、それも幼馴染だね。同じ年じゃないってだけで。

 その後小説なんかだと、親切な人に助けられて言葉も教えてもらって魔法も教えてもらって、ある意味チート生活突入ってな展開になったりもするわけですが…。


 そんな上手い話があるわけない。


 城で誰一人として見向きされなかった地味な子が、城の外に出たからって人目を惹くわけがない。


 やけに怒りが篭ってる??


 ふふふふふふふふ…。


 五年前の実話ですよ。じ・つ・わ。

 

 定番なイケメンハーレム体質の幼馴染の召喚に巻き込まれ、ポイ捨てされた地味な女の子通行人Aにすらなれなかった人間は私ですよ。

 

 あの時……腹がたって腹がたって腹がたち過ぎて。




 

 魔族に喧嘩を売らなかったら死んでたね。





 ん?

 普通は死ぬって?

 魔族なんてファンタジー定番な種に喧嘩を売ったら??

 お前もチート仕様だろうって…。


 いやいや。地球仕込の空手程度じゃ、この世界じゃ瞬殺ですよ。

 いつか幼馴染の頭をかち割ってや……なんでもないですよー。そんな物騒な事考えてないですよー、というわけで、せめて腕っ節だけも強くなろうと無駄な努力をした空手だけど、ここだと魔族の吐息にすら劣る威力だったわけでね。

 まぁ…魔族に突っかかる人間なんていなかったから逆に珍しかったらしく。

 そりゃあんなに強いって分かってたら、私だって喧嘩なんて売りません。あれは無知だったから出来ちゃった怖い出来事ですよ。



 魔族に拾われて。


 死んだ魔族から取り出した魔力の坩堝に放り込まれ。


 五年前に人間やめさせられちゃった。


 という悪運の強さで何とか命だけは助かった、元人間なわけですよ。



 ふぅ。

 この五年間は色々とあったなぁ。



「ん? 何ですか?? 今回想に忙しいんですけどー。は? 勇者Cが来たって?? 知らないよそんな事。勝手に遊んどけばいいんじゃないですかーーー」


 というか、これで三人目の勇者だよね。

 あの城も何人召喚してるのか。

 至って普通な勇者だったけど。



 あ、そうそう。

 五年前は幼馴染だったイケメンハーレム体質の勇者だけどね。

 何か王様になるらしいよ。

 勇者活動はどうしたってつっこみたいけど、どうせ危険な事はやらせたがらなかったんでしょ。周りが。

 既に後宮があって、美女や美少女が数百人いるとか。

 誇大表現か事実か。

 もしホントだったら図鑑でも作ったら売れますかねー。


 人間の通貨欲しいんだよね。


 ちょっと考えてみようかな。





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