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      16



「あれ?いちごは?」


部室に戻り、聡介に1番最初に声をかけたのは奈央子だった。


「いや、会ってませんけど?」

「そうなの?じゃあ思い違いだったみたいね、彦星様」

「彦星???」


聡介が不思議そうにメンバーの顔を見る。


「ほら、俺の言った通りだったでしょ」


飽きて寝転がっていた斗基が立ち上がり、奈央子の顔を見た。


「って斗基が彦星?え?やめてよ・・・イメージがぁ」

「お前も対外失礼な奴だな」


聡介が頭を抱えているのを見てげんなりする。


「あら、もう月出てるわよ。今夜は満月ね」


誠が窓を見上げて指を差した。

外はすっかり暗闇で大きな満月の月と星たちが輝いていた。

それを眺めて斗基は立ち上がった。


「織姫を探してくる。」

「え?織姫??ってお前らどういう・・・」


聡介の叫びを無視して、部屋を出て言った。

奈央子がポンっと聡介の肩に手を置く。

その眼鏡の奥の目がキラキラと輝いていた。


「若いって素敵よね」

「意味が全く分かりません」






********





斗基はまっすぐにトイレの方向へと向かった。

すると男子トイレの前に体育座りをしているいちごをすぐに見つけた。

いちごは腕の中に顔を埋めていて、斗基の気配に全く気付かない。


「覗き趣味なの?」


ビクッと体を揺らし、いちごは上を見上げた。


「誰も来なくて覗けなかったけどね」

「否定しよーよ、女の子」

「アハハ」


いちごの高い声が誰もいない廊下に響く。

斗基はゆっくりいちごの前にしゃがみ、頭を撫でる。


「そんなに睨むなよ。ぐしゃぐしゃにしないよ」


今日のいちごは髪を高い位置のおだんごにしていた。


「満月なんだって」

「もう月出てるの?」

「うん。ここじゃ見えないから戻ろう」

「そうだね。斗基は月って好き?」


目の前にある斗基の優しい表情にいちごは心臓が高鳴るのを感じていた。



―このまま斗基の顔を眺めていたい。



「どうだろー・・・でも好きな方かな?」

「私は大好き」

「へぇ?」

「だって、怖い夜でも月があればなんかホッとするじゃない?」


満面の笑みのいちごに斗基は思わず噴き出す。


「何よぉ?!!」

「いや・・・あまりにも可愛くて」


ボッと効果音がつくようにいちごの顔が赤くなる。


「そ・・・そーやっていろんな子に言ってるんでしょ」

「さぁ?」

「普通はそこは否定するんじゃないの?男の子」


ハハッと声をあげて笑う斗基。


「斗基も月、好きになってよ」

「あぁ。」

「・・・・あと」

「ん?」


いちごはためらいがちに続けた。


「自分を好きになってよ」


口調とは裏腹に目はまっすぐで真剣さが感じ取れた。


「じゃあ月といちごは似てるんだね」


全く的外れの事を言われて、いちごは目が点になる。

斗基は立ち上がって、近くの小さな窓へ近づいて月を見上げた。


「いちごといるとホッとする。」


斗基の隣にいちごが並ぶ。

満月の月が輝いていた。


「色んな子に言ってるの?」


お互い、目は月に向かっていた。

心は、お互いを向かっていた。


「さぁ?」


斗基の気の抜けた返事にいちごは声を出して笑った。




月だけが2人を見ていた。




はい、第2部終了となります。

2人の距離が段々と縮まって、いちごの気持ちが固まっていく第2部といった所でしょうか。


余談ですが、斗基の顔イメージは俳優ですと平岡祐太さん。

いちごの顔イメージは佐々木希ちゃんです。

桜良は宮崎あおいちゃん。


あくまでもイメージです!イメージです!しかもチキの偏ったイメージですが!笑


みなさんならどの俳優さん・女優さんがイメージでしたでしょうか?

ご意見きかせてくれたら嬉しいなと思います。


今後もまだまだ続く予定です。

かなりの長編となると思いますが、末永くよろしくお願いします。


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