表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/34

      6

時計の針が6時を回り、いちごはバイトだと言って部屋を出た。

玄関へ向かって歩いていると、美香が前から歩いてきた。

気付いたいちごは、すぐに声を掛ける。


「あ、おつか・・・」


それを遮るように、美香は睨む。


「弥生の二の舞になっても知らないよ」


そう呟いて通り過ぎた。



あまり美香とは親しく話したことはなくても、同じサークルの仲間として仲良くなりたったいちごはショックを隠せなかった。

睨まれたこと、そして・・・弥生の二の舞。

何の事だかはすぐに理解した。

普段なら人の気持ちにはどうしても疎いはずなのに。

美香の気持ちはすぐに理解できた。

しかし、自分の気持ちは自分が1番理解しているはずなのに・・・何故こんなにもショックを受けているのか分からなかった。




********




「明日からしばらくサークル休みね。ストーリー練ってくるから。来ていない人には伝えておいてちょうだい」


奈央子がそう言って、皆解散した。



帰っている途中に斗基がため息を漏らす。


「しばらくってどれくらいだよ」

「あんなにサークル面倒くさがっていたのに」


聡介は呆れた様子だ。


「そうだった?暇だから明日からバイト普通通りにしてもらおうかな。しばらくの間。」

「暇なら俺が遊びに行くよ!」

「だから、お前は俺の恋人か?」

「まぁ冗談として。・・・・やる気の理由はいちごちゃん?」


斗基が目を開く。


「どうなの?」

「・・・・別にそういうわけじゃ」

「否定するなら俺は別に、何も言わないよ。でも」

「でも?」

「桜良ちゃんと重ねているだけは駄目だよ。斗基自身・・・いやそれよりもいちごちゃんを傷つける事になるよ。」


斗基は苦笑した。

聡介は、穏やかな口調ではあったが目は真剣だった。


「分かってるから・・・大丈夫」

「それならいいけど」


それ以上、聡介は何も言えなくなってしまった。

言いたくても、斗基の切ない遠くを見る目を見たら・・・何も言えなかったのだ。




―斗基はずっと後悔してる。

 やっちゃんを受け止められなかったことを。

 いいや、それよりも・・・





 桜良ちゃんを護れなかったことを。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ