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「フンフン♪」
「えらくご機嫌だけど?」
学食で鼻歌交じりで斗基は、唐揚げを口にいれた。
「ん?そう~?」
「最近は、バイト入れてないんだ」
「遅番にしてもらったんだよ」
「寝るのが生きがいの、八坂くんが?」
「いきなり苗字で呼ぶなよ。気持ちわりぃ」
聡介はそれには答えず、ラーメンをすする。
「何?心配?」
斗基が意地悪そうに笑う。
それにも聡介は、軽くにらんで答えようとはしなかった。
その姿に諦めたのか、黙って白飯を口に運ぶ。
「あれ?斗基と聡介じゃない」
この数週間で覚えた声。
間違えるわけがない声。
「いちご!学食で会うなんて珍しいな」
「そうだね。ここ空いてる?」
斗基と聡介の前の席が2つ空いていた。
「空いてるよ」
「じゃあ座ってもいい?」
いちごはニコッとほほ笑む。
聡介もニコッとほほ笑む。
斗基もニコッとほほ笑みながら、答えた。
「弥生がいいならね」