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【第2章】星条旗と自販機と俺たち

【前書き】「名前」という呪い、あるいは祝福


この物語は、“名前”に翻弄された三人の男の話です。

織田信長、豊臣秀吉、徳川家康。

歴史の教科書で知らぬ者はいない戦国の三英傑――

……ではなく、現代にそのままの名前で生まれてしまった三人の、ちょっと情けなくて、だけどやたらと燃える話です。


大人になると、名前というものはアイデンティティになり、呪いにもなります。

誰かと同じ名前だった、というだけで笑われたり、期待されたり、勝手にドラマを背負わされたり。

そしてそれに抗うように、あるいは開き直るように、人は“物語”を始めるのかもしれません。


この物語は、SNSから始まり、牛丼屋を経て、空港で捕まり、内閣総理大臣になり、アプリを開発し、そして世界を“ちょっとだけ”変える話です。

アホみたいにバカバカしいけれど、本人たちはいたって本気です。


あなたがもし、今の世界にちょっとだけ“退屈”を感じているなら。

あるいは、“名ばかりの肩書き”にうんざりしているなら。

少しだけ、彼らと一緒に戦国の風を感じてみてください。


だって――

“信長”って名前、燃やさずにはいられないでしょ?



成田空港発のLCC便でサンフランシスコに着いた信長たちは、

まずアメリカの空港の物価に殺された。


「水、700円……?」

「ペットボトルに金箔でも入ってんのかよ」


秀吉は財布の中身を確認して、しばらく沈黙した。


「……ねぇ、あのへんの飲料自販機、コーラ1ドルって書いてあるよ?」


「まさかの勝ち組自販機」

「……本当に生き残ってたんだな、自販機」



彼らは“語学留学”と称してホステルに滞在し、

毎晩ファストフードを食べながら、大統領暗殺の作戦を立てた。


「問題は武器だよな。銃」


「アメリカじゃスーパーで買えるって聞いたけど」


「銃に添付の保証書がクーポンになってたら嫌なんだけど……」



だが、現実は厳しかった。


「身分証?」「グリーンカード?」「NICS? なにそれおいしいの?」


銃はおろか、エアガンですら合法的には手に入らない。

語学学校の寮でこっそり水鉄砲を構えていたら、ルームメイトに通報されかけた。



「やっぱダメだ、銃なんかムリ。そもそも近づけねぇし」


「SP多すぎ。大統領のSNSにリプライしても“ありがとう”しか返ってこない」


「あと最近の大統領、優しい。おばあちゃんにハグしてた」


「それは、もう撃てない……」



結局、3人はグレイハウンドバス(格安長距離バス)に乗り、

「アメリカを見て回る」という建前で数週間を過ごした。


グランドキャニオン、ルート66、

炭酸が吹きこぼれるほど甘いシェイク、

冗談みたいに巨大なドーナツ屋。


その道中、彼らは何度も笑い、泣き、トイレを探しながら旅を続けた。



そして帰国の日。


ロサンゼルス空港の出発ゲートで、TVが流れていた。


【速報:アメリカ大統領、ノーベル平和賞受賞】


3人は言葉を失った。


「世界、バグってるだろ……」


信長は背中のバックパックから、スーパーで買ったばかりのおもちゃを取り出した。

それを、ゴミ箱に放り込んだ。


同時に、空港職員が近づいてきた。


「エクスキューズミー、ちょっと一緒に来てもらえます?」


そして、連行された。



「いや違うんだ、本物じゃないんだ! これは!これはジョークで!」


「英語が通じてねぇぞ!お前、語学留学どうなった!」


「俺たちの本能寺、これかよ!」


こうして3人は、空港留置室で並んで座っていた。


「なあ信長、次は何する?」


信長は壁の星条旗を見つめながら言った。


「日本、取るか」


(つづく)




もう一つ小説有るんで、面白かったら読んでみてください。中高生には少し難しいかも知れませんが。笑い路線も増えたので読みやすくなると思います。


1作目も、改編しました。恋愛あり、アクション有りの壮大なSF神話です。目指せファイブスター!目指せナウシカ!


此方の戦国武将同姓同名は最初からお笑い路線です。

読んでくれてありがとうございました。

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