エルフと狼獣族、居着く
鉄の地竜から頭を出してやがる異世界人、よく見ると、狐獣族の女を横に侍らせている。奴は、死体を見て、叫んだ。
「僕の仲間がやられた。僕は狐獣人族の守護者にして、森の調停者ミノル!」
・・・うわ。やっぱり。異世界人は危ない奴だった。
隣に、狐獣人族の女を侍らせて、分かりやすいぞ。籠絡されたな。おい。
「俺は、盗賊のフランキーだ。こっちに来い!」
エルフ、狼獣族に逃げるように目配せした。
どうする。リリーは、
「おっ、ダークエルフだ!僕の側近に迎えてやるよ」
「フン、死んでもお断りだね!」
リリーのフードがとれている。耳は・・・とがってやがる。
ダークエルフ?魔王軍、いや、そんなのどうでも良い。
俺は、リリーに肩を貸す。
「ヒック、馬鹿だね。あんなの余裕だよ。ほっといて、逃げな。対異世界兵器戦闘2があるんだよ!・・・逃げな!。森の中をいきな。そこは、ガタガタは通れないよ!ヒック」
「分かった!と言うとでも思ったかよ」
俺は、リリーに肩を貸し一緒に逃げた。
強がりだとすぐに分かった。だって、対異世界兵器戦闘2があったなら、『逃げな』とか言わないし、速攻で使っているだろう。いるんだよな。チンピラ剣士が、必殺技があるぞ!と言って使った試しがない。
俺は、木々の間を抜ける。
さすがに、あのガタガタは、木を倒して進めるほどではないらしい。
奴は、
ドーン!ドーン!と何かを撃つ。
「あれは、戦車と言ってね。でっかい礫だよ。でも、当たらないよ。多分」
「多分かよ!」
遠くから、声が聞こえる。
「撃つのやめな。ダークエルフに当たる!盗賊から、ダークエルフを救うイベントキター!」
なんだ。ますます基地外になってやがる。
「はあ、はあ、はあ、ヒック、水は、鉄の弾をとおさないんだ。水の中に隠れるといいさ。でも、あの杖ぐらいの大きさだね。ヒック」
「ほお」
藪の中を抜ける。
しかし、
バン!バン!
奴は、逃げた方向に撃ってきた。
何故だ?
「ヒック、私を置いて逃げな。ほら、私の血で追跡されているよ!」
俺はひらめいた。
「なあ、リリー、魔法で、土か岩をかぶせる魔法は出来るか?」
「出来るけど」
「なら、少し我慢をしろ!」
俺は子供の頃、遊んだ。ゲジゲジ洞窟の前に来た。
洞窟の入り口まで、リリーの血を残して、
強く包帯を巻いた。
「ウグッ」
「我慢しろよ」
こうすれば、血は止まる。しかし、壊死するから、一時間後ぐらいに、一端緩めなくてはいけない。
「リリー、火炎魔法出来るか?松明を作るぞ」
「何だって、見つかっちゃう・・・ヒック、まあ、あんたの言うとおりにするさ」
松明を洞窟に投げ込み。
俺たちは、森の中に隠れた。
すると、数分で現れやがった。
一人だ。
「お、やっぱり、盗賊は洞窟にいたんだ!油断しないぞ。横穴があるかもしれないからな。L字ライト召喚!」
・・・奴は、ゲジゲジだらけの洞窟に入っていった。汚いな。
始めにあったときに、洞窟に盗賊がいるか?と聞いてきたから、もしかして、異世界人は盗賊は洞窟にいるとの刷り込みがあると予想したが、的中した。
馬鹿だろう?
普通、野営は天幕だ。
洞窟なら、敵が来たら、逃げ道がないし。どんな毒虫が住んでいるかわからない。
「リリー、洞窟を塞いでくれ!」
「あいよ!ヒック」
「森の精霊よ。盟約に従い。力を貸したまえ!」
ドサッ!
岩を洞窟の上からかぶせた。
「はあ、はあ、はあ、これで、限界だよ。すこし、眠らせておくれ」
「ああ、ゆっくり眠りな」
これで、終わりだ。と思ったら声が聞こえた。
「無反動砲召喚!え~と、これを・・・」
「何だ!まだ、隠し球があるのか?もう、俺の体力は残っていない」
ドカーーンと大きな音がしたが、
ドサッと、更に洞窟が崩れたのが分かった・・・・
奴は、完全に、洞窟に閉じ込められたな。
☆その後、
領主軍がやってきた。
王都からの魔道部隊を連れている。
「ほお、貴殿が、フランキー殿か?」
な、何だ。こいつら、異世界人?いや、少し違う。
「日系異世界人です」
ほお、ほお、何でも、軍事チート能力者は、最初こそ勢いがあるが、やがて、多くの者が、歴史に残らなくなる。
それは、多くの者が、能力を使い切れずに、自滅、もしくは、正しく能力を使わないので、対異世界軍事チート戦闘団に討ち取られる?
「ええ、実は、私どもも、異世界の武器を召喚できるのですよ。ほら」
・・・何だ。あのミノルのとは、違う杖を出しやがる。
「89式です」
「しかし、90式戦車まで出せる転生者が現れるとは、フランキー殿、お手柄ですよ」
「いや、リリーが」
「あの、元魔王軍四天王の一人、リリー殿が、貴方がやったと言っているのです。感状が出ますよ」
まあ、今となったら、どうでも良い。仲間だ。
リリーは、怪我が治った後、狐獣族人の本村に攻め入った。
対異世界兵器戦闘2は、本当にあったそうだ。
しかし、あの時は、怪我で使えなかっただと。
体力の消耗が激しいのと、使っている間は無防備になるから、護衛が必須らしい必殺技。
何でも、冥界から死霊たちを呼ぶ。死霊たちに銃弾は効かない。
しかも、狐獣人族の祖霊を全面に出す。・・・
こりゃ、撃てないね。鬼畜作戦だ。
しばらくして、洞窟のミノル発掘が行われた。
奴は、2週間、飲まず食わずだったが、生きていた。
「大丈夫ですかね。また、武器を出したら」
「ええ、大丈夫、軍事チート能力者は、一度、大敗をすれば、能力は消えるんです。ミノルは、もう、この世界の人と変わりません。
都に行って、調査、裁判をされてから、処遇が決められますね」
何でも、ムハンドウ砲とか言う奴は、それなりの構えで撃たないと、まっすぐ飛ばない。
変な構えで、狭い洞窟で撃ったから、弾頭がそれて壁に当たったのだろうと教えてくれた。
もう少しで、俺たちは、死んだのかもしれなかったのだ。
「まあ、私たちだったら、TNT爆破薬を使いますが、知らなければ、そうなりますね。といっても、私たちの祖先は、異世界の騎士団、自衛隊出身です。失伝も多いのです」
その後、狐獣人族の残党狩りが始まり。
俺の村は、好景気に沸く。願ったり叶ったリだ。
「フランキー様!私どもが作ったワインでございますわ。後、オリーブオイルも持って来ましたの」
「おう、オリビアさん。有難う。買わせて頂くぜ。部屋を用意しているから、今日は泊まりなよ」
「・・・はい」
「フランキーのおっちゃん。肉持って来たよ!」
「おう、ガオルちゃん。有難う。買わせて頂くぜ。宿代かかるから、部屋を用意してあるぜ。泊まって行きなよ」
「・・・おう・・」
「あんた。エール出来たさね。味見して」
「おう、リリー、うまい。魔法を使った?」
「フフフ、愛情という魔法を使ったのさ」
「おう、そう言えば、エールやめたの?」
「フフフ、キャ」
リリーの様子がおかしい。
と思って数ヶ月経過したら、
エルフのオリビアも、狼獣人族のガオルも帰らない。
助かるよ。
オリビアは、農民たちに、果物や、オリーブの栽培を教えているし、ガオルは狩りをして、貴重な肉を持って来てくれている。
リリーに至っては、
「女将さん!見回り終わりましたぜ!」
「ご苦労さまでさ。サウナ用意しているよ!」
「助かる~~」
手下から、女将さんと呼ばれている。
「何故だ?」
異世界人、軍事チート能力を持っていても、きちんと、人のつながりを重視しなければ、生涯無敗は難しいかもしれない。
最後までお読み頂き有難うございました。