ガタガタ現る
「あれ、最近、客が来ないな」
理由はすぐに、分かった。
森で異変が起きている。
あの異世界人の仕業だ。
里人が森に入れない?
「ヘイ、頭目、あれが、森の調停者を名乗って、弱小部族、狐獣人族についた。エルフの調停が効かないと森に入った狩人が言っていました」
「エルフが負けたのか?」
「禁じ手、森を焼きやがった」
「何だと!」
火炎魔法は、森の中では禁じ手だ。森、燃えるだろう。
「それで、領主軍が、編成されて、冬の仕事は中止さ。どこもお財布は固くなっている」
「領主軍は、警戒態勢状態」
ええ~、どうするんだ。
「転生者は、森で大帝国を作るみたいでさ。他の部族を攻撃し続けている」
やがて、
この村近郊に、森の中心部族、エルフや、狼獣族が落ち延びてきた。
村の外の草原にキャンプを張りやがった。
村人たちは不安に陥る。負けたって言っても、村人がかなう相手ではない。
ほっとくわけにはいかない。俺には、関係がある。
村人が困ったら、俺たちの食い扶持がなくなる。
盗賊団の総数を合わせても、エルフや、狼獣族にかなわない。
なら、
「・・これは、人族殿、食糧支援有難うございます。エルフが一の姫、オリビアと申します」
「感謝する。狼族族長の娘、ガオルです」
何と、男たちが盾になって、女たちを逃がしただと、
子供と女たちだけだ。
良かった討伐しなくて、
女子供を殺したら、評判が悪くなる。
すると、客が来なくなる。
彼らから聞いた話は、こうだ。
異世界人が、狐獣族の男衆に「じゅう」や「かえんほうしゃき」を渡し。ガタガタで、暴れ回っている。
ガタガタって何だ?
「姿は見ていません。地竜の一種らしいですわ」
「それは、それは、不気味だ」
しかし、ここまでは来ないだろう。
「奴は何をしたいんだ?」
「はい、捕らえたエルフや、獣人族を、奴隷として働かせ。森を開墾。ドワーフを捕らえようとしています」
「何だって」
「内政ちーとと言ってますが、よく分かりません」
う~む。これは、俺には関係ない。森のことは森で解決してくれたまえ。領主のことは領主様だ。
まあ、彼らには、村の仕事を手伝ってもらって、その対価として食料を渡せば村人から感謝され、俺の名は上がる。
王都に買い出し隊を出さなければな・・・
ブロロロロロ~
「「「ヒィ」」」
何だ。あれは、鉄で覆われた地竜に、狐獣族が乗っている。
地竜一頭に、狐族、5人ってところか?
奴らは、あの杖を持っている。
話の途中に、狐獣人族はやってきた。
「ヒヒヒヒヒ、エルフざまぁだな」
「狼の時代は終わりだ。これからは、頭、狐族の時代、わかる~」
「フランキー殿、お逃げ下さい」
「これは、私たちの問題!」
そうだ。俺は関係ない。
エルフなら、どうにかする。いや、奴隷になっても死ぬわけじゃない。
「女たちは、車に乗れ、子供はいらない」
「黙れ!父上の仇!」
「親父の仇!」
あ~、いっそのこと。彼らが、この人たちを連れ去ってくれたら、食い扶持は減るな。
逃げよう。
「ちょっと、お待ちなさって、私めは、フランキーと言う、ケチな野郎でして!どうか、私の顔に免じて、彼女らはご勘弁下さい。お金なら用立てしますぜ」
と思ったが、やっぱり、やめた。エルフや狼獣族の次は俺たちだ。
俺は、狐獣人族の若い奴に、土下座をした。
「へへへへへ、グシシシ、いや~、とても、お強いと聞きまして、それでしたら、こんなことをしなくてもおモテになるんじゃないですか?」
相手は、5人いるぞ。鉄の杖を持っている。
俺は、目配せをする。『逃げろ』
「おい、時間稼ぎがミエミエだな」
グリグリと足で頭を押さえつけられた。
万事休止だ。
グサッ!
俺は、狐獣人の腹を刺した。
土下座からのジャンピングで勢いよく刺さったぜ。
ああ、今日は良い日だ。
「何だと!」
「撃て!」
その時、俺の周りに、水がまとった。いや、正確には、水の玉だ。大きい。人の頭一つ分が多数浮かぶ。
リリーの声だ。
「ヒクッ、対異世界兵器戦闘1!ウォーターボール!」
バン!バン!バン!
鉄の小さな弾が、水を通ると、ポタン、ポタンと落ちる。
「ヒック、続いて、ウォーターカッター!」
奴らの体が、真っ二つに斬れた。
「な、何だ」
「ヒィ、ミノル様に報告だ!」
「させないよ。ヒック、エルフ、狼ちゃん。お願い」
「分かった。音響魔法!魔狼の遠吠え!ウオオオオオオオーーー!」
「「「「ギャアアア」」」」
「鼓膜が破れる~」
「ウィンドウカッター!」
「「ギャアアアーーーー」
いや、二人、強いじゃん。
バン!
一人、末期に撃ちやがったが、瞬殺された。
「リリー、すごいな。あれ、どういう理屈だ・・リリー!」
「ざまないね」
リリーの足に銃弾が、
「今、助ける」
「ヒック、それどころじゃないよ」
俺は、とりあえず包帯を巻いた。
エルフのオリビアさん。治療魔法を使えないかな・・・
ガタガタガタ~~~
何だ。地面が揺れる。
「「「ヒィ」」」
鉄の地竜が現れた。なんだ。でっかい丸太を鼻のように飛び出ている鉄で覆われた地竜だ。
上から人が生えている。あ、あいつだ。転生者だ。
最後までお読み頂き有難うございました。