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モブオタクの異世界戦記  作者: 五三竜
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第93話 リスタの街へ

 それから20分ほど経った。真耶達は次の町に向けて絨毯を進める。その道中、この世界の状況を確認していた。


 わかったことはいくつかある。1つ目は、この世界はアーサー達に支配されたということ。そのせいで世界は焼け野原に変えられている。


「至る所に焼け跡があるな……」


 2つ目は、人々は奴隷として連れていかれたということ。そして、それは人だけでは無い。色々な種族の者が連れていかれた。話によると、女性は性奴隷やストレスの発散に使われているらしい。男性は労働や戦争に使われているらしい。


「酷い状況だな……俺がいない間にこんなことになるとは……」


「まーくん!街が見えてきたよ!」


 絨毯の中から奏の声が聞こえてきた。真耶は奏の言った方向を見ると、確かに街がある。しかし、その街はなんだが暗い。それに、やっぱり街の至る所に焼け跡がある。


 真耶は街を見ると絨毯を降下させ始めた。そして、街の入口の前に降りる。すると、そこには人がいた。


「着いたの?じゃあ行こうよ」


 奏がそんなことを言いながら出てきた。そして、出てくるなり街の方に向かって歩き出す。


「待て」


「え?うぎゅう!?」


 真耶は奏の襟を捕まえて止めた。そのせいで首が閉まり変な声が出る。


「ちょっと、何するの……」


「しっ、静かにしろ。あの門番、変な感じがする。隠れるぞ。お前らも出てきたらこっちに来い」


 真耶がそう言うと、ルーナ達は急いで出てきた。そして、すぐに真耶に近寄る。


「ねぇ、魔法の絨毯はいいの?」


 奏は突然そんなことを言い出した。真耶はその時に思った。そういえばまだ言ってなかったな、と。


「あぁ、あれは大丈夫だよ。隠密化の魔法をかけてある」


「まーくん他の魔法が使えるようになったの!?」


「なわけねぇだろ。魔力を神眼で変えているだけだ。お前に魔法を打ってもらっただろ。あれでだいたい魔法の魔力の質は覚えたからな」


 その時思い出した。この5か月間奏はほぼ毎日魔法を打っていたのだ。しかも、真耶に向かって。


 奏自身は魔法の練習になってよかったが、真耶に打つというのが気が引けなかった。だが、真耶は謎の道具を使って魔法を吸収していたので、心置きなく打った。


「あはは……なんだがこの5か月間でいっぱい習慣が出来たよね」


「しっ、一旦黙ってろ。次喋ったら今日の夜は激しくするぞ」


 そう言うと急に黙り込んでしまった。真耶はそれを見て少し落ち込むと街の門番を神眼で見た。


 ……なるほど、この街はリスタと言うらしい。そして、あの門番はアーサーの手下のようだ。


 能力的にはあまり強くないが、アーサーに俺達が動き出したことを知らされると面倒だ。暗殺しよう。


 そんなことを思っていると、街から人が出てきた。女性だ。その女性は出てくるなりいきなり服を脱ぎ始める。


 そして、門番にお尻を突き出している。門番はそれを確認すると、フックを取り出した。そして、女性のお尻に近づけていく。その後、女性は普通に生きていれば出すことの無い悲鳴を上げた。


 門番はさらにそのフックの反対側に二股のフックをつけている。そのフックを女性の鼻につけ押し飛ばした。女性は起き上がると、泣きながらその場を離れていく。


「マヤさん……あれ……」


「マヤ様、助けてあげられないのですか!?」


 ルーナとアロマはそんなことを聞いてくる。クロバとフェアリルは静かに見つめ唇を噛んで怒りを何とか堪えていた。


「フッ、お前らは俺がなんて言うと思った?」


「え?」


「助けてやるよ。お前らはそこで待ってろ。”物理変化ぶつりへんか”」


 真耶は不敵な笑みを浮かべると体を水に変えた。そして、地面に溶け込むように小さくなっていく。


 奏達はそれを見守って、その場に身を潜めた。そして、その2分後に門番は真耶によって暗殺された。


 奏達は真耶から合図を受けると、女性の元まで走る。そして、女性に声をかけた。


「あの、大丈夫ですか!?」


「た、助けます!」


 そんなことを言いながら近づく。女性はその声を聞いて振り返ると、顔がびしょびしょになるくらいに涙を流していた。


 真耶はその女性に近づくと、女性の鼻と大事な部分を引っ張りこじ開けようとするフックを外そうとする。しかし、どっちかを外そうとすると、どっちかに激痛が走り女性は悲鳴をあげる。しかし、切り裂こうにも切り裂けるような材質の紐じゃない。


「チッ、遺物か。下手に魔法も使えねぇな」


 魔法を使えば5か月前と同じことが起きる。多分今の真耶なら耐えられるが、この女性は体が吹き飛ぶだろう。


 なら、ここは安全にやるしかない。


「悪いな。少しだけ痛みを我慢してくれ」


 真耶はそう言って紐を引っ張った。すると、鼻を引っ張る紐が緩くなる。しかし、逆にお尻の方はさらに強く引っ張ってしまい、穴が広がる。そして、女性は声にならない声で悲鳴をあげた。


 真耶はすぐに鼻フックを外すと、下の方もすぐに緩める。そして、ゆっくり外した。


「ぅあ……あ、ありがとうございます……」


「いや、構わないよ。それより、あの街はどうなってる?」


「……謎の男達が皆奴隷にしてしまいました。私達女性は毎日あのような仕打ちを受けて……うぅ……」


「そうか……なら、もう大丈夫だ。俺が来たからな」


 真耶はそう言って不敵な笑みを浮かべた。

読んでいただきありがとうございます。感想などありましたら気軽に言ってください。

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