第74話 真耶と先生
━━それから小一時間魔法の練習の時間があり、何人か連れていかれるのを見たが気にしないでおこう。
そして、真耶は魔法の時間が終わると皆の所まで向かった。すると、3人はまだ回復魔法をかけていた。
「あらあら、大丈夫ですの?」
「え?あ、いや、まだ治ってないです……」
よく見ると、まだお尻は真っ赤だ。……治る方がおかしいのかもしれない。そう考えると自分はおかしいのかもしれない……
いや、自分がおかしいのは今に始まったことじゃないか。ならいいや。考えないでおこう。
真耶は3人に微笑みかけると教室に向かい始めた。
━━そして、昼休みとなった。今日は、メロンがいないから虐められることもない。今日は安心して過ごせる。
真耶はそんなことを考えながら霊媒室の前まで来た。そして、部屋をノックする。
「誰だ?」
中から声が聞こえてきた。前と同じ人の声だ。真耶はその声を聞くとすぐに声を発する。
「あの、先生に……」
「帰れ!!!」
ドアの中から怒鳴られた。しかし、簡単には帰らない。真耶は引き下がらずにとどまった。そして、もう一度声を発する。
「帰りません!先生にお話があるのです!!!」
「うるさい!もう関わりたくないんだよ!あんたも、デウスも!」
そういう言葉と共に、何かが投げつけられる音が聞こえた。投げつけられたものはドアにぶつかったのか、凄まじい音を立てる。真耶は何も出来ずにその場に立ち尽くすだけだった。
その日は真耶は諦めて教室に戻った。やはり、メロンがいなくなったことで真耶を虐めて来る人はいもう居ない。
そして、時間はあっという間に過ぎ、その日の授業が終わった。
「マヤ様、帰りましょう」
「えぇ、そうですわね」
4人は少し話をすると、帰路に着いた。そして、その日もうっかりしてて、罰を受けることになったのは別の話だ。
━━次の日……
「うぅ……お尻が痛いですわ」
「わ、私もでしゅ……」
「酷いです……あんなにするなんて……」
「つ、次はこんなんじゃ済まさないっていつまでましタ」
「はぁ……もう嫌ですわ。今日もでこぼこに変形刺せられてますわ……」
そんなこんなしていると、あっという間に魔法を使う時間になった。真耶はすぐに魔法を使い、傷を治す。
そして、魔法の練習を始めた。
━━それから時間が経って、昼休みの時間となった。真耶は今日も同じように霊媒室に向かう。そして、扉の前まで来た。
「あの、先生!」
「帰れ!てかノックしろ!」
「なんでですか!?もぅわたくしは先生しか頼めないんです!わたくしの力じゃどうにもならないんです!」
「知らん!もう私はデウスと関わりたくないんだ!」
そう言って何か投げてきたのか、ドアに強烈な音が響いた。真耶は少しその場に留まると、諦めて教室に戻った。
━━次の日……
昨日はダメだった。だが、今日は分からない。真耶は朝起きて直ぐに計画をねった。
「……ん?あらあら、皆様大丈夫ですの?」
「……うぅぅ、すごく痛いです……」
どうやらまだ痛みが収まってないらしい。まぁ、こんなに真っ赤に腫れてたら収まるわけないよな、と思いながら真耶は朝の準備をした。
「あれ?そういえばですけど、マヤ様はなんで着替えの時に後ろをむくのですか?」
「……申し訳ありません。少し、言えないことがありまして……」
真耶はそう言って少し顔を俯かせた。リナ達はそれを見て申し訳なさそうにする。そして、慌ててすぐに謝ってきた。
だが、別にリナ達が悪いなんて言うことは無い。どちらかと言うなら悪いのは真耶だ。今は女体化してるから分かってないが、真耶は男なのでこれは覗き……そう、立派な犯罪だ。
真耶は少し罪悪感に包まれながら部屋を後にした。
━━そして、再び昼休み……
「先生!」
「帰れ!」
また、いつもの会話をする。まるで機械のように同じことを言う。しかし先生は中に入れてくれない。それでも真耶は諦めずに行く。
「先生!わたくし、中に入れてもらうだけでもよろしいですわ!そのためなら校庭のど真ん中で裸で土下座しても構いません!」
「それはそれでダメだ!そもそも、なんでそんなに私にこだわる!?呪いの解呪なんて誰でも出来るだろ!」
「……先生じゃないと出来ないんです……わたくしじゃ無理でした。だから、先生じゃないとダメなんです!」
真耶は少し目に涙を浮かべながらそう叫んだ。その叫びが先生に届いたのか、部屋の中が突然静かになる。
しかし、少しだけ扉の前で物音がした。扉を押しても開かない。そして、扉の向こうから小さな声で何かを言ってきた。
「帰れ。今日はもう帰ってくれ。話はまた明日だ……」
真耶はその言葉を聞くと、静かに心の中で喜んだ。そして、少し気分を上げて教室に戻って行った。
「あれ?マヤ様今日はなんだか嬉しそうですね」
「はい!もう気分は最高です!」
真耶はすごく明るい顔でそう言った。リナ達はそんな真耶を不思議に思いながらも優しく抱きついた。
「あれれー、マヤ様ってそんな顔するんですねー」
リナはそんなことを言いながら胸をつんつんしてくる。すると何故か、恥ずかしさが込み上げてきた。そのせいで顔が真っ赤になる。
「マヤ様、顔が赤いですヨ」
「え?……っ!?」
今顔から火が出た気がした。それくらい顔が真っ赤になった。そして、熱くなった。真耶はそれを気取られないように顔を隠した。
ジリジリジリジリジリジリ……
その時ベルがなった。改めて聞いたが、これがチャイムなのだとしたらすごいな。海外の学校はチャイムがベルト聞いていたが、この世界の学校はそれに似ている。
「……本当にめちゃくちゃな世界だ。日本に似ていたり、海外に似ていたり、オタク知識が通用しない……」
「あれ?何か言いましたか?」
「いえ、なんでもありませんわ」
真耶はそう言って微笑みかけると授業の準備をした。そして、簡単な授業はあっという間に終わり、1日が終わった。
━━次の日の昼休み……
真耶は改めて霊媒室の前に来ていた。扉の前に経つと、1度深呼吸をしてノックする。
「入れ」
中からそう言われた。ドアノブに手をかけると鍵は開いている。真耶はもう一度深呼吸をすると、ゆっくり扉を開いた。
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