第73話 地獄のような罰
真耶達はまず、バットで叩かれ始めた。既に手で2600回以上叩かれているせいで、お尻はもう限界だ。しかし、先生は容赦なく叩いた。
唐突に、さっきとは違う強烈な痛みを感じる。そのせいで、皆はその場から逃げようとしたり、手でお尻を守ろうとしたりしてしまった。
「あなた達、手を退けなさい。そして戻りなさい。出ないと罰の量を20倍に増やしますよ。今なら19倍で許してあげますがね」
先生はそんなことを言ってくる。20倍も19倍も余り変わらないが、少ない方がいい。
恐らく、他のやつも全部数が増えたのだろうが、それだと尚更数が少ない方がいい。
「はい、いきますよ」
先生はそう言ってさっきより強くお尻をバットで叩いた。
「いぎぃぃぃぃ!」
「やだぁぁぁ!」
「ゆ、ゆるじでぇ!」
皆はそれぞれ先生に泣きつく。しかし、許されることは無い。先生は数を数えられてないと言ってやり直しといった。
バチィィィィン!!!という音が再び鳴り響いた。そして、かすれるような声で1と聞こえる。
そして、再び2、3回と音が鳴り響く。真耶達は、この罰を36回ほどやり直したが、何とか耐えきった。さすがに36回もやり直せば数は最初の数と全然違う。
しかも、1700を超えたくらいからユーリカが痛みが絶頂を通り越し、気を失ってしまった。そのせいで、再び1からやり直させられたのだ。
実際のところ、真耶も気を失いそうだ。何度も言うが、男の体だとこうはならない。そもそも逃げるし、邪眼で記憶を書き換える。だが、今の女体化した状態だとそういった細かい技が使えない。だから試験や血統でもゴッドフェニックスしか使わなかったのだ。
そんなことを考えていると、急に何も来なくなった。終わったのかと思って、涙で滲む目で先生の方を見ると、何か持っている。広くて分厚くて重たい板のようなものだ。
「やだっ……それはらめぇ……!」
そんな悲痛な叫びも虚しく、先生はそれを思いっきり叩いた。その時、真耶達のお尻にはこれまで感じたこともないくらいの痛みを感じた。その痛みはもしかしたら優眼を使わないで自分の体に物理変化をかけた時と同じくらい痛いのでは、と思うほどだった。
そして、真耶以外の3人はその1発で気を失ってしまった。真耶も、今すぐに気を失ってもおかしくないほどの痛みが体を襲う。
そして、先生はそれを見たからなのか、数えなくても続蹴るようになった。しかし、数はさっきの2倍となっている。
「もう……らめぇ……」
その言葉を最後に真耶は気を失ってしまった。
━━それから20分ほど経って、突然地獄のような痛みを感じて真耶は起きた。周りを見ると、他の3人も起きている。そして、真耶達はお尻に地獄のような熱さと痛みを感じた。
「罰は終わりましたよ。さ、そこのおもらししたところを綺麗にしたら帰ってよろしい。ルールはわかってますね?」
「……はい」
先生の言葉にリナはすごく悲しそうに返事をする。真耶は再び嫌な予感がしたが、お尻が痛すぎて何も考えられない。それに、何故か足の方が濡れている。
「マヤ様……私達のせいでごめんなさい。綺麗にしますね」
ジェシカはそう言ってタオルを持ってきた。そして、真耶の足を拭く。どうやらおもらししたのは自分らしい。いや、全員濡れている。皆もやったのだろう。
その時、ふと鏡に目が写った。その鏡は真耶達の横にあり、真耶達の横の姿を移している。そこには驚きのことが映っていた。
なんと、真耶達のお尻が血のように真っ赤に腫れている。もう赤を通り越している。しかし、それだけじゃない。恐らく棒で叩かれたのだろう。その棒の形にお尻に跡が着いており、形が変形している。ツルツルだったお尻はまるで、舗装されていない道路のようにでこぼこになっていた。
「マヤ様……ごめんなさい」
「私達のせいで……ごめんなさい……!」
「許してほしイ」
「大丈夫ですよ。怒ってませんから」
真耶は優しい顔でそう言う。どうせ男に戻る時に治すんだ。こんなもの何も感じない。
「では、帰りましょう」
「……」
やはり、3人は暗い顔をする。しかし、真耶はそんな3人を優しく抱きしめると、その場から立ち上がり自分達の部屋の方まで足を進め始めた。
「あ、マヤ様、服は来てはダメですよ。来たらやり直しになるのでて……」
「えぇ、なんとなくわかってましたよ。罰を受けたらその日1日は服の着用を禁止されるのですよね」
真耶は燃え尽きたような表情でそう言った。それを見たリナ達は少し申し訳なさそうな表情をして頷いた。
そして、真耶達は恥ずかしい気持ちを押し殺して部屋まで歩いた。その時に、自分の顔が真っ赤になっていたこととか、すれ違う人達から
「初日から罰を受けてるわ。可哀想」
とか、
「見てあのお尻……歪んでますわ」
とか言われたのは気にしないでおこう。
━━そして次の日……
その日は久しぶりにゆっくり寝れた。普段は、いつ襲われるかも分からない。ここは安全だと言う事実が自分に安心感を与える。
この部屋は4人部屋だ。ベッドが両サイドに置いてあり、2段ベッドとなっている。そして、真ん中にはテーブルがありそこでお茶をしたりするようだ。
「あらあら、大丈夫ですの?」
真耶は起きるなりそう言った。なぜなら、ベッドの上でもがくリナがいたからだ。真耶は2段ベッドの上だから、降りる時に確実に見えるのだ。
「うぅ……マヤ様は大丈夫なのですか?」
「いえいえ、あんな屈辱的な格好をする羽目になったのです。大丈夫なわけがありません。それに、まだお尻の形も戻ってませんしね」
そう言って鏡で後ろ姿を見る。昨日叩かれた場所はまだ腫れている。
実際のところ、今でも痛い。昨日は帰ってきたあとすぐに冷えたタオルで冷やした。すると、まさかの煙が発生した。そして、寝ようと思った時に仰向けが出来ないし、冷やしながら寝たいため全員お尻を突き出す形で寝たのだ。
「にしても、これはどうしたらいいのでしょう……」
そう言ってお尻をさする。少し……いや、かなりヒリヒリする。
「あぁ、それは朝の時間に治しましょう」
「え?どうするよですか?」
「魔法を使うのです。朝の時間に自由に練習する時間があるのでその時間に治しましょう」
「とりあえず、服を着ましょウ。ずっと裸じゃ恥ずかしいでス」
3人はそう言って、ジワジワとゆっくり下着を履き出した。真耶も皆を見習って下着を履く。
やはり痛い。布が擦れて痛い。真耶達はその痛みを我慢しながら何とか着替えをした。そして、校庭まで歩く。歩く度に服が擦れて痛いが我慢して歩く。
ちょうど真ん中の辺りに来た時にベルがなった。
「皆さん!魔法の時間ですよ!サボったものには罰を与えます!!!」
『はい!!!』
掛け声とともに皆はいっせいに魔法を使い始めた。真耶達も、それに合わせて魔法を使う。
「はぁ、やっと治せますわ。”物理変化”」
真耶の体が少しだけ光る。そして、腫れてでこぼこになって血よりも真っ赤に染ったお尻はいつものツルツルのお尻に戻った。
「……さて、これから何をしようかしら。新技でも試しますか……」
「あぁ!マヤ様もう治したのですか!?早すぎますよ!」
「さすがですね!」
「そうでしょうか?……あ、申し訳ありませんが、他人を治すことは出来ないのです」
「そ、そんな顔しないでください!大丈夫ですよ!それに、他人に頼ったら罰なので……」
察した。ここは何もしない方が良いのだろう。真耶は静かにその場を離れて新技の練習を始めた。……それが、あの呪いをなんでも解けるという先生に見られてたことも知らずに……
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