第5話 新たな仲間
「多分、お前の能力は、気持ちよくなるといいんだと思う」
「気持ちよくなる?」
「あぁ、そうだ。だから快感を与えればいい。その方法がエッチだっただけだ」
真耶がそう言うと、ルーナは少し顔を明るくする。何だか、自分の宿命から開放された感が凄い。
「ま、どちらにしろ受付はお前にオススメ出来る仕事ではない。転職しろ」
真耶がそう言うと、ルーナは辛そうな顔ををする。どうやら、この仕事にやりがいを感じていたらしい。
「お前の技は快感を与えられなければならない。だとしたら、1人や2人どころじゃなくなるぞ」
そう言うとルーナは顔を少し暗くする。真耶はそんなことは構わず紅茶を飲む。
「お前がいいかもしれないが、他の人はそうは思わない。分かるか?だから、これまでお前にさせなかったんだよ」
真耶は続ける。その鋭く厳しい言葉はルーナの心をどんどん傷つける。真耶はおもむろに立ち上がるとルーナの前に立った。
「お前、人のことも考えろよ。自分だけじゃなくて他の人もお前を心配しているってことを忘れるなよ」
真耶がそう言うと、ついにルーナは泣き出してしまった。泣いて許されると思うなよ、と言おうかと思ったが流石にそこまで言うとこの子は精神崩壊するかもしれないからやめておいた。
「まぁ、奏とお前がいいなら俺と一緒に冒険しても構わないが・・・」
真耶がそう言うと、ルーナは顔を上げ真耶の目を見つめた。奏は良いよ、と言わんばかりに笑っている。
「あ、あの・・・私の父のせいで迷惑を・・・かけてしまった・・・ので、それ以上・・・は、迷惑を・・・」
「迷惑かけてもいいんだぜ。それに、俺がやめろと言ってんだ。その後も俺が責任を取るのが筋ってもんだろ」
真耶はそう言って手を差し出した。ルーナはその手を見ると、涙を拭って掴んだ。
「じゃあ、早速俺の登録をしてくれ。あと、自分の登録とかできるのか?」
真耶がそう言うと少し暗い顔をする。それもそのはず、ルーナはこれから3回も気持ちよくならないといけない。ルーナの心の中で葛藤してるんだろう。
(てか、コイツ俺の話聞いてたのか?別にエッチなことするわけじゃないって言った気がするんだが・・・)
その時、突然後ろから声をかけられた。後ろを向くと、ルーナが服を脱ぎ始めている。本当にこいつは話を聞いてなかったのか・・・。
「何してんの?話聞いてた?」
「え?」
「はぁ、別に気持ちよくなるならツボ押しとかでもいいだろだろ」
「まーくん出来るの?」
「前に何度か漫画を読んでな、マスターした」
そう言って真耶は肩を回す。
「ん?どうした?」
奏の方をから尊敬の眼差しを感じた。見ると、目が煌めいている。
「まぁいいや、じゃあそこに寝転がってくれ。服は背中だけ開けてくれればいい」
「うん・・・」
ルーナは背中を出してソファーに寝転がる。真耶はその上に乗ると腰に手を置いた。
「ん♡・・・あぁ♡・・・」
「さて、始めるか・・・」
そう言って親指で背中を押していく。
グリッ、グリッ、グリッ・・・
「はぁぁぁぁぁ♡良い♡良い♡気持ちいいでしゅ♡」
「バッ!声デケェよ!・・・はっ!」
再び後ろをむくと窓に人がよってきているのが見えた。悪夢が再び蘇る。また死ぬ。そんな考えが頭をよぎった時目の前に何かが現れた。
【冒険者登録完了しました】
「あ、出来た。お前らは?」
「ちょっと待って・・・出来てるよ!」
「あ、はい。出来てます!」
「ん?」
少し不思議に思った。何故か皆はステータスプレートを確認している。
「お前らなんでステータスプレート確認してんの?ここら辺に出てこないのか?」
「何言ってんの?出てくるわけないでしょ」
マジか!?じゃあ俺だけなのか?これ出てこないのか・・・謎だな。
「どういうこと?」
「ん?あぁ、いや、前に勇者が言っていたからな」
「そういう事ね!」
なんとか誤魔化した。多分このことも含めて俺の事はあまり知られない方がいい気がする。そんなことを思っているとルーナが聞いてきた。
「勇者?勇者って現れたんですか?どこに現れたのですか?」
「え?いや、たまたま見ただけだから・・・あまりよくは・・・そこはあまり聞かないでくれ」
「は・・・はい・・・」
ドンッ!
その時、再び窓が壊される音が聞こえた。来た!
「近寄れ!”物理・・・」
「待てよあんちゃん・・・」
魔法を唱える前に捕まえられてしまった。冒険者の人達が嫌な顔で笑う。多分死んだ。いや、絶対死んだ。
「・・・皆、骨は拾ってくれ」
真耶はそう言い残して連れていかれた。
━━10分後・・・
「大丈夫?」
「いや・・・ダメだ。死にそうなんだけど・・・はぁ、まぁ試したいこともあったからいいけど・・・」
そう言って足を進める。今、真耶達がいるのは街の外だ。なんでここにいるかと言うと、登録出来たので、早速クエストを受けたのだ。
「でも、本当にやばいよ。肩外れてるし・・・」
確かに今の真耶は無事では無い。肩は外れ、足は血まみれ、頭から血のシャワーでも浴びたかのように真っ赤だ。
「だから大丈夫だって。冒険者の人達は皆病院を進めたけど大丈夫だって。そもそも、やったのあいつらだろ」
「うん・・・」
そんなことを話していると、魔物が現れた。再び悪夢が蘇る。
「丁度いい。やってみよう」
そう言って真耶は魔力を右目に溜めた。すると、右目が黄緑に光紋章が浮かぶ。優眼だ。真耶は優眼を使うと自分の体に手のひらをつけた。
「さて、どうなるかね・・・”物理変化”」
真耶の体が光り輝く。その光はすぐに収まると真耶の姿が見えてきた。しかし、肩が治っている以外に何も変わっていない。
「やっぱり欠損した部分は治せないか。他に何かないのだろうか・・・」
真耶がブツブツ呟いていると魔物がこっちに向かっているのに気づいた。
「ブツブツ・・・なるほど、そういう事か。これは使えるな・・・」
「ま、まーくん!逃げて!」
「よし・・・”物理変化”」
再び真耶の体が光る。そしてその光の中から何かが出てきた。
グギャァァァァ!
魔物が断末魔をあげる。よく見ると、剣が刺さっている。しかも、鉄の剣が。
「やっぱり、上手くいった」
光の中から現れたのは傷も何もかもが治っている真耶だった。その左目は黄色く光って右と同じ紋章が着いている。さらに鉄の剣を持っている。
「どうしたの?それ・・・」
「どうにかして作った。秘密にしてくれ」
奏は静かに頷いた。どうやらこの目は、ある物質を別の物質に作り替えるようだ。流石にそんなこと話せるわけないだろ。
「こんなこと話して有名になったら、世界の理から外れてるー!とか言われて異端者認定されそうだな・・・」
「なんか言った?」
「うんにゃ、何も言ってねぇよ。帰ろうぜ。今、倒したやつが目的の魔物だしな」
真耶はそう言って魔物を取って歩き始めた。2人はその後ろをついて行く。
「なんか呆気なかったね!」
「そうですね。もっと強い魔物が出てきても良いのですが・・・」
2人がそんなことを言う。真耶はそれに対し振り返ると注意をした。
「おい、それフラグだろ。そんなフラグはすぐに回収されるんだよ・・・」
真耶はそう言って前を向くとあることに気づいた。と、言うより気づきたくなかったのに、気づかざるを得なかった。
「・・・こんな風にな」
そう言って振り返ると親指で指す。その先には巨大なドラゴンがいた。
「あ・・・あ・・・あ・・・あ・・・」
奏は恐怖で何も言えなくなった。ルーナは速攻で失神してしまった。まぁ、叫ばなかっただけでも良かったかな。ドラゴンはまだこっちに気づいてないらしい。
「今のうちに・・・」
前言撤回だ。気づいている。めっちゃこっちを見てヨダレを垂らしている。
「クソッ、やっぱりダメか。戦うしかないか・・・」
真耶はそう呟くとすぐに走り出した。一直線にドラゴンに近づき剣を構える。そして、一気に突き刺した。
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