第27話 決闘開始!
「それは脅しか?」
「あぁ脅しだ。今すぐアロマから離れないとどうなるかわかるだろ」
「いや、わからないね。俺は未来は見えないんでね」
真耶は脅されてるにもかかわらずいつも通りの口調で話す。剣聖はそれが頭にくるのか話す度に喉元に剣を近づける。
「やめとけ。ここで殺し合うのはお前にとって最悪の結果になる」
真耶にそう言われ当たりを見渡すと人がかなりいた。
「そういう事か。他の人を巻き込むということか」
「そういうこと」
というのは嘘で、本当は手加減出来ないから剣聖を殺してしまうってことだよ〜。とか言いたいけどそれもやめておこう。それこそ殺し合いになりかねない。
「まぁ、お前も俺も戦いたいって気持ちはあるわけだ。だから決闘しようぜ」
「良いだろう。君がどうなっても知らないが覚悟しておけよ」
即答だった。向こうがやる気なのはありがたいがここまでやる気だと少し悲しい。なぜなら、本気で俺の事を殺したいらしいからだ。
「勝負は明日明朝。じゃあな」
真耶はそう言ってギルドを出ていく。
「待て!もしアロマに手を出したら……」
「黙れよ。アロマはお前のものじゃないんだよ」
少し殺気を込めてそう言い放った。その殺気に気づいたのか剣聖は体を強ばらせる。そして、冷や汗を垂らす。
「アロマ……絶対に取り返すからな」
その言葉がギルドの中に小さく響いた。
━━場所は変わって奏達は……
「はぁはぁ・・・遠いよ〜!」
「マヤさんは足が速すぎでしゅ……」
3人はちょうどルーレイトとロストの間にいた。
「そういえば、クロバは宿の仕事良かったの?あと、服着ないの?」
「宿は1時休んでます。お尻をかなり強く何回も叩かれましたけど許して貰えました」
なるほど、だから座ったりしないのか。
「あと、服は来る前に全てマヤさんに渡したのでないです。それに、今下着を履くとお尻が耐えきれないのでこのままでいいです」
そう言って真っ赤に染まったお尻を見つめる。
「まーくん……帰ってきてよぉ……」
そんな呟きは虚しく空の彼方へ消えていった。
━━再び場所は変わって真耶達は……
「武器は買わないのですか?」
「あぁ、買わないでいい。見るだけだ」
武器屋に来ていた。だが、来たからと言って買う訳では無い。ただただ武器を見つめていた。
「魔剣とか聖剣とかそういうのってないんだよな」
「高級ですから。魔剣なら作れるかもしれませんが、効果が弱かったり作れる人が少なかったりとあまり普及してません。聖剣などは貴族ぐらいしか持ってないでしょう。シュテルがもってる剣は聖剣です」
またそういうハンデありかよ。神器と戦ったり聖剣と戦ったり異世界は大変だ。
「よし、帰るか」
「はい」
2人は何も買わずに店を出ていく。その数秒後に剣聖が来たのを真耶達は知る由もなかった。
「それでは、剣聖について説明しますね」
アロマは宿に戻ると話を始めた。剣聖の弱点、剣聖の技、聖剣の弱点などなど。全ての情報を頭に叩き込んだ。
「なるほどね。じゃあその攻撃を食らったら最後、俺は負けが確定するわけだ」
「はい。あの攻撃は、王国最強の冒険者でも防ぎきれなかったので。絶対に避けてください」
「善処はしよう」
真耶な剣聖の情報を知って脳内でシミュレーションをする。全ての状況に対応できるようにするためだ。だが、例外はある。だから、それにも対応できるようシミュレーションをする。
「よし、これくらいか……今日はもう遅いし寝るか」
「その前にご飯ですよ。今日は私が作りました」
「ありがとう・・・て、そういえばお前宿の仕事はいいのか?」
「はい。マヤ様と冒険をしたいと言ったら休みを取れました!」
そんなことを喜びながら言ってくる。だがそれは、俺が勝つことが前提だ。ということは……
「俺は負けられないってことね」
「そういうことです!」
そう言いながらご飯を用意する。真耶は用意されたご飯を食べ始めた。この世界に来てから数日だが、まともにご飯を食べたのは久々だ。とても美味しかった。
「どうでしたか?」
「とても美味しかったよ。この世界に来て久しぶりだからな」
アロマは真耶の話を聞きながら食器を片す。全て片付け終わったところで真耶は自分のステータスプレートを確認した。
「時眼……」
他に2つの特殊スキルを手に入れたがそれらも含めかなり強力だ。特にこのスキルは恐らくこの戦いでかなり使用することになるだろう。
「……自分の体に見合った技ならいいんだけどな……」
「なにか言いましたか?」
「……いや、何でもない」
真耶は素っ気ない返事をすると風呂場へと向かう。アロマもやることが全て終わったのか真耶について行く。
「一緒に入るか?」
「はい!」
真耶は優しく微笑んで一緒に風呂に入った。その様子は、傍から見ればロリコンのようだった。
「マヤ様ってロリコンなんですか?」
「え?なんで?」
「だって……私の体をまじまじと見るのですもの……」
「……フフ、そうだよ。俺はロリコンなんだ。よくわかったな」
真耶はそう言って笑う。そして、楽しい時間はあっという間に過ぎていった。
━━次の日……
「さぁさぁ始まりました!今回対決するのはなんと!あの、最速の剣を持つ剣聖シュテル様!対するは、謎の冒険者マヤ!」
いや、俺の説明前と同じじゃないか!誰だよ!?俺の説明共有されてんのか!?てか、剣聖もうやる気じゃねぇか!まだ始まってないのに剣構えてんだよ!
真耶は心の中でそう思う。そして、戦闘態勢をとった。
「レディ……ファイト!」
え?前にやった時はそんな掛け声なかったぞ。
と、思っているとシュテルの姿が消えた。
「あれ?どこに……」
「これで終わりだ」
シュテルの声が後ろから聞こえる。そして、その数秒後に全身に切り傷が出来た。全て致命傷になるところを切られており普通ならここで終わりだ。
「まぁ、俺は普通じゃないから終わらないんだよね」
そう言って平然と振り返る。その様子にシュテルは目を丸くした。
「なぜ生きてる?かなり細かく切り込んだはずだが……まぁいい。これで終わりだ」
再びシュテルの姿が消えた。恐らく高速で移動しているのだろう。だがそれも、慣れてしまえばなんてことはない。
「何!?」
『嘘だろ……』
『何もんだよあいつ』
ザワザワザワザワ……
会場がざわめいた。だが、それもそのはず。真耶はシュテルの剣を人差し指と中指で挟んで止めたのだ。
「剣が遅い。手加減でもしてんのか?そんなことしてたら死ぬぞ」
そう言って剣を横に曲げて折ろうとする。しかし、曲がらない。
「これは……”神眼”」
〈神聖霊剣シュテルンツェルト〉━━━━━
・星の奇跡
・天使の奇跡
・霊魂干渉
・聖属性強化
・聖属性覚醒
・聖属性限界突破
・闇属性耐性
・熱変動耐性
・溶解無効
・不壊
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神眼によって見えてきたものは以下のものだった。
(不壊か!やられた!てか、付与効果多すぎだろ!)
「隙だらけだよ」
その時、自分の右腕の感覚が無くなった。
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