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モブオタクの異世界戦記  作者: 五三竜
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第18話 勇者との再開

 ギルドの中は騒然となった。勇者がこの街に来たという情報が流れたのだ。


「勇者・・・だと!?」


 真耶は1人呆然と立ち尽くす。あの時、世界中にバラバラに送り飛ばしたがどうやらこの近くに勇者が来ていたらしい。


(いや待て!よくよく思えばあったじゃないか!あの街にも、この街にもポスターが)


 ふと思い返すと、あちこちにポスターが張ってあった。そこには希望の顔が描かれている。


「諸君!困っているものはおるか!」


 突如大きな声と共に扉が勢いよく開けられた。


「っ!?」


「ん?君は・・・どこかであったことがあったな」


「・・・同じクラスの月城真耶だ」


「月城・・・悪いね、そこら辺のモブは覚えてないんだ。あ、もしかしていっつも僕を囲っていた人の1人かい?」


 してねぇわそんなこと。と、思ったが口に出さない。他にも多くのことを思ったが全て心の中で抑え込む。


「・・・まぁいい、俺は次の街に行かせてもらう。またどこかで会おう」


「待て!お前、なぜ僕から逃げるんだ!?もしかして、やましいことでもあるのか!?」


 はぁ!?こいつ何言ってんの!?意味わかんねぇし、勝手に決めつけるなよ!


 頭の中がそんな考えでいっぱいになる。


「あ、あの、勇者様・・・その方とお知り合いですか?」


 受付の女の子がそう聞く。


「さぁ、僕は覚えてないな。それより、君はこいつのことを知っているのか?」


「彼は、を脅かす魔物を倒してくれました」


 他のギルドの受付の人がそう言う。それを聞いて、希望はそうか、と頷く。


 てか、コイツまじで腹立つな。誰のおかげで生きていられると思ってんだよ。


 そう思いながら服を整える。


「奏、ルーナ、行くぞ!」


「あ、あれ?私は?」


「クロバも来るか?」


「うん!」


 クロバは顔を明るくさせて真耶に近づいて来た。そして、ギルドを出ようとする。しかし、止められた。


「待て!お前強いんだな!俺と決闘しろ!」


「はぁ!?何でだよ!?」


 何故か決闘を申し込まれた。別に戦う必要など無い。それに、さっきあんだけ言われて腹が立ってはいるがめんどくさい。


「結構です」


 そう言って振り返った。すると、何故か3人が自分を通さないようにしている。


「なんのつもりだ?俺は決闘なんてしないぞ」


 そう言っても通してくれない。それに、何故か怒っている。


「あれか?ここで断ったら言われ損だとか弱虫に見えるとか言いたいのか?」


 すると、小さく頷く。


 ・・・はぁ、仕方がない・・・


「わかったよ。その決闘、受けさせてもらう!」


 そう言って、希望の方を向いた。


「そうか!なら日時はお前が決めていいぞ!」


「なら、明日だ」


「そうか!では、僕は準備をしてくるよ!」


 そう言ってギルドから出ていった。


「すみません!」


 すると、突然女の子が入ってきた。その子も見たことがある。勇者パーティにいた治癒士ちゆし如月きさらぎ癒優ゆゆだ。癒優はどうやら勇者と一緒に飛ばされたらしい。その後から続いて2人入ってきた。魔術師まじゅつし黒波くろなみ彩花あやか騎士きしつるぎ雷斗らいとだ。


「ん?君は、どこかで見たことがある気がするね」


 雷斗は入ってくるなり真耶にそう言う。


「当たり前だろ。クラスメイトだぞ」


 真耶は半分呆れてそう言う。


「そうか、悪いね。僕を囲っていたモブ達か。僕はそんな人達のことなんて覚えてないんだ」


 いや、だからそんなことしてねぇよ!


 と、ツッコミたいが我慢する。


「月城真耶さんだよね?」


「それと、夜桜奏さん。あってる?」


 そう言って話しかけてきたのは癒優と彩花だ。2人は優しい笑顔で話しかけてくる。


「なんだ、俺達のこと知ってたのか?」


「知らないと思ってたの!?侵害だよ!」


「クラスメイトのことは覚えるようにしてるんだ」


「なるほどな。それならおかしくはないか」


 真耶がそう言うと、2人は頷く。


「それより、生きてて良かったよ!あの時、皆バラバラになっちゃったからずっと不安だったんだ!真耶さんは何か知ってる?」


 そう聞かれた。ここで、全てを説明することも出来る。ただ、人が多すぎだ。それに、知らない方がいいこともある。


「いや、分からないなぁ。俺も、気がついたら知らないところにいたし」


「そうなのね、わかったわ、ありがとう。あと、一人称俺にしたんだね」


 しまった!と、思った。昔は僕だったが忘れていた。まずい、何かあったと思われる。そう思ったが、この2人はイメチェン程度にしか思ってないみたいだ。


「・・・焦った・・・」


「そう言えば、ごめんねさっきの。希望くんは強い人を見ると、見境なしに決闘を挑むの」


「なんだよそれ?戦闘狂バトルジャンキーかよ」


 そう言いながら呆れる。2人は愛想笑いをすると、希望くんは強いよ、と言ってギルドから出ていった。


「お前、勇者に目をつけられるなんて凄いな!」


「凄かねぇよ。そんなことより、決闘なんてどこでやるんだよ」


「どこの街にもあるだろ、闘技場が」


 そう言えば、前に街を見て回った時に見たな、と思う。そして、1つため息をつくと扉まで歩く。


「どこって、明日の決闘に備えるんだよ」


「なんだ、逃げるのかと思ったぜ」


 冒険者の男はそう言っておちょくってくる。確かに、無視して逃げることも出来るがあそこまで3人に言われたのだ。


「やらない訳にはいかないでしょ?」


「ヘッ!確かにな。頑張れよ!」


 真耶はその声に親指を立て、不敵な笑みを浮かべた。そして、ギルドを後にする。


「どこに行くの?」


「武器屋」


「武器買うの!?」


「行ってから決める」


 そう言って武器屋へと向かった。


 ━━ギルドから武器屋まではすぐだ。冒険者がいつでも武器を整備できるようにどの街もそうしてある。だからすぐに着くはずなのに・・・


「人が多すぎて全然つかねー!おい、退けよ!」


 ギルドから武器屋までの道に人が敷き詰められている。


「お前勇気あるな!勇者と決闘なんてすげーよ!」


「キャー!勇者様がこの街に来たのね!」


「頑張れよ!無様な負けかたすんなよ!負ける時はかっこよくな!」


 なんで俺が負ける前提なんだ!?てか、邪魔なんだよ!


 真耶は心の中でそう叫ぶ。だが、そんな思いなど通じるよしもなく人は更に増えていく。


(圧死するわ・・・考えろよ・・・毎回こうなるのか?勇者とははた迷惑なやつのことを言うんだな!)


「ま・・・まーくん・・・助け・・・て・・・」


「マヤ・・・さん・・・私も・・・」


 2人は押しつぶされそうになり真耶へと手を伸ばす。


「いや〜、やっぱり行かなくてよかったよ。こんなになるなんて、勇者とははた迷惑なやつのことを言うんだね〜」


 クロバは真耶が思ったことと同じことを言う。それも、誰も来ないような安全なところで・・・


「・・・はぁ・・・退けよ!」


 真耶は2人の手を掴み上に飛ぶ。奏とルーナは突然上にさ引き上げられ驚いた。3人は空に飛ぶとそのまま武器屋まで飛んでいく。武器屋の屋根に着地すると、穴を開けそこから入る。


「あ!入ったよ!俺達も入れ!」


「入って来んな!”物理変化ぶつりへんか”」


 すぐに魔法で扉を固める。これで中には入って来れないはずだ。その隙に真耶は武器を見る。


「なぁ、なんか一言くらい言ってくれないかな?」


 声がした。振り向くと、髭を生やした男の人がいる。


「あ、悪い。出る時治すからちょっとだけ我慢してくれ」


「いや、それは良いんだが・・・それより、勇者と戦うんだろ。神器とじゃ俺の店の武器は歯が立たないだろ」


 武器屋の人はそう言ってくる。


 神器・・・俺達は貰えなかったものだ。少し羨ましい気持ちもあるが、今となっては必要はない。


「・・・フッ・・・」


 思わず笑ってしまった。外がうるさいが、どうやら聞こえたらしい。


「なんで笑うんだよ」


 少し怒りながら聞いてきた。


「いや悪いね。気にしないで欲しい」


「いや、気にするだろ。良いから話せよ」


「そうか?仕方ないなぁ・・・心して聞けよ。お前は自分の武器だと神器には歯が立たないと言っただろ。だがな、どんな武器も使う人で性能は変わるんだ。例え神器だろうと、使いこなせない者が使っても何も意味は無い」


 真耶は真剣に話す。その話を、その場の全員が真剣に聞いた。真耶はそれを1度確認すると、更に続ける。


「ここからは少し話が変わってくるが、武器の性能というのはどれも大して変わらない。心を込めて打った武器はどんな武器よりも強くなるものだ。だから、あんたが心を込めて打った武器はどんな神器よりも強くなる」


 そう言って、色々な武器を触り詳しく見ていく。そして、1つ手に取った。


「俺が証明してやるよ!心を込めた武器は神器より強いということをな!」


 そう言って武器を決めた。

読んでいただきありがとうございます。感想などあれば気軽に言ってください。

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