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モブオタクの異世界戦記  作者: 五三竜
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第170話 真耶の恐ろしさ

 アーサーはアーカーシャの剣を構えティミュールを見た。相手が斬撃しか使ってこないとわかった以上、それを防げばアーサーの勝ちだ。


「王の力を甘く見るなよ。”真裂しんれつ斬連鎖ざんれんさ”」


 アーサーは一瞬で6つの斬撃を繰り出した。そして、前に走り出す。


 ティミュールはそれを見てスロットを回し始めた。そして、5の数字を揃えるが出てくるのは斬撃だけだ。


 どちらの斬撃も素早い動きで飛んでいき、ぶつかり合う。すると、相殺され弾け飛んだ。アーサーはそのすきに間合いに入り込み斬ろうとするが、踏み込みが浅く中々斬れない。それに、何か別の鎧のような感触がする。


「なにか着てるな。だが、関係ない。”創世そうせい紅刃べにやいば”」


 アーサーは1度距離をとると、その場で力強く剣を横に振った。その刹那、血のように赤く染った斬撃が周りの家具などを巻き込みながら飛んでいく。


 しかし、エルマはそれすらもスロットを回し相殺してしまった。


「……おかしいな。チャンスオーブにはここまでの力はなかったはずだ。まさか、あの女の魔法か?」


 アーサーは独り言を呟きもう一度剣を構える。


「やはり、この力を使わなければならないか……」


 そう言って剣の力を使おうとした時、突如目の前に真耶が割り込んできた。真耶はアーサーがなにかしようとするのを止めると人差し指で空中をなぞって何かを書き始める。


「おい、何を……」


「まぁ見てろよ。”創星そうせい星達の交響曲スターオブシンフォニー”」


 その瞬間真耶の描いているものが完成した。それは、五芒星を描いた魔法陣。しかし、その魔法陣は魔法を唱えた瞬間無数の光へと変化した。


 そして、その光は流れ星のようになってティミュールへ向かっていく。


 ティミュールはそれを見てスロットを回し始めた。そして、毎度おなじみのように斬撃が飛んでくる。しかし、その斬撃は何故か弾かれた。


「っ!?」


「ハッ!舐めるなよ!その星は音を奏でている!下手な攻撃では弾かれるだけだ!そしてこの魔法は俺自身の魔力を使わない!大気中に含まれる魔力を使うからな!これで終わりだ!」


 そして、無数の流れ星はティミュールをボコボコにした。そして、気絶させる。


 しかし、その時真耶はある失敗をした。この魔法は速攻で作ったもの。だから、ちゃんとした設定をしていない。さらに言うなら大気中の魔力を使用するなど誰も試したことがない。なんせ、大気中の魔力はコントロールするのは難しいからだ。


 それらのことも相まってか、星は暴走して周りの物を破壊し尽くしていく。


「クソったれ!しくじった!」


「真耶!離れろ!」


 アーサーの声がした。見ると、アーサーはエクスカリバーを光輝かせ天に掲げている。


「”聖剣せいけんエクスカリバー”」


 アーサーはそう言って五芒星の魔法陣を切り裂いた。その刹那、五芒星から放たれた星は小爆発する。


 その小爆発は無数に集まり大爆発になってしまった。真耶達はなんとか結界を張ることでそれに耐えたが、部屋はめちゃくちゃになる。


「……やってしまったな」


「……逃げようぜ」


 真耶はティミュールとチャンスオーブを回収すると急いでその部屋を後にした。


 ━━またまた場所は変わり、エルマは……


「嘘!?ティミュールが殺られたの!?……やっぱり私達の魔力はアヴァロンの人にも適応しないみたいね。まぁいいわ。どうせ何をやっても私には勝てないから。ほら、散歩よメス豚」


 奏はそう言って紐を強く引っ張った。その紐はエルマの鼻に鼻フックとして繋がっており、強く引っ張ったことでさらにエルマの鼻が豚のようになる。


「ひぐぅっ!ぶ、ぶひぃ!ぶひぃ!」


 エルマは涙を流しながら豚の鳴き声のような声を上げる。そうしなければさらに痛いことをされるからだ。


 エルマは黙って奏のすることに付き合うしか無かった。


「ほら、餌よ。食べなさい」


 そう言って泥のようなものを投げつけてきた。それがエルマの顔にべチャリと当たる。


「ぶ、ぶひぃ……!」


 エルマは泣きながら真耶に助けを求めた。


 ━━一方真耶は……


 先程より過激な戦いをしていた。今回の相手はモーガン・ル・フェイの臣下のモーディファイだ。そして、オーブは妖精のオーブ。


 1番厄介なオーブだ。


「真耶ぁぁぁぁ!早く助けてよぉ!」


「バカ!お前が変なことするからこうなってんだろ!」


「ごめんってば!」


 ヴィヴィアンは泣きながらそう言う。


 今どうなっているのかを説明すると、それは5分前……


 真耶達はモーガン・ル・フェイの部屋に来ていた。そこは、一言で言えばクソみたいに広い草むらだ。ただ、妖精からしてみればオアシスなのだろう。


 真耶達はそんな部屋でモーディファイを見つけた。しかも、奏の魔力を持ち、かつ操られて。


 妖精のオーブを持っている人が奏の魔力なんて持ったら終わりだ。なんせ、妖精のオーブは魔力を倍増させ魔法を放てるというもの。1パーセントの魔力を込めれば100パーセントにして放つことも可能ということだ。


 だから、モディファイは奏の魔力を倍増させとんでもない魔法を放ってきていたのだ。


「真耶ァ!助けてよ!」


 今回はヴィヴィアンがやると言ったからやらせたが、魔法が強すぎて防戦一方となってしまった。しかも、矛先が真耶達に向いて攻撃してくる。だから、ヴィヴィアンと真耶は結界を張り耐えているのだ。


「まぁやぁ!助けてぇ!」


「あぁもう!うっさいな!分かったから静かにしろ!”理滅りめつ歪曲わいきょく”」


 その瞬間、空間はぐにゃりと歪み全ての魔法は消えた。そして、突然のことにモディファイは言葉を失う。


 その一瞬の隙に真耶は首元をトンとしてモディファイを気絶させた。


「いい加減慕うものを困らせるのは止めろ。敬愛しているのであればそれなりの態度を示せ」


 真耶は気絶して聞こえてないだろうが、モディファイにそう言って少しだけ恐怖心を煽るような表情をした。


「真耶ぁぁぁぁ!ありがとぉぉぉぉぉ!」


「ったく!もうお前には任せられん!」


「ごめんなさあぁぁぁぁぁぁい!」


 ヴィヴィアンはそう言って涙を流しながら謝ってきた。まぁ、真耶としてはそこまで怒る意味もないのでここら辺で許してあげる。しかし、お仕置はしなければならない。


 そう思った真耶は日本にいた時世界一辛い物として知られていたキャロライナリーパーを魔法で作り出した。そして、ガムテープも同時に作り出す。多分これで真耶が何をしたいかわかる人もなかにはいるだろう。実際のところ、ヴィヴィアン以外のその場の全員が理解した。


「ヴィヴィアン、”動くな”」


 真耶は左目に太極図を浮かべながらそう言った。すると、ヴィヴィアンは体を動かせなくなる。


 そんなヴィヴィアンの口と鼻に真耶はキャロライナリーパーを詰め込んだ。そして、ガムテープで口と鼻を閉ざす。呼吸は口と鼻が閉じられても出来るようにしておいた。これで準備が完了だ。


 真耶はそこまで辛いとは思わなかったが、皆辛いと言った。恐らく辛いのだろう。そう思っていると、突然ヴィヴィアンの顔が真っ赤になった。そして、もがき苦しみ始める。


 真耶はそんなヴィヴィアンを見ながら楽しそうな笑みを浮かべると、モディファイとオーブを回収して次の場所へと向かうことにした。


「んんんんん!んんんん!んんんんんんんんんんんんんんんーーーーーーー!!!!!」


 ヴィヴィアンの声にならない悲痛な叫びは少しの間その場にこだまし続けた。

読んでいただきありがとうございます。

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