第169話 強敵襲来
━━真耶達は次の場所へと急いだ。その道中にトラップがあったが、それすらも壊して進んでいく。
そして、ある程度進んだところである部屋に来た。それは、共同部屋。それも、パーシヴァルとベディビアの部屋。そこには2人の人がいた。それぞれ男と女。男の方がパーシヴァルの臣下でニィル。女の方がベディビアの臣下でビュレイダ。どちらもオーブを持っている。
「フッ、また厄介なのが来たな」
「リヴァイブオーブとセイクリッドオーブでしょ。私がやるわ」
そう言ってヴィヴィアンが前に出た。
「行けんのか?」
「何よ?私じゃ不安なわけ?」
真耶の問いにヴィヴィアンはそう言って少しムッとする。しかし、そんなヴィヴィアンに真耶は言った。
「……なぁ、戦うのはいいけどさ、パンツくらい履こうぜ」
「真耶が叩いたから擦れて痛いの!見てよ!真っ赤に腫れてるじゃん!」
ヴィヴィアンはそう言って怒る。そして、涙を流しながら念のようなものを送ってくる。
普通にヴィヴィアンはそういうの得意だから何か悪いことが起こりそうで怖い。
「……て、お前後ろ」
「もぅ、話してる時に来ないでよ!”ミラーオーブ解放。乱反射”」
ヴィヴィアンが魔法を唱えると、色んな方向を向いた鏡が現れた。その鏡はニィルとビュレイダを囲んでしまった。
「こんな物ね。”サンダーボール”」
ヴィヴィアンは雷のボールを放った。それは、鏡にぶつかると乱反射して分裂する。大量に分裂した雷のボールはニィルとビュレイダに当たり痺れさせ気絶させた。
「ね、出来たでしょ」
「フッ、良くやったな」
真耶はそう言って誇らしげな顔をするヴィヴィアンの頭を撫でた。ヴィヴィアンはそれが気持ちよかったのか照れくさそうに、かつ嬉しそうにニコニコしている。
真耶はそんなヴィヴィアンを褒めるとオーブを回収した。そして、絨毯を広げニィルとビュレイダを中に入れようとした。
「ん?これって……っ!?」
その時、真耶は絨毯を見てなにかに気がついた。
「まさか……いや、それなら辻褄が合う。それに、あの魔法陣も……」
突然真耶は考え込み、ブツブツと何かを唱え始めた。アーサーはそんな真耶を見てなにかに気がつく。
「真耶……」
モルドレッドは心配そうに真耶の名前を呼んだ。
「……フッ、フフフ……フハハハハハ!どうやら俺の辿る道は1つしかないようだ」
「え?どういうこと?」
「結局奏を倒さなければならないと言うことだ」
真耶はそう言ってモルドレッドの頭を撫でた。そして、優しい笑顔を作る。モルドレッドはその笑顔を見て逆に心配になったが、真耶を信じることにした。
そして、それからさらに次の場所へと向かった。次の場所はコンスタンティンの部屋だ。だが、そこに着くと、誰もいない。
「ここはコンスタンティンの部屋だよな?もっとキラキラしてると思ったが、意外と質素な感じなんだな」
「そうね。あんなにギャンブル好きなのに……」
真耶達はそんなことを言いながら部屋を散策する。やはり、質素だ。普通の部屋に、普通の椅子やテーブルなどの家具がある。広さも少し広いくらいだ。真耶達が周りを見渡していると、部屋の中に謎の金庫を発見した。
「……絶対この中にあるだろ」
「そんな感じがするね」
「壊すか?」
皆は口々にそう言ってくる。だが、何故か嫌な予感しかしない。壊したら途端トラップが発動して襲ってきそうな気しかしない。
『マヤ、私が開けようか?』
突如耳元でそんな声が聞こえた。振り返るとクロエが居る。クロエはどうやら白虎と朱雀、玄武を連れてきたらしい。
「クロエが?やめておいた方がいい」
「私の攻撃は?」
「だから、攻撃しようとするな。こういうのはな、攻撃した途端トラップが反応するんだよ。だから、ピッキングするのが1番……っ!?」
突如真耶はその場にいる全員を魔力の波で部屋の端まで押し飛ばすと、ジャンプし天井に張り付いた。
そして、その5秒後にその場に無数の斬撃が飛んできた。
「ハハッ!次はお前か!ティミュール!」
そう言って目をやった先には金色のオーブを持った女性がいた。
「真耶!私が……」
「いや、こいつは俺がやる。多分お前らじゃ倒せない」
「なんで!?」
「こいつ強化されてやがる。奏の魔力を中から感じる」
「っ!?」
真耶の言葉にその場の全員が言葉を失った。真耶はそんなアーサー達を一瞥するとすぐにティミュールに向き合う。
「面白い戦いになりそうだ。クロエ!あれをやるぞ。なるべく魔力を温存したい。お前の魔力を使わせてもらう」
『わかったわ!』
真耶の呼び掛けでクロエは真耶の中へと入っていった。そして、右腕にどんどん集まっていく。
「”神閃龍覇”」
真耶がそう唱えると、右腕が黒龍のような形になった。
「よし!行くぞ!」
真耶は真っ直ぐ突っ込みティミュールの心臓に爪を突き刺した。しかし、ティミュールは死ぬ様子を見せない。
チャンスオーブを片手に、なにか呪文を唱えた。
「”回れ、スロットよ”」
その瞬間、スロットのようなものが現れる。そして、そのスロットはある程度回ると自然と止まった。そこには1の数字が揃っていた。
「っ!?」
真耶はそれを見て少し下がると爪をめちゃくちゃに振る。すると、無数の斬撃が飛び出しティミュールを襲う。しかし、ティミュールも同じように斬撃を出し、全て相殺された。
「やはりな。技はコンスタンティンと同じくらいか……いや、それ以上か?まぁいい。”神閃龍覇・黒い鉤爪”」
黒い爪は一振することで黒い斬撃を放った。その斬撃は普段の斬撃とは違い、爪のような形をしている。
「”回れ、スロットよ”」
再びスロットが回り始めた。そして、すぐに止まり6の数字を揃える。その瞬間、斬撃と共に真耶の右腕が切り裂かれた。
「っ!?」
「真耶!」
『しまった……!』
右腕を切り裂かれたことで、真耶とクロエの共鳴状態を強制解除される。
「チッ……。予想外だった。まさか、力を操れてないとはな」
「真耶、何が起こった?」
アーサーがそう言いながら真耶に近づいてくる。
「やられたな。多分アイツは自分の力をコントロール出来ていない。だから、あのスロットは何を揃えても斬撃しか来ないということだ」
真耶はそう言いながら自分の右腕を再生させた。背中に手をやり剣を掴む。今回はアルテマヴァーグだ。
「よし。やるか」
「いや待て、我がやる。お前はそこで見てろ」
「え?いや、俺にカッコつけさせろよ」
「無理だな。相手が1つしか魔法を使えないとわかった以上、俺でも倒せる可能性はある」
「そうだけどさ」
「お前はそこでモルドレッドといちゃつきながら見てろ」
アーサーはそう言って背中の剣に手をかけた。
「フッ、そっちで行くのか?」
「あぁ。今日はエクスカリバーじゃない。アーカーシャの剣でいく」
そう言ってアーカーシャの剣を構えた。
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