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モブオタクの異世界戦記  作者: 五三竜
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第164話 違和感

 扉を壊すとそこには驚きの光景が待っていた。その部屋はかなり広く、部屋の奥が少し上がっており椅子が置いてある。見た目は王族が住むような城に似ている。


 そして、その真ん中には普通アーサーが座るはずなのだが、アーサーは片膝をつき扉側にいる。そして、椅子を見上げるようにしていた。


 そして、その椅子には何故か奏が座っている。その周りをルーナ達が囲んでいた。


「あら、ケイオスも来たのね」


「悪いな。今の俺は月城真耶だ」


「そう。そんなことはどうでもいいわ。なんで来たの?」


「それはこっちのセリフだね。俺は忠告したはずだよ。アーサーには勝てないと」


 真耶は不敵な笑みを浮かべながら言った。その言葉を聞いて奏は気味の悪い笑い声をあげる。


「うふふ、何言ってるの?この状況を理解できないの?」


「お前こそ何を言ってる?お前はアーサーには勝てないさ。俺と共闘したアーサーにはね」


「っ!?」


 その瞬間、アーサーは立ち上がり剣をかまえ走り出した。それと同時に真耶も走り出す。


「アーサー!お前は右だ!俺は左をやる!」


「了解した!」


 そう言って真耶はアムールリーベを抜いた。


「”ディスアセンブル砲”」


 後ろからモルドレッドがディスアセンブル砲を放つ。それは、アムールリーベに向かって行き、吸い込まれていく。


「行くぞ!」


「あぁ!”聖剣セイントソード”」


 アーサーの剣が光り輝く。それに反し、真耶の剣は黒く輝く。


『”コズミック・クロス・エンド”』


 2人の剣が交わり十字クロスを描く。そして、そのまま息のあった攻撃は奏達に襲いかかる。


「”レインボーウォール”」


 奏の前に虹色の壁が現れた。真耶とアーサーはその壁を切りつける。その瞬間、真っ白に光る巨大な十字クロスが現れた。その十字クロスからは、とてつもない爆風が吹いてくる。


 真耶とアーサーはその攻撃をした後すぐに後ろへと下がりモルドレッド達の元へと戻ってくる。


「……やった?」


「いや、無理だな」


「あぁ。感触的に壊すことは出来た気がするが……」


 そんなことを言っていると、奏達の姿が見えてきた。どうやらさっきの攻撃は通らなかったらしい。無傷の奏達が現れる。


 しかし、結界は無傷ではなかったようだ。ボロボロで崩れかけている。ところどころには穴が空いており、使い物にはならなそうだ。


「さすがね。まさか、私の結界がここまで壊されるなんて思ってもなかったわ」


 奏はそんなことを言いながら結界を消した。その瞬間、真耶はアルテマヴァーグを勢いよく振り下ろした。すると、突然何かが弾かれる。


「暗器か……」


「よく気づいたわね」


「当たり前だろ。そもそも、これだけ長くいて気づかないわけが無い」


「どういうこと?」


「フッ、考えてみれば簡単な話だ。なぜ俺が記憶を失ったのか。なぜ俺がこの世界に来たのか。全て簡単な事だったんだ」


 真耶はそう言って呆れたように笑う。奏はそれを見ながら少しだけ殺気を強めた。


「なぁ、お前らにはこう言ったよな?俺は記憶を代償に真耶となったって。あれは嘘だ。でも、お前らは信じた。そして驚いた。だが奏、お前はどうだ?あの時笑っていたよな?お前はこう思ったんだろ。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()って」


『っ!?』


 ルーナ達は驚きながら奏の顔を見た。普段の奏ならこういう時に慌てるはずなのに、全く慌てる素振りを見せない。


「そもそも、不自然なことはいくつかあった。古代の魔力の時もそうだ。俺は古代の魔力により真耶から一時的にケイオスになった。お前はあの時かなり慌てたな。それに、気づくのがとんでもなく早かった。どうせ、自分がかけた魔法が解けたのでは無いかと思って慌てたんだろ。そもほも、普通顔も性格もほとんど同じ人を一目で判断するのは難しい。唯一ケイオスと真耶で違うことは、感情があるか無いかくらいだ。だがお前はそれすら確認せずに俺をケイオスだと決めつけた」


 真耶はそう言って怖いくらいに不敵な笑みを浮かべる。


「そんなの、愛の力よ。愛があれば分かるのよ」


「そんなことはありえない!なんせ、その時は誰もケイオスを知らなかった。だから、顔や愛だけで感情がない人を見分けることは出来ない。それに、普通あの場に遺物があったら、遺物に乗っ取られたと思うだろ。そもそも、俺の細かい変化に気づけないやつが愛を語るな。てか、それだけじゃねぇんだよ。お前がデウスエネルギーで倒れた時も、聖痕で倒れた時も、全部おかしいんだよ。今だから言うが、聖痕は倒れるほどではなかった。それに、デウスエネルギーの解呪薬も即効性のやつではなかった。元々呪われてなんかいなかったんだろ!」


 真耶は殺気を込めた声でそういう。奏はその言葉を聞いて1度瞬きをするととてつもない殺気を放ってきた。


 その殺気はまるで身体中に刺さるように襲ってくる。そして、津波のような波を作り出しルーナ達を部屋の端まで押し飛ばした。


「そこまでわかったのね……。なら、生かしておく訳にはいかないわ」


「ハハ!まるで俺より強いみたいな言い方だな!」


「当たり前でしょ。だって、私の方が強いもの。”ラグナロクファイア”」


 奏は杖を構え魔法を使った。杖からとんでもないほど強大な炎が吹き出してくる。その炎はこれまで奏が放っていた魔法とは段違いに強い炎だ。


「モルドレッド!頼む!」


「ん!”ディスアセンブル砲”」


 モルドレッドは真耶の合図でディスアセンブル砲を放った。真耶はアムールリーベでそれらを全て吸収する。


「”インペリアルセイバー”」


 真耶はその一撃で炎を切り裂いた。斬撃からは爆風が吹き荒れ炎が吹き散らかされる。


「真耶!」


 アーサーは真耶の名前を呼びながら自分の元まで魔力の糸を作り引き寄せる。


「助かったよ」


「我もな」


「……なんで死なないの?」


「いきなりだな。言ったろ、お前じゃ俺らには勝てない」


「そう……じゃあ一言注意しておくわ。前ばかり気にしていると、後ろが手薄になるわよ」


 奏はそう言って手を前に突き出した。そして、強く握りしめる。その刹那、後ろから悲鳴が聞こえた。


「きゃあっ!?」


「っ!?モルドレッド!」


 なんと、モルドレッドがどこからか現れた槍に心臓部分を突き刺されたのだ。


「バカねぇ。前ばかり見てるからよ」


 奏は勝ち誇った顔でそう言う。しかし、真耶はそのことに対し怒りを覚えることがなかった。


「……まぁ、そろそろかな」


 そうった途端、モルドレッドの姿が変わる。なんと、その正体は希望だった。


「っ!?なんで……!」


「ざまあみろ。俺の方が何枚も上手だな」


 真耶はそう言って煙玉を撒いた。その煙は、一瞬で部屋を埋め尽くす。


「”星剣せいけん”」


 突如煙の中から無数の流れ星が出てきた。どうやら、アーサーはシュテルだったらしい。


「”希望斬きぼうざん”」


 希望が攻撃をする。その瞬間、モルドレッドとガウェイン、ヴィヴィアンが攻撃態勢をとった。


「っ!?まずい……」


「負けない。”エンペラーレイ”」


「フッ、これもあいつのためだ。”コズミックレイ”」


「これも世界のためなのかもね。”トライバースト”」


 皆一斉に自分の中で1番強い技を使う。


「クッ……!舐めないで!そんなの聞くわけないでしょ!”ラグナロクオーラ”」


 奏は波動にも似た終わりのような気を波のように放ってきた。それは、触れるものを全て消してしまっている。


「これで終わりよ!」


「いやまだだ!」


 その時、突如アーサーが上から、真耶が下から現れた。どうやら2人はそれぞれ天井裏と床下に隠れていたようだ。


 アーサーは出てくるなりすぐに攻撃をする。


「行くぞ!”エクスカリバー”」


 剣から高密度に圧縮された魔力の斬撃が放たれる。それは、奏のはなった魔法に向かってまっすぐ飛んでいく。


 真耶はその攻撃に向かって全力で飛んだ。そして、アムールリーベを強く握りしめる。


「っ!?まさか……!」


「そのまさかだ!」


 なんと、真耶は攻撃を全て吸収した。しかも、奏の攻撃まで。


「これで終わりだ!”神滅しんめつ・プラネットディザイア”」


 真耶はその剣を勢いよく縦に振り下ろした。その刃は奏の左肩から股にかけて切り裂く。そして、その後ろの空間も真耶の攻撃によって切り裂かれた。

読んでいただきありがとうございます。

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