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モブオタクの異世界戦記  作者: 五三竜
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第163話 不安

「よっしゃあああああああ!やる気が出てきたぜ!」


 真耶はそんなことを言いながら外に出た。すると、モルドレッド達も門から普通に出てくる。


「真耶、そんなに急ぐ必要は無いだろ。あと、モルドレッドとなんかいい感じの雰囲気出てたな。作戦の確認がまだじゃねぇか」


 ガウェインがそんなことを言ってくる。


「行きながら確認すればいい。てか、お前ずっとどこにいたんだよ」


「俺か?俺はずっとアヴァロンにいたよ。エルマと一緒にな」


 ガウェインはそんなことを言ってくる。それなら早く出てきて俺を助けろよと思ったが、多分ここまでの一連の流れがガウェイン、もしくは俺自身の考えだったのかもしれないから何も言わない。


 が、一応聞いてみる。


「なんで俺が地獄に落とされるのを止めなかったんだ?」


「なんだ、お前忘れたのか?お前がアヴァロンを抜ける時に俺に言ってきたじゃないか。”地球という星を見てくる。そこには俺の倒すべき……」


「ダメ!」


 突如モルドレッドが叫んだ。


「なんだよ?急に」


「いや、何でもない……」


 モルドレッドは俯く。真耶は少し不思議そうな顔をするが、モルドレッドは何も言わない。ガウェインとヴィヴィアンを見るが、誰も何か話してくれそうな気がしない。


「お前らなんか隠してるだろ。まぁいいけどな。とりあえず行こうぜ」


 真耶はそう言って振り返り聖教会に向かって走り出した。


 ━━それから20分が経って、真耶達は聖教会に到着した。そこに着くと、既に戦いは始まっていた。そこら辺には死体がゴロゴロと転がっている……のかと思いきや、傀儡だ。


「傀儡……勇者パーティが全員出動したか」


「見て、あそこで奏ちゃん達が戦っている。あれはコンスタンティンとマーリン!?なんで!?殺したはずなのに……!」


「やっぱり生きてたか。だが好都合だ。モルドレッド、お前らは奏以外のヤツらを頼む。奏は俺がやる」


「……分かったわ。でも、まずは勇者を倒さないとだね」


 モルドレッドはそう言って前を指さした。そこには希望とクラスメイトが全員揃っている。だいたい26人くらいか……。


「道を開けろ」


「無理な願いだ。僕は君を許さない!」


 希望はそんなことを言ってシャイニングリヒトを向けてくる。


「フッ、この戦力差ではいじめのようだ」


 そんなことを言いながら男がでてきた。青髪に眼鏡をしていて、いかにも真面目くんと言った男だ。そして、あの日以来初めて見る顔だ。


「いやお前誰だよ?」


「何!?僕を知らないだと!?」


「ごめん冗談だよ。青空あおぞら頭次郎とうじろう君」


 真耶はそう言って不敵な笑みを浮かべる。一応ここにいる人全員を説明しておこう。


 1人目から……煌希望、黒波彩花、如月癒優、剣雷斗、弓馬矢影、暗雲霧音、暗雲霞、青空頭次郎、時任蒼弥、赤太刀紅蓮、錨留美亜……


 いや、全員説明するの無理くね?もう説明しなくても……


「”ファイアーボール”」


 突然魔法を放ってきた奴がいた。ゲーマーの神成電気だ。


「お前、電気っていう名前なら雷属性の攻撃しろよ!」


「”ドラゴンブレス”」


 次は日野龍也だ。龍也はドラゴンの炎くらい強い炎を放ってきやがった。


「……フッ、小賢しいんだよ!”ブレイブブレイズ”」


 真耶は手のひらから強大な炎を放った。その炎は周りの草木を灰にしながら勇者達を襲う。


「うぉぉぉぉぉぉぉ!”希望斬きぼうざん”」


 希望はその炎を切りさこうと剣を振り下ろす。しかし、それも虚しく炎はその斬撃を飲み込んだ。


 しかし、炎が希望達に当たることはなかった。どうやら結界術士の神根結花が炎から全員を守ったらしい。


 真耶はそれを見るとその上を飛び越えて先に進む。モルドレッド達も真耶に続いて飛び越えた。


 すると、希望立ちを襲っていた炎は消える。結花はそれを見て結界を解いた。


「追いかけないの?」


「馬鹿か?僕達は足止めだ。希望くん達のためのな」


 希望はそう言って自分の胸に手を当て魔力を流す。すると、希望の顔がどんどん違う人に変わっていった。いや、戻ったと言うべきだろうか?とりあえず、希望は希望ではなかったのだ。そしてそれは、彩花と癒優、雷斗も同じだった。


「やっぱり君に雷斗は無理だったね。確実にバレてる」


 希望だった人はそういう。その、希望だった人の名前は、偽風根雲。彼は真似師だ。その力を使って4人の顔を変えていたのだ。


 雷斗に化けていたのが武闘家の剛拳哲治、癒優が小宮百合、彩花が一ノ瀬桜だ。


「やはり、武闘家は騎士になれないか」


「バカにするな。そもそも、戦いになったら確実に俺らは負けている。あの男、只者じゃねぇぜ」


 哲治はそう言って汗をダラダラと流した。そして、それは皆同じだった。


 真耶達はクラスメイトがいた場所からさらに進むと教会の入口があった。そして、その前にモーガン・ル・フェイが倒れている。


「モーガンさん!?まさか、殺られたの!?」


 モルドレッドは慌てて駆け寄る。しかし、真耶が言った。


「そいつ、偽物だ。よく出来ている別の人の死体だ」


「っ!?」


 モルドレッドは言葉を失う。真耶はそれを見て一つだけ違和感を覚えた。しかし、ここで考えても無駄なので先に進むことにした。


 それからさらに進むと2つ目の門があった。そこにもラウンズの1人が倒れている。しかし、それも別の人。


 その次も、そのまた次も同じだった。真耶達は少しだけ疑問に思いながらも前へ進むのだった。その途中でモルドレッドが何か言いたそうな、でも、真耶には知られないようにしていることがあるような表情をしていたが、どうせ聞いても教えて貰えないから聞かなかった。


 そして、なんやかんやありながらも遂に最上階と思わしき部屋までたどり着いた。その門の前にも、同じようにランスロットの偽物が倒れている。


「この奥ね」


「そうだな」


「奏ちゃん……ねぇ、真耶。真耶はさ、この先にショックなことが待ち受けていても受け入れることが出来る?」


「なんだよ?急に。別に俺はなんとも思わないよ」


「……ほんとに?」


「……本当だよ。多分だけど、俺はお前らが思っているより知っているから」


「え?どういう……」


「ほら、行こうぜ」


 真耶はモルドレッドの言葉を遮り、そう言ってモルドレッドに手を差し伸べた。モルドレッドはその手と真耶の顔を見て言葉が出なくなる。なんせ、悲しみと一緒に全てわかっているような顔をしていたから。


「モルドレッド、真耶はお前が思っているより弱くはないよ」


 ガウェインが後ろからそう言ってくる。


「そうよ。あなたの夫なんでしょ。もっと夫を信じないと」


 さっきからずっとだんまりをこいていたヴィヴィアンも言ってくる。


「そうだね……。もっと信じないとダメだよね……」


 モルドレッドはそう言って涙を流す。そして、真耶の手を取った。そして、真耶の服の裾で涙を拭く。


「おい、俺の服で拭うな」


「へへ、ごめんなさい」


 モルドレッドは生意気な顔をして謝ってくる。真耶はそんなモルドレッドの頭をわしゃわしゃとすると扉に触れた。


「これが最後かもしれない。最後じゃないかもしれない。それでもお前ら、気を引き締めろよ」


「ハハ!誰に言ってる!?」


「モルドレッドとヴィヴィアンに言ってるよ」


『ふぇ!?』


 そう言われた2人は素っ頓狂な声を上げる。


「ハハハ!行くぜお前ら!」


 真耶はそう言って扉を思いっきり開き、壊した。

読んでいただきありがとうございます。

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