第150話 地獄の日々……
━━あれから真耶達は42年間探し続けた。しかし、一向に見つかる気配は無い。それどころか、魔物の数が増えていっていた。しかし、それはとんでもなくチャンスだ。なんせ、魔物がいるということはなにか護っているということ。だから、そこに神殿がある確率は高い。
真耶はそんな思いで魔物達を蹴散らしながら歩き続けた。そして、ついに神殿を見つけた。
「やっと見つけたか……」
「長かったね」
「もう42年くらい歩いた気分だよ」
おっと、バレてるじゃないか。まぁ、バレてもいいがその事で心配されても困るしな。ここは否定しておこう。
「ハハッ、確かにな。長い間歩いたような気分だ」
そう言って神殿に近づく。どうやらこの神殿もほかの神殿と変わらないみたいだ。だが、ちょっと違うことといえば、結界が張ってあることと、中にトラップが仕掛けられている事だな。
「よし、行くぞ」
真耶は2人に手招きをして中へ入って行った。2人もその後ろをついて行った。ちなみにだが、クロエと白虎はなにか用事があるとか言ってどこかに行ってしまった。
(クソッ……あいつらはいいよな。こんなところすぐに抜け出せてさ……)
そんなことを頭に思い浮かべる。しかし、思っても何も起こらないからすぐに思うのを止めた。そして、すぐに目の前の道を見る。
普通に見れば何も無いただの道だ。だが、神眼を使えばすぐに分かる。ここには大量のトラップがある。まぁ、あったところで当たらなければ意味は無いのだが……
「あれ?真耶くん。なんで止まってるの?」
「は?え?ちょっと待て……」
なんと、癒優と彩花がお構い無しに突っ込んで行ってしまった。当然だが、そんなことをすればトラップが発動する。
癒優と彩花はトラップを発動させ、頭から大量のローションのようなものを被ってしまった。
「っ!?大丈夫か?」
2人はその問いかけに答えない。静かにその場に立ち尽くし、静かに泣いている。
「……これはスライム……じゃないな。それならいっか」
「良くないよ!」
癒優はそう言って泣きながら顔を真っ赤にさせて言ってくる。
今初めて知ったが、癒優ってめちゃくちゃ可愛いな。なんか、学校にいた時は漫画やアニメなどの2次元にしか興味がなかったから気が付かなかったけど、癒優の顔って凄いアニメ顔だ。
真耶はついそんなことを思ってしまい、顔がにやけてしまった。そのせいで、癒優は真耶に恐怖を覚えてしまう。
「……待って、やだよ。私、犯されたくない。やるならちゃんと了承を得てよ」
「バカか?こんなところでする訳ないだろ。それに、そんなことをする暇は無いみたいだ」
真耶がそう言うと、彩花が突如大きな声を上げた。
「ねぇ!あれ見てよ!」
そう言って指を指す。その指の方向を見ると、いかにもトラップって感じの巨大な岩が転がってきていた。
「あれに押しつぶされたら人あまりもねぇな」
「に、逃げないと……!」
「まぁ待て、よく見てみろ。あの岩はまるじゃなくてゴツゴツしているだろ。まぁ、なんでゴツゴツしてるのかはわからんしテンプレではないが、こういう時はだいたいこうすればいい」
真耶らそう言って手を地面につけた。そして、魔法を唱える。
「”物理変化”」
地面が盛り上がり壁ができる。そして、その壁を覆うようにゴムがまとわりついていく。
その刹那、岩がゴムの壁にぶつかった。普通ならここで壁が壊れるのだが、ゴムでできているため岩を跳ね返す。
「な?この方がいいだろ」
真耶はそう言ってドヤ顔を決める。
「凄い……」
癒優はそれしか言葉が出なかった。
「でも、これでトラップはもう終わりだよね。行こ」
彩花はそう言って足を進める。
「おい待て、トラップが1つしかないダンジョンなんて見たことないだろ」
真耶がそう言うがもう遅い。2人は歩いて進み、トラップを発動させてしまった。
「え?」
ドパッとローションのようなものが降ってくる。またローションだよ。めんどくさい。
そんなことを思ってしまった自分を殴りたいと真耶は3秒後に思った。
なんと、ローションのようなものをかけられた3秒後に2人の服が熔け始めたのだ。どうやらそれはローションではなくスライムだったらしい。それも、服をとかす専門の。
「きゃあああ!」
「やだ!やめてぇ!」
2人はそう言ってすぐにスライムを剥がそうとする。だが、真耶からしてみればそんなに慌てる必要は無いと思った。なんせ、そのスライムは真耶の作った上着は溶かせないし、それ以外の服をどかせばすぐにただのローションに変わるのだから。
「もぅ!そんな目で見てないで助けてよ!」
「……はぁ、仕方ないな」
真耶は1つため息を着くと手を前に突き出し魔法を唱えた。
「”物理変化””ウインドストーム”」
手のひらから風が吹き出してくる。その風は癒優と彩花にまとわりつくローションを一瞬で吹き飛ばした。
「はぁはぁ……助かった……」
2人はそう言って息を切らす。正直なところ、服は助かっていない。だが、まぁそれでもいいだろう。
「なんかもうめんどいな。”物理変化”」
真耶は魔法を唱え壁を全て埋めつくした。
「初めからこうすりゃ良かったんだよ」
そう言って埋めつくした上を歩いていく。
「そうね……」
2人は突然のことすぎてポカーンとその場に立ち尽くすことしか出来なかった。
━━それからは早かった。トラップが無くなった道はただの道だ。涼しい顔をして3人は奥まで進んだのだった。
そして、奥まで行くと当選のように何かいる。今回も前回と同様の人型の何かだ。
「真耶くん。私達にやらさて。今の私達なら出来るわ」
2人は自信満々だ。
「良いよ。危なくなったら助けるから」
真耶はあっさり了承した。2人の成長はこの43年間ほど見てきた。だからこそ許したのだ。
真耶がそんなことを思っていると、彩花が魔法を唱えた。そして、戦いは始まった。
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