第145話 地獄の神殿
真耶は1人で戦い続けた。あの後も次の場所に行けば魔物がいるだけ。また次のところもま物がいるだけ。そんな生活をずっと続けてついに3ヶ月がすぎた。
「……まだ見つからないか……」
そう言って燃え盛る炎に向かって呟く。その炎はありえないほど高熱で、近づきでもすれば一瞬で溶かされてしまう。
ここに来て3ヶ月ということは、向こうではどれくらい時間が経っているのだろうか?
こっちの1000年が向こうの1日と考えれば、24で割ってだいたい420。そっからさらに60手割って7。
こっちの7年が向こうの1分だ。そっから7で割ってこっちの1年が向こうの1/7分。そっからさらに12で割って、こっちの1ヶ月が向こうの1/84分。3をかけて1/28分。
と、言うことは、1分が60秒でそれの1/28。よって約2秒だ。だから、俺達が今3ヶ月ほど苦労して過ごしてきた日数は向こうの時間で約2秒ということになる。
長いな……それに、これだけ苦労したのに向こうの世界ではまだ2秒。
「……真耶くん、次行こう。あっちに神殿みたいなの見つけたよ」
「何?行ってみるか」
そう言って真耶は再び歩き出した。そして、鏡をバックから取り出す。そして、自分の目を見た。
残りの寿命はあと6999年……
━━それから少し歩くと神殿のようなものを見つけた。それは、まるで何かを守っているかのようだ。
「……ここだけ炎が来てない。それどころか熱気も冷気もない」
「行ってみよう」
彩花がそう言うと、3人は神殿の中へと入っていった。
その中はとんでもなく広かった。壁は全て黒曜石で出来ており、殴っても壊れない。中には魔物は居ない。しかし、トラップはあるらしい。
「気をつけろ」
「うん!」
ガコンッ……ゴゴゴゴゴゴ……
早速癒優がトラップを発動させた。古典的なトラップだがこういうのが1番引っかかりやすい。それに、ここでトラップに引っかかってでかい石が落ちてくるのはテンプレだろう。
「ご、ごめん!」
「いや、いいけど……珍しいな。テンプレなことが起こるなんて」
そんなことを考えていると、石が降ってきた。やはりテンプレだ。だいたいこういう時は走って逃げるがめんどくさい。殴り壊そう。
真耶は頭の中で即座にそう考え石に向かって殴った。すると、石は突然ブレーキをかけてギリギリ拳が当たらないところでとまった。
というか、どうやらそこで止まるような仕掛けらしい。
「は?」
「え?」
「なにこれ?え?どういうこと?」
3人は全く訳が分からず固まってしまう。そして、その一瞬が本当に命取りだった。
突然壁に穴が開き、そこから紐が出てくる。その紐は一瞬で癒優と彩花の服をぬがして亀甲縛りをする。
「きゃあああああああ!」
「やめてぇぇぇぇぇ!」
2人は顔を真っ赤にして泣き叫ぶ。どうやらこういうことをされるのになれていないらしい。
真耶はそんな二人を見て呆れてにも言えなくなってしまった。そして、思わず2人の胸を揉んでしまう。
むにゅむにゅむにゅ……
うん。やっぱり癒優の方が気持ちいい。彩花より癒優の方が大きいから感触が最高だ。
「ちょっと!そんなことしてないで助けてよ!」
「ん?あぁ、悪い悪い」
真耶はそう言って紐をゆっくり外し始める。しかし、その直後に気がついた。なぜこの2人は真耶の上着を着てないのに何もなってないのかと。
確かにここには熱気と冷気はないが、瘴気はある。だから、真耶は魔法をとくと一瞬で瘴気に蝕まれ体が崩れていく。しかし、この2人はどうもなっていない。
「……」
真耶は一瞬で紐を外し服を着せた。その速さに2人は驚き言葉を失う。そして、真耶はそんな2人を抱き抱えるとその場を足で力強く押した。
すると、真耶の姿が消える。そして、そこからかなり離れた場所で真耶は姿を現した。距離的には3キロほど離れているが、たった2秒で着いた。
「ど、どうしたの!?」
「多分この先に何かある」
真耶は急いで扉を開く。すると、そこには人が1人たっていた。その人は男性だ、なにか手に持っている。
「おい、お前は何者だ?」
「早いな。もうここまで来たか」
男はそう言って振り返る。
「きみは強いな。だから死んでもらう」
その直後に真耶に向かって剣が飛んできた。真耶はそれを右に避け躱す。そして、すぐに距離を詰め顔を全力で蹴り飛ばした。
その男の首が体から離れる。そして、男はは力なくその場に倒れ込んだ。
真耶はそれを見て即座にその場から離れた。当然彩花と癒優も一緒に離れる。すると、その数秒後に男がその場に黒い無数の斬撃を放つ。それらはその空間を切り刻みズタボロにしてしまった。
真耶はその斬撃が止まるのを見ると、注意しながら近寄る。どうやら完全に死んだらしい。
「な、なんだったの?」
「こいつは門番だ。見て直ぐにわかった。そして、恐らくだがここに向こうの世界に帰る方法がある」
真耶はそう言って壁を殴った。すると、壁の向こうから小さな木箱が現れた。真耶はその木箱を開けた。すると、中から小さな時計の針のようなものが出てきた。
真耶はその時計の針を手に取る。そして、見つめた。それはまるでミニチュアのようだ。
「それが戻るための道具なの?」
「その1つだな。多分これの他にあるものを見つけなければならない」
「……嘘……」
「嘘じゃないな。ま、時間はいくらでもある。気長に探そうぜ」
真耶はそう言ってその神殿から出た。そして、次の目的地に向かって歩き始める。
真耶の残りの寿命、あと6999年……
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