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モブオタクの異世界戦記  作者: 五三竜
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第144話 地獄の魔物

「それで、お前らはこの世界についてなにか説明されたか?」


「ううん、この世界の時間軸が違うみたいなことは言われたけど……よく分からなかったな」


「そうか……なら、この世界についてしるものはいないか……ん?待てよ。お前らの寿命は100年程度しか無いんじゃないか?」


 真耶はそう思って神眼で2人を見た。やはり、この2人の寿命は100年程度しかない。と、言うことは、あの里長から貰った2000年はこの2人の1000年分。


「なるほどな。分け与えろということか」


「ん?どうしたの?」


「……フッ、何でもないさ。行こうぜ」


 真耶はそう言って歩き始めた。2人はその後ろを着いてくる。


「あ、一つ言っておくが、絶対に俺から離れるな。もしこの世界で離れ離れになれば、それは死を意味すると思え」


 真耶は先生が生徒に説教をするような表情と気を放ちながら2人に言った。2人はそんな様子の真耶に少し怯えながら頷いた。


 そして、3人は歩き出した。


 まず最初に向かったのは、向こう側に見えていた岩山だ。そこになにか影があるのが見えた。


 それが一体何なのかは全く分かりはしないが、もしかしたら出口かもしれないという希望を持って向かったのだ。


 当然だがその道中も酷かった。気を抜けば手が焼けただれ凍りつく。さらに、地面はもろくいつ壊れるか分からない。


 途中で癒優の肺が凍りつき吐血をしたが、何とか回復魔法と真耶の魔法で治すことは出来た。


 そして、紆余曲折ありながらも真耶達はその岩山の影がある場所にたどり着く事が出来た。


 そこに行くと、何も無かった。しかし、一つだけ見たこともないようなものを見つけた。それは、魔物だった。だが、見たこともない。


 その魔物は四足歩行で狼のようだ。だが、顔には虎の毛皮のようなものを被っている。そして、体の周りには青白い炎が3つほど浮遊している。


 さらに、足は虎と犬を合体したような形になっている。しかも、爪はとんでもなくでかい。もしあんなので引っ掻きでもされたら即死だろうな。


「ねぇ、なんなのあれ?」


「見たことないね」


「近寄るな。相手の情報が少ない以上今動くのは危ない」


 真耶はそう言ってその場から離れようとした時突如その魔物が目の前に来た。その速さはまるで光……いや音速だ。


「ちっ……」


 真耶は舌打ちをするとすぐにその場から離れた。そのついでに彩花と癒優を捕まえた。


「きゃあっ!」


「ふぇっ!?」


 2人は驚き素っ頓狂な声を上げる。そして、さっきまで自分がいた場所を見た。その場所には、あの謎の魔物の巨大な爪が落ちて地面をえぐっている。


 間一髪だったな。だが、油断は出来ない。相手は音速で動く。だったらこっちも音速で動けばいい。


 いや、マッハ1ではなくマッハ2で動こう。マッハ1がだいたい340メートル毎秒くらいだから680メートル毎秒位で走ればいい。


 真耶は頭の中でそう考え地面を強く足で押した。その瞬間真耶の姿が消える。そして、魔物の姿も消える。


 それからその場には甲高い音が鳴り響くだけとなった。そして、甲高い音だけ鳴り響く中突然真耶と魔物の姿が現れた。どうやら決着が着いたらしい。


 真耶が担いでいた彩花と癒優は何が起きたのか分からず、かつ高速の動きについていけず目を回している。


 真耶はそんな2人のお尻を少し強く叩いた。すると、2人はハッとし、目を覚ます。


「起きたか?」


「ふぇっ!?」


「な、何が起きたの!?」


 2人は今の状況とお尻が痛いことに驚き慌てふためく。真耶はそんな2人を地面に下ろして振り返った。後ろには魔物がこっちを見つめて固まっている。


「え!?あれ大丈夫なの!?」


「大丈夫だよ」


 真耶はそう言ってパチンッと指を鳴らした。すると、魔物の体がバラバラになる。


「な。大丈夫だったろ」


「ほ、ホントだ……」


 2人は驚きを隠せないと言った様子でこっちを見つめてくる。どうやら真耶の強さを再認識したらしい。このまま希望も真耶には勝てないと再認識してくれたら助かるのにな。とか真耶は思う。


 そして、もう1つ思った。ここの魔物は桁違いの強さを持っている。まず、癒優と彩花の攻撃は確実に当たらない。なぜなら、この世界の魔物は察知や感知能力がとんでもなく高い。さっき真耶達の存在に気がついたのも、その察知能力の高さからだろう。


 それに、今戦っていた時も最初はこいつには攻撃が当たらなかった。剣を抜くのが早ければ逃げられる。狙いを定めればその部分の防御が硬くなる。それに、100回程切りつけたが普段はこんなに攻撃しない。


 これらのことから分かることは、この世界の魔物はとんでもなく早く、とんでもなく硬く、とんでもなく強い。そして、察知、感知能力がえげつない。この世界にいる魔物……いや、生物は化け物しかいないということだ。


「なぁ、お前らに頼み事がある。お前らこの世界で俺の戦いに参加するな」


『っ!?』


「なんで!?私は魔術師、戦闘職よ!私が足でまといだって言うの!?」


「あぁ、そうだ。お前らは足でまといだ」


「なんで!?私は治癒師、戦闘職ではないけど戦えるわ!」


「じゃあお前らは今の戦いに着いてこられるか?それに、狙った場所じゃないところをノールックでかつさっきも出さずに攻撃できるか?」


「え?どういうこと?そんなの無理じゃない……」


「いや、無理じゃない。俺は今そうやって戦った。この世界の魔物は察知、感知能力が高い。1点集中で狙えば確実に避けられる。それが出来ないお前らは魔力の無駄遣いをするだけだ」


 真耶の言葉に2人は混乱する。なんせ、初めて聞いたから。狙っている場所では無いところを狙わずに攻撃しなければならないなんて言うことを。


 だから、それをしないといけないということを言われて何も言えなくなった。そして、この世界では自分達は足でまといでしかないということを理解した。


「……わかったわ……」


「助かるよ。そうしてくれないと、俺はお前らを守りきることは出来ない」


 真耶はそう言って優しい笑顔を見せる。その笑顔を見て2人は少し安心した。そして、改めて強くなろうと決意を固めたのだった。


「さて、この魔物どうするかな?」


「私の収納魔法にいれておきましょ」


「助かるよ」


 そう言って彩花は収納魔法を使う。そして、収納が終わると3人は次の場所まで歩き始めた。


 次は、谷底だ。谷底に黒い影を発見した。3人はそこに向かって歩き始めたのだった。


 そして、この世界に来て2日目が終えようとしていた。

読んでいただきありがとうございます。

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