第11話 新しい街へ
街を追い出されてはや数日・・・真耶達は次の街へ歩き続けていた。1日目は楽しく歩いた。初めて冒険をしたような気分になれた。2日目は、飽きてきた。2人は疲れたのか途中で座り込む。3日目ともなると2人はおんぶだの抱っこだの言い始めた。仕方がないのでおんぶと抱っこで街まで歩いた。そして・・・
「やっと街に着いたよ」
遂に次の街に着いた。
「やったぁ!まーくんまーくん!宿に行こう!」
2人はそう言って真耶を引っ張る。
・・・と、言うよりおんぶと抱っこをしたまま宿に行こうとする。
「あのなぁ・・・俺が歩かないと宿に行けないんだよ。そして、俺は宿ではなく道具屋に行きたい」
「嫌だぁ!そんなこと言わないでぇ!」
「あんなことやこんなこと、何でもしていいから!」
2人がそんなこと言うせいで周りの視線が集まってきた。
「何言ってんだよ。お前らがそんなこと言うから周りから変な目で見られてるだろ。ただでさえ、変な格好してんのに」
真耶がそう言うと2人は自分たちを見る。そして、気がついた。自分達がおんぶと抱っこをされているということを。
「ま、お前らが疲れたんなら先に宿に行くか」
真耶がそう言うと、2人は顔を明るくする。そして、2人を下ろすと宿へと向かう。
「ようこそ!何名様ですか!?」
宿に入るなりいきなり女の子にそう言われた。そして、近づいてくる。
「3名様ですね!こちらに来てください!」
そう言って顔を近づけてくる。
・・・なんと言うか、凄く押しが強い。真耶は体を仰け反らせながらなんとか頷く。すると、宿の人はすぐに部屋へと案内を始めた。
「ちょっと待ってくれ、お金はどうしたらいい?」
「あ!忘れてました〜!30ゴールドです!」
30ゴールド・・・安いのか安くないのか分からないが、始まりの街の次にしては高い気もする。そして、真耶はお金は持っていない。
「なぁ、ルーナはお金あるか?」
「ありますけど、2ゴールドしかないです」
「は?なんでだよ?」
「私が持っているのはジェルです。ゴールドは持ってません」
真耶はヒソヒソと話す。どうやらゴールドやらジェルやらと、街によってお金が違うらしい。
「ちょっとゴールド見せろ」
真耶はそう言ってゴールドと呼ばれるお金を手に取る。
「あれ?もしかして無いんですか!?仕方ないですね・・・」
そう言って宿の人がパチンッと指を鳴らす。すると、奥から屈強な男が出てきた。
「払えないなら罰を受けてもらいます!この街では冷やかしでも罰が下るのですよ!」
怖い街だな!じゃあ俺達は払うしか道がないってことじゃないか!
真耶達の頭にそう言う考えが投げ込まれたように浮かんできた。
「ちょっ、ちょっと待ってくれ」
そう言って2つのゴールドを見る。どうやら2つとも同じなようだ。違いは無い。
「よし・・・」
真耶は手に持っていた石を魔法で変える。
「よし!これでいいか!?」
「えっと・・・ひーふーみー・・・ちょうど30ゴールドですね。それにしても怪しいですね」
女の子はいきなりそう言ってきた。
「怪しいって・・・別に怪しいものじゃないよ」
「本当ですか〜?怪しいので調べますね」
え?調べる?嘘だろ。てか、どうやって調べるんだよ。やばい。もしかしたらバレるかもしれない。
真耶は全力で思考を巡らせる。しかし、あらゆる言い訳を思いついても所詮は言い訳。さらに怪しまれるだけだろう。
「ど、どうやって調べるんだ?」
苦し紛れにそう聞いた。
「残存魔力を調べます」
「残存魔力?なんだそれ?」
「残存魔力は魔法を使用した時に余った魔力です。残存魔力と使用者の魔力の質が同じなら魔法をその人が使った証拠です」
そう言って虫眼鏡のようなものを持ってきた。
「う〜ん・・・無いですね・・・おかしいなぁ〜」
女の子はそう言って首を傾げる。そして、何度も見直す。
「おかしいですね・・・もしかしたら残存魔力を残さない錬金術かも・・・ちょっと魔法を消しますね」
「いや、そこまでしなくてもいいだろ。てか消すってなんだよ?」
「いや、残存魔力は見つからなかったので魔法を消して元に戻します」
真耶は何も言えなくなった。元に戻すって、俺がゴールドに変えたことが前提になってやがる。てか、なんで残存魔力が出なかったのだろうか?もしかしたら、物理変化は普通の魔法とは異なるのかもしれない。
「ではいきますね。”ジャミングマジック”」
色々考えていると、女の子が呪文を唱えた。すると、紫の光がゴールドを包む。しかし、何も起きなかった。
「あれ!?もしかして、本当のゴールドだったの!?」
どうやら物理変化をすると、魔法を消しても元には戻らないらしい。
「だから初めからそう言っていただろ」
「そうだってのですね!すみません!」
女の子はそう言って突然土下座をした。そして、額を自分で床に擦り付ける。
「あの!あの!すみません!すみません!」
そう言って謝りながら服を脱ぎ始める。
「え!?何やってんの!?」
「この街の法律で、人を疑って間違ってたら罰が下るんです!だから、お客様を疑ったので罰として服を着てはダメなのです!」
そんなことを泣きながら言ってきた。そして、上から下まで全部脱いでいく。遂に下着にまで手を出し脱ぎ捨てる。
「あ、あの、この服はお客様にあげます・・・うぅ・・・」
泣きながら服を渡してくる。
「そう言う法律なのか・・・?」
「はい・・・恐らく、1週間程だと思います・・・うぅぅ・・・」
そう言って渡された服を見る。
(・・・別にこんなの貰ってもいらねぇーーー!)
真耶は心の中でそう強く叫んだ。ついでに言うと、何故か女の子は大事な部分とか隠さない。多分法律で決まってるのだろう。真耶はそこに目線がいき、すごく気になっていた。
「あ、あの、お部屋まで案内します・・・」
「ん?あぁ、助かるよ。ところで、何日分なんだ?」
「あ、忘れてました〜!30ゴールドだと、1週間分です」
「なるほど・・・だとしたら、1日目4ゴールド程度か・・・安い?のか・・・?」
そう呟いていると部屋の前まで来た。扉を開けるとそこには少し綺麗な部屋があった。
「では、ごゆっくり〜!」
女の子はそう言い残して、逃げるかのように部屋から出た。
「変な街だな。この街の領主はどうなってるのだろうか」
「さぁ・・・でも、悪に厳しい人だってことはわかるよね」
「本当にそう思うか?」
真耶は静かに聞いた。2人は首を傾げる。どうやらわかってはいないらしい。
「いや、なんでもない」
そう言ってドアを閉めた。
「じゃあ、これからの事を説明する」
「ちょっと待って!その前に、2人がどこから来たのか教えてよ」
ルーナはそう言って立ち上がった。
「そう言えば言ってなかったな。俺達は召喚者なんだよ」
「へ?」
突然のことで頭が追いついていないのか、ルーナは目を丸くする。そして、理解しようと思考を巡らせる。
「そんなに悩むなよ。最初から話すから・・・」
真耶はそう言って静かに語り出した。
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