第117話 ある意味恐怖
「こ、怖くないもん!」
「ほんとか?」
そう聞くと、さらに顔を真っ赤にして頬をふくらませる。おっと、さらに怒らせてしまったようだ。
まぁ、そんなことははっきり言ってどうでもいい。多分だが、夜の攻撃でアーサー達は俺達が死んだと思っているだろう。
好都合だ。このまま黒騎士を殺しに行こう。そして、モルドレッドを助け出す。このままだと必ず良くないことが起きる。
さっきの状況から考えて、モルドレッドは確実にあの城に居ない。最後に気がついたが、モルゴースが転移魔法を使っていた。その魔力の流れを調べたが、どうやらインベルの街の城……そう、俺達が今から行こうとしているところにいる。
さて、どうするか……このままあいつらに先を越されたまま行動するか、それとも急ぐか……
いや、答えは決まっている。
「奏……急いで準備をしろ。絨毯を使う」
「どういう風の吹き回し?」
「モルドレッドが危ない。早く助け出さねければならないからな」
「そういう事ね。どうせあと私だけなんでしょ」
「よくわかってるじゃないか」
真耶がそう言うと、奏は少し怒った表情を見せて急いで支度を始めた。真耶は外に出ると、馬車のそばに立つルーナ達に言う。
「フェアリル、絨毯を出してくれ」
「わかりました。しかし、どうして急に絨毯を使うのですか?」
「急がなければならない理由ができた。これから3時間以内にインベルの街に行く」
「かなり急ぎますね」
「人の生死がかかっている。もうこれは空達との戦いを気にしているような楽なものじゃないんだ。状況は次の段階に移行されたんだ」
とか何とか言っているが、別に空達との戦いを捨てたわけじゃない。普通に考えて、作戦が変わっただけだ。
そもそも、真耶が勇者ごときに負けるはずがない。倒そうと思えば小指の第1関節だけで倒せる。
え?なめすぎだって?そういう君こそ小指の第1関節を舐めすぎだ。小指の第1関節だったら目を潰すこともできるし、上手くツボをつけば人を殺せるのだ。
とまぁ、小指の第1関節がすごいことは置いといて、今のうちに絨毯と馬車を繋いでおかなければならない。馬は馬車の中につもう。
「お前ら、絨毯か馬車の中に入ってくれ」
真耶がそう言うと、ルーナ達は馬車を操縦する人と共に絨毯の中に入っていった。
まぁ、普通に考えれば馬がいるのに馬車の中に入ろうとすることが間違えているな。
真耶は魔法で馬を固定すると奏を待った。
「まーくん、ごめんねー。遅れちゃった」
「いや、早いな。ちゃんと歯とか磨いたのか?」
「磨いたよー……て、めっちゃ疑ってる……。そんなに疑うんならキスして確かめればいいじゃん!」
奏が少しぷんぷんしてそう言うと、突如真耶はその唇に自分の唇を押し当てた。
「っ!?」
奏は顔を真っ赤にして離れようともがく。しかし、真耶は逃がさない。がっちり掴まれて舌を入れられる。
恥ずかしい。そんな感情が奏の頭の中にいっぱいになった。そして、さらにもがく。もがいてもがいてもがきまくる。しかし、真耶は意地でも話してくれない。
ついに奏は、頭をトロトロに溶かされそうになるほど甘いキスをされて力なくその場にへたりこんでしまった。
真耶はそんな奏をお姫様抱っこで抱き抱えると優しく絨毯の中に入れる。そして、真耶は絨毯の上に乗ると手をついて魔力を流し込んだ。
すると、絨毯が深緑色の光を発する。そして、ふわりと浮き上がった。
そして、真耶はさらに魔力を込め前に進み始める。そして、とんでもない速さで進み始めた。
一瞬にして絨毯は1キロ以上進む。真耶は後ろの馬車に目をやり、気にしながらさらに絨毯のスピードを上げた。
絨毯は風を切りながらどんどん進んでいく。馬車はガタガタと揺れるが中の馬たちはあまり気にしていないようだ。
真耶は少し見てそのままスピードを保ちながらとんでもない速さで突き進んだ。
━━……それからインベルの街まで進み続けて、2時間ほどでついた。真耶は街に着くと、入口である巨大な門の前に1度降りた。着いてすぐに馬車を確認すると、馬も車も何も傷がない。
「着いたぞ」
真耶は中にいる奏達にそう言った。しかし、馬車を操縦する人がでてきただけで奏達は出てこない。
「……やったな」
真耶は小さく呟くと絨毯の中に入っていった。すると、奏達が寝ている。クソ……俺があんなに苦労して連れてきたというのに、こいつらは寝てやがったのかよ。
許さん。特に奏。コイツは何故か俺の抱き枕を作っている。
……え?何を言ってるか分からないって?
そのままの意味だ。奏は俺の等身大の絵柄が書いてある抱き枕を抱いている。
「……なにこれ?恐怖だろ」
そんなことを呟くと、奏以外の皆が目を覚ました。
「あ、おはよう」
「んん……おはよぉ……て、なんで怒ってんの!?」
ルーナは目を覚ますなりそう言って正座をした。しかし、真耶はにっこり笑ってなんでもないという。だって、怒ってるのは別にルーナ達じゃない。
「ねぇ、なんで奏がこんなもの持ってるのか知ってる人いる?」
真耶がそう聞くと、全員ルーナと同じように真耶の前に正座をする。そして、申し訳なさそうに俯くとみんな揃って後ろを向いて四つん這いになりお尻を突き出してきた。
ほぅ、潔いてはないか。どうやら皆グルだったようだな。では、やるとするか。泣いても許してはやらないからな。
とか何とか頭の中で思いながら手に息をふきかけた。そして、2、3回パンっと手を叩くとルーナ達のズボンと下着を下ろしていく。
「泣いても許さないから」
そう言って全力で叩いた。
バチィィィィィン!と言うかわいた音が鳴り響いた。そして、1発叩かれただけでとんでもない痛みがルーナを遅い、痛みに耐えきれず漏らしてしまう。
真耶はそんなことで許す訳もなくさらに9回叩いた。
計10回叩いたのだが、それだけでルーナのお尻は真っ赤に腫れ、床はびしょびしょになった。
その間クロバ達は恐怖に震え上がっていた。
「次はお前らだよ」
その言葉と共に地獄の時間が始まった。
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