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モブオタクの異世界戦記  作者: 五三竜
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第111話 旅立ち

 人という生き物は、常に何かしらのペルソナを被って生きている。だがそれは、人だけでは無い。


 例えば虫。虫は、敵から身を守るために体の色を変える。本来とは違う色というペルソナを被っている。


 例えば亜人。それも、奴隷にされている亜人。彼らや彼女らは紅音と同じ。痛いや辛いと言った感情を殺す。殺したいという思いも出さないようにする。


 嘘をついて良い顔をするのだ。だから、ペルソナを被っていると言える。


 まだまだある。魔族などはどうだ。人の世界に溶け込み裏で工作を行う。人というペルソナを被っているのだ。


 そう、皆嘘をついて生きている。ペルソナを被って生きているのだ。それは、真耶も同じ。これまでに沢山嘘をついてきた。


 でも、嘘をついて騙し多分俺は騙されるかもしれない。その覚悟は必要だと思う。


 それに、嘘をついたぶん俺はあいつらを助けると誓った。たとえ世界を壊したとしても……


「マヤ様?どうしたのですか?急に神妙な顔をして……」


「フフッ、俺はペルソナを捨てられないみたいだ。まぁ、捨てる必要も無いがな」


「ん?」


「おいお前ら、行くよ」


 真耶は静かに見つめる奏達に言った。ちなみに、奏達は今の今まで状況が飲み込めずただ呆然としているだけだった。


「ねぇ、まーくん……疲れたから帰ろ……て、下着を脱がさないでぇぇぇぇ!」


 奏が変なことを言うからうっかり奏の下着を脱がしてしまった。これでパンツが3つ目だ。コレクションにして飾ってやろうじゃないか。


「マヤさん……変態みた……いやぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


 ついでにルーナとクロバのパンツも奪う。


 そして、素早くポッケに入れた。


「ま、マヤさん!返してくらしゃい!」


「やーだ。返して欲しけりゃ取り返してみろー。ワハハハハハ」


 真耶は気味の悪い笑いを上げながら走り出した。奏達は涙目で真耶を追いかける。


 後ろで紅音と玲奈が静かに笑っていた。


「……ねぇ、なんだか私、スースーするんだけど……」


「わ、私も……」


 気がつけば、下着を盗まれている。紅音と玲奈は一瞬で涙目になると真耶を必死に追いかけ始めた。


 ━━それから10分が経った。あれから真耶は逃げ回ってついに馬車乗り場まで来たのだ。


「さぁ!馬車に乗って行くぞー!」


 真耶は不思議なテンションで馬車に乗り込もうとする。しかし、後ろから奏は止めた。


「ねぇまーくん、絨毯で行かないの?」


「絨毯は目立つだろ。それに、先に着いてしまえば作戦が水の泡だ」


「でも、先を越されるんじゃないんですか?」


「いいや、こされないさ。あの実力なら多分殺されるだけだ。分析したら助けてやろう」


 そんなことを言う。なんとも外道な作戦だ。こんな作戦を思いつくなんて、真耶はもしかしたら正義の敵なのかもしれない。


 いや、そもそも真耶自信が正義とは縁遠い生き方をしてるじゃないか。普通に考えて、嘘つきすぎなのだよ。それで正義を語られても、信じられない。


「て言うか、空くん達ってもう行ったの?」


「俺達があんなことやってる間に行ったよ」


「……じゃあ、負けたらマヤ様のせいです。負けたらマヤ様のことマーヤと呼ばせていただきます。敬語も辞めます。逆に、アロマ様と呼んでいただきます」


「おい、提案が多すぎるぞ。それと、別に負けなくてもマーヤと呼んでいいぞ。敬語もなしでいい。あと、負けるわけないだろ」


 真耶は不敵な笑みを浮かべて言った。アロマはその言葉を聞いて、少し頬を赤くする。


 咄嗟に思いついたあだ名を言っては見たものの、言うとなると恥ずかしい。それに、何故か真耶かさっきから自分の下着を見つめている。


「あ、あの、マヤ様……」


「マーヤじゃないのか?」


「い、いえ、負けたらの話ですから……」


「別に負けてなくてもいいって言ったろ。それに、言葉には責任が付きまとうものだ。言ったからには呼んでもらうからな」


 そう言ってアロマの頭を手でぽんっと叩く。痛くは無いのだが撫でられてるような感覚、でも、またちょっと違った感覚もあって恥ずかしい。


「ま、マーヤ……うぅぅ……」


 恥ずかしさで頭がパンクしそうだ。多分、今顔を鏡で見ると、真っ赤に染まっているだろう。


「フッ、可愛いやつだな。お前は」


 真耶はそう言ってアロマの頭を撫でる。そして、奏達の方を向いた。


「ま、からかうのはここら辺にして、お前ら気を引き締めろよ。外に出ればすぐにエンカウントする……あ、早速来た」


 そう言って真耶は馬車から顔を出した。魔物がいる。それも大群が。


 だが、どこかおかしい。前に見た魔物と同じ魔物だが、オーラが違う。それに、なんだか凶暴だ。


「まーくん、あれってこの世界に来て最初の魔物討伐で出会ったやつだよね。なんだか雰囲気が違くない?」


「そうだな。凶暴化してやがる」


 その、巨大な狼のような魔物は目を赤く光らせている。それに、とんでもないほどの殺気を感じる。


 凶暴化してるし野生の本能が倍増してやがるのか。


「俺が行く」


 真耶はそう言って飛び出した。そして、馬車の前に立つ。すると、馬車は止まり操縦している人が言ってくる。


「あんちゃん、邪魔だよ」


「魔物がいる。このままだと殺されるぞ」


 そう言うと、急いで望遠鏡を取りだし確認し始めた。どうやらいることが確認できたらしい。操縦する人は突然怯え始めた。


 真耶はそれを見て振り返ると右手を前に突き出した。前は、その魔物の悲鳴でほかの魔物までよってきた。だから、声を出す前に消し飛ばせばいい。


「一瞬で殺す。”物理変化ぶつりへんか”……とりあえずやってみるか。”プラズマレイ”」


 そう唱えると、真耶の右手から青色の光線が放たれた。

読んでいただきありがとうございます。

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