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モブオタクの異世界戦記  作者: 五三竜
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第106話 チェインギアス

「干渉?もしかしてまーくん……無理やり陣の内容を変えるの!?」


「あぁ、そうだよ。魔法で強制的に変える」


「でも、そんなことしたら……」


「当然、普通の人なら腕が吹き飛ぶな。なんせ魔力の塊の中に手を突っ込む感じだからな」


 真耶は平然とそういいのける。そして、陣を1つ書き終えた。そこから更にもう2つほど書き始める。


 奏達は真耶の話を聞いて止めようとした。しかし、真耶は決意を持ってやっている。だから、それを止めることは出来なかった。


 それに、これまでも、何度も真耶は腕を吹き飛ばしている。さすがにこんなことで決めたことを曲げたりはしない。


「……もぅ、わかったわよ。ただし、死なないでね」


「死ぬわけねぇだろ。俺を誰だと思ってんだよ」


 真耶がそう言うと、皆は顔を見合せた。そして、なんだか気まずそうな顔になる。それだけでなんとなくわかった。


 これから多分心を傷つけるような言葉が飛んでくる。


「言っていい?」


「良いよ」


 そう言うと、皆で息を吸って合わせて言ってきた。


『強くて優しくてかっこいい……』


 あれ?意外と良かった。てっきりウザイとかそっち系の悪口が飛んでくるものだと思っていた。


 だが、その予想は決して外れていなかった。


『……鬼畜で怖くてお仕置が厳しい』


「……」


 おっと、聞こえてはいけない言葉が聞こえたような気がしたが、気のせいかな?まぁ、気にしないでおこう。


 そんなことを考えているともう1つの陣も書き終えた。最後の1つだ。と言っても、こっちも既に八割は完成している。


「よし、完成だな」


 真耶は完成するとそう呟いて辺りを見渡した。今になって思えば、人がいなさすぎる。どこに行ったのだろうか?


「なぁ、人が居なくないか?」


「皆まーくんが帰ってきた時に家の中に隠れたよ」


 納得した。だから居ないのか。てか、俺もしかして敵だと思われてる?それはそれでショックだな。だが、今はそんなことどうでもいい。


 刻々とその性質を変化させる魔法陣を意図的に作り出す。相当な技術と時間、精神が必要だ。だが、今はそうのんびりしていられない。


「1発で決める!”誓約鎖チェインギアス”」


 真耶は魔道具を1つ目の魔法陣の上に置くと、両サイドの魔法陣に手を置き唱えた。


 魔法陣からとてつもなく明るい光が放たれる。その光は眩しすぎて手で覆いたくなるほどだ。


 真耶はそんな光に包まれる中右目を黄色く光らせた。そして、両手に魔力を溜め魔法を発動する。


「”物理変化ぶつりへんか”」


 さらに強い光が発せられた。その光は真耶の体全体を包み込む。


 そして、その時それは起こった。なんと、真耶の右手が急に紅く染まったのだ。だが、理由はすぐにわかった。魔法陣の属性が変わったのだ。そのせいで右手の皮が全て剥げた。


「まーくん!」


 奏は心配にも似たような声で真耶の名前を叫ぶ。真耶はその声が聞こえたのか、奏の方を1度見ると笑顔になって自分の手を治した。


 しかし、治した直後に再び手の皮が剥げる。さらに、指の先が少し塵にななってきた。やはり、1秒に1回変化していく魔法陣に手が耐えきれてないようだ。


 それに、1秒に1回変化させるのに集中させすぎて真耶の手を回復させることが出来ない。それに、どうせすぐに傷つくんだ。魔力の無駄だろう。


「まーくん!もういいよ!それ以上やったら死んじゃうよ!」


「マヤさん!無理しないでください!私達、マヤさんが傷つく姿なんか見たくないです!」


 奏とルーナが泣きながらそう言ってきた。しかし真耶は止めない。今止めたら魔力が暴発して大爆発が起こってしまう。


 だから、あと5分くらいはこれを続けなければならないのだ。


「マヤ様!もう止めてください!」


「マヤ様!奏様を悲しませないでください!」


 どうやらかなり心配してくれているようだ。だが、それでも止める訳にはいかないんだ。


『いい加減私の力も使ってよ』


 その時、突如そんな声が聞こえた。そして、思い出す。この作業にうってつけの力があることを。


『っ!?』


 皆は真耶のその目を見て言葉を失った。いや、見たのは目だけじゃない。その腕もだ。


 それは、ドラゴンのような目立った。腕もドラゴンのようになっている。そして、再生している。


 その腕はドラゴンのように強靭で魔法陣に触っても全く傷つかない。これなら無限に続けられる。そんな感じがした。


 そして、5分がたった。5分が経つと光は収まり魔法陣は消えていく。そして、ヴィヴィアンの胸に特殊な印が施された。


「終わったの?」


 奏が目をぱちぱちさせながら聞いてくる。どうやら光が強すぎて目が眩んでいるらしい。


 真耶はそんな奏に近づくと、右目を元に戻した。


(神竜眼ゴッドドラゴンアイ……凄まじいな。魔力の消費量も他の目の比じゃない。使い時は間違えない方が良いな。


 そんなことを思いながらヴィヴィアンの胸元に手を当てた。そして、その胸を優しく揉む。


 柔らかい。もちもちぷにぷにだ。 とくにこのピンク色の突起物が良い。ふにゅふにゅでずっといじっていたい。


「んっ♡あっ♡やめっ♡」


 突如ヴィヴィアンが起きた。そしてヴィヴィアンは起きるなりとんでもない声を発する。そのせいで真耶は固まってしまった。


 だが、そのすぐ後に気づく。


「あれ?術式間違ってね?」


 そう術式が間違っていたのだ。この術式だと”俺達に危害を加えるな”ではなく”俺の事を好きになれ”だ。


「……やっちまった」


 そう言ってただ呆然と立ち尽くすだけだった。真耶が天を仰いで放心していると、嫌な感じがした。振り向くと、ヴィヴィアンがこっちを見ている。


「……はぁ、ごめんね」


 小さくそう呟いて逃げる準備をした。

読んでいただきありがとうございます。

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