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モブオタクの異世界戦記  作者: 五三竜
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第103話 一時の幸せ

 モルドレッドとガウェインは飛んでくる斬撃に翻弄されていた。しかしそれは、この2人だけでは無い。どこかにいるヴィヴィアンにも効果てきめんだった。


 たった一つの斬撃はそこらじゅうを飛び回り、風切り音を鳴らす。


 唯一助けになったのは、ここが空中で被害が出るものは何も無いということだ。


「フフフ……フハハハハハハハハ!どうだ?俺からのプレゼントは喜んでくれたか?」


「嫌い」


 モルドレッドはたった一言そう言って、ディアセンブル砲を放った。しかし、真耶のはなった斬撃はそれすらも切り裂く。


 真耶はそれを見てさらに不敵な笑みを浮かべた。そして、ゲーゲンタイルをもう一度強く握り直し、急に振り返ると剣を振り上げた。


 すると、斬撃は突如真耶の目の前に向かって飛んで来る。真耶はそれは全く気にせず、剣を一気に振り下ろした。


 再びゲーゲンタイルから斬撃が放たれる。今度は3つだ。これで、合計4つの斬撃が真耶の周りを飛び回り始めた。


 そして、その1つがヴィヴィアンに当たった。掠めただけだったが、ヴィヴィアンは隠密魔法を維持できなくなり姿を現す。


「フッ、これで役者は揃ったな」


 真耶はそう呟くと、目の前の3人を見つめた。ガウェインは黒髪にストレートヘアー、黄色い瞳で背は高い。そして男だ。


 ヴィヴィアンは、黄色い髪型にショートヘアー、そしてウェーブがかかっている。瞳はガウェインと同じく黄色い瞳で背は平均女性と同じくらいだ。そして、女で胸がでかい。


(この3人も、出会い方が違わなければ仲良くなれたのかもしれないな)


「でも……もう心の弱さは捨てた!敵は全て殺す!」


 真耶はそう言って剣を構えヴィヴィアンと距離を詰めた。そして、剣を振り上げ、一気に振り下ろす。その時、飛び回っていた斬撃が飛んできた。その斬撃は真耶のゲーゲンタイルに十字クロスになるように飛んできた。そして、ヴィヴィアンを十字クロスに切り裂いた。


 陰と陽が結合される。陰はようを侵略するため、陽は陰を払うために大きくなり続ける。そのせいで、その場に巨大なエネルギーの塊ができ、それは巨大な球体へと変化した。


 ヴィヴィアンはそのエネルギーの球体の中に囚われる。体に焼かれるような痛みが襲い、足の方から消えていく。


「あ……あ……うそ……でしょ……!」


 ヴィヴィアンは小さく呻き声をあげるとすぐに転移魔法でその場から脱出した。


「ちっ、逃げたか。さすがに難しいか」


 真耶はそんなことを言って頭をポリポリとかく。


「よくもやってくれたわね!許さないんだから!」


「そう言いながら既に傷は回復してるだろ」


 そう言って見上げると、傷が治ったヴィヴィアンがたたずんでいた。それを見て少し笑みがこぼれる。


「っ!?み、見たの!?」


「馬鹿だろお前。見られたくないなら上には行くなよ」


「うぅぅ〜……ば、バレないと思ったのにぃぃぃ!」


「おい、何があったんだよ」


「話して」


 ガウェインとモルドレッドが話の中に入ってきた。これは言うべきだろうか。


「言うな!」


「フッ、どうしようか。こんなこと他のみんなが知ったら……フフフ、フハハハハハハハハ!」


 うっかり笑いがこぼれてしまった。真耶はそのまま絨毯を動かしてヴィヴィアンの前まで行く。


 そして、肩に手を置き哀れみの笑顔を作って言った。


「ドンマイ」


 その瞬間、ヴィヴィアンの額に青筋がたつ音がした。


「おい!いい加減話せよ!」


 ガウェインがそんなことを言って怒る。そんなに聞きたいのか?と思うほど怒っている。


「それがな、さっきヴィヴィアンの……むぐっ!?」


 ヴィヴィアンはいそいで真耶の口を閉じる。さすがに言われたくないらしい。ガウェインとモルドレッドは途中から戦いなんてどうでも良くなっていた。


 真耶がヴィヴィアンの何を見たのか?それだけが気になって全てのことが手につかない。


「いい加減話せよ!”怨念陣おんねんじん”」


 ついに魔法を使い始めた。これは、怨念の力を使って自白させる魔法だ。陣の中に入れば呪われる。


 その時真耶とヴィヴィアンは思った。いやこれ、仲間に使うようなやつじゃなくね。真耶《俺》はともかくヴィヴィアン()は死ぬだろ。


「逃げろ!」


「ちょっ!ガウェイン!あなた私を殺す気!?」


「お前なら解呪できるだろ!」


「ガウェイン!馬鹿かお前は!怨念や霊の類はな、かけられた相手の心の強さで変わるんだよ!ヴィヴィアンがそういうの苦手なの知ってるだろ」


 真耶はヴィヴィアンをお姫様抱っこで抱えながらそう言った。その光景に、その場の全員は何も違和感を覚えない。


 そして、その時、強風が吹いた。そのせいでヴィヴィアンのスカートの中がめくれる。そして、ヴィヴィアンの綺麗で可愛いツルツルのあれが見えてしまった。


「あ……」


「あ……」


「あ……」


 その場の全員が言葉を失う。そして、ただ呆然とそのツルツルの可愛い何かを見つめる。しかし、その中に2人ほど例外はいた。


「あ……あ……やだ……見ないで……!きゃあああああああ!」


「あ!すまん!」


「ごめん、許して」


 ガウェインとモルドレッドはそう言って目を塞ぐ。真耶はそんな3人を見て思わず笑みがこぼれた。


「フフ……」


「……?何がおかしいの?」


 ヴィヴィアンは顔を真っ赤にしてそう聞いてくる。真耶は少しだけ微笑んで言った。


「いやさ、ほら、俺とお前らって敵同士じゃん。なのにこんなことして笑っていられるのが良いなって思ってさ。……てか、なんでお前はパンツ履いてないんだよ」


 真耶のその言葉にヴィヴィアンは少しだけ笑みを作る。そして、優しい声で言った。


「そうね。出会い方が違えば仲良くなれたのかもね。でも、私達は敵同士……だから、あなたを殺すわ」


 そう言って真耶の腕から降りた。そして、どこからか少し大きめの杖を取りだし真耶に突きつける。


 さらに、後ろにいたガウェインとモルドレッドも戦闘態勢に入った。


 やっぱり俺達は戦う運命のようだ。だったらそんな運命も変えてしまえばいい。今はまだないが、いずれ手に入れて運命を変える。たとえ、どんな代償を払ったとしても。


「それまでは、俺達はまだ敵ってことだな」


 真耶はそう呟いてゲーゲンタイルを構えた。

読んでいただきありがとうございます。

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