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ある日の帰宅

読んで下さって、しかも評価もして下さる方々がいらっしゃったので、続きました。

ありがたいことです。

「今日も労働お疲れ様でした、ご主人様」

「おー、今日は残業長かったからなぁ。てか、メッセージ打ったろ、何時に終わるか分からないから今日は来なくて良いって」

「それでもこの時間は、何物にも変えがたいものなのですよ」

「そうか・・・微妙に会話がズレてる気がするんだが」

「私のバイトも丁度良い時間に終わりましたし、気にすることはありません」

「あー、そう。しかしなお前、仮にも青春真っ只中の男子高校生がだぞ、こんなおっさんの為に時間使うことないんだぞ?」

「何を仰いますやら。私は元犬です。ご主人様に忠を尽くすことは当たり前ではありませんか」

「や、元って自分でも言ってるじゃん」

「人として生を受けて18年、犬の時にはそれにも満たない時間でしたが、犬の体感としてはもっと永い時を生きた様に感じます。精神的には犬の方が占めている様な感じですね」

「お前・・・頼むからその辺の電柱に小便引っ掛けんなよ?」

「失礼な。流石に人としての常識は身につけております。それに、犬の時もそんなに粗相はしていなかったはずですよ」

「確かに・・・」

「まあご主人様といる時に、ご主人様が他の犬に視線がいくと多少なりとも嫉妬はしてしまいますが」

「あ、そう。でもな、前も言ったけどよ、おっさんと男子高校生の組み合わせは、傍からみたらよく分からんって」

「考えすぎじゃないでしょうか。他人はすれ違う人間に対して多少の興味はあっても、大抵持続しませんよ。それに三十路の男性と女子高生の組み合わせより余程健全かと」

「いやそうだけどさぁ。ぶっちゃけロマンの問題だよ」

「ロマンですか、しかしですよ。こうして仕事帰りのご主人様に晩御飯をご用意出来るのは、女子高生ですといささか問題になると思われます。ちなみに今日は肉と魚どっちの気分ですか?」

「いやまあ実際問題そうなんだけど、高校生って時点で性別関係なく問題無いか・・・?まあ深く考えるのはよそう。あー、魚、かなぁ。若い頃は疲れたときには肉!って感じだったんだけど、最近は、肉を食べるのに体力が必要になってきたように感じてきてな・・・」

「魚ですね、了解です。しかし・・・老いですか」

「せめて年取ったって言って。その言い方だと中年以降みたいだろ」

「まあ、人間、おっさんになってからのほうが人生長いですから」

「元犬が語りよる」

「元犬よりも生活能力の無い方に何言われても」

「いやお前・・・言い方ってものがよ・・・でも事実だしなぁ」

「ええ。若かりしご主人様もちょっとだらしないところありましたし」

「うぐ」

「だからこそ、私の世話は一生懸命してくださったことには感謝しております」

「・・・」

「明日の学校の準備も部屋の掃除も適当なのに、私のご飯は適宜計量してましたし、水はまめに取り替えて、朝も夜も散歩してくださってましたし」

「・・・」

「犬の時には、私にできることは何か、と常々思っておりました。まあ、犬なので大したことは出来ないし言葉も通じないから歯がゆかっただけですが」

「・・・」

「今はこうして人の姿で、人として色々恩返しが出来る様になりました・・・あの頃の自分よりも少しでもご主人様のお力になれているとは思います」

「・・・別に、犬の時のお前に十分救われてたし、満足だったよ、俺は」

「え?」

「うるせえうるせえ、なんでもねえよ、こっ恥ずかしい」

「・・・(元犬だからか、耳だの鼻だのは、良いのですよねぇ・・・元犬冥利に尽きますね)」

こんな感じでだらだら進んでいきます。

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