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2.地球の危機

 エルザは島を見つけ、ことりと着地する。

 ここは東京湾だ。

 辺りは都会とでもいうのか、とても栄えていた。

 トルバ星にあるものとよく似た車という乗り物が道路を行き交う。

 エルザは、街を見て回った。

(結構進んだ文明なのね)

 空腹で腹の虫が鳴く。

(なにか食べるものを探さないと)

 美味しそうな香がエルザを誘う。

 香に釣られて、ラーメン屋の前にやってきた。

(ここは?)

 店の屋根にはラーメン屋の名前が書かれているが、エルザは地球の言葉がわからなかった。

(あ、そうだ)

 エルザは懐から、翻訳卵焼きを取り出す。

 一口噛み、飲み込む。

 私の中華、というラーメン屋らしい。

(当然、お金も必要よね……)

 エルザはこの星のお金を持っていない。

 よく見ると、エルザの服は爆発の衝撃でボロボロになっていた。

(そうだ!)

 エルザは店に入った。

「いらっしゃい! って、どうしたねお嬢さん?」

「すみません。私、住む場所を失って、お金も底をつき、もう三日三晩何も食べてないんです。なにか、恵んでいただけませんか?」

「そうだったか。可哀想に。ちょっと待ってろ」

 店長が、エルザにラーメンを提供した。

「とりあえずそれ食え。うちのラーメンは美味しいぞ?」

「らあめん?」

「なんだ? ラーメンを知らねえのか?」

「いただきます」

 割り箸を取るが、使い方がわからなかった。

「割り箸の使い方も知らないのか? もしかして、ずっと城の中で外に出たことがないために、庶民の使うものがわからないのかい?」

「いや、私はいつも素手で食べてたから」

「こうやって使うんだ」

 店長が割り箸を割り、右手に持って見せる。

 エルザはぎこちない手つきで箸でラーメンをすする。

「美味しい!」

「だろ?」

「うちのラーメンは天下一品だ!」

「店長さん、こんな美味しいのに、本当にいいんですか?」

「何も食べれずに困ってんだろ?」

「恩に着ます」

 エルザはラーメンを美味しそうに頬張り、あっという間に平らげてしまった。

「ごちそうさま」

 席を立つ。

「おい、お嬢さん」

「はい?」

「行く当て、そんな格好じゃ目立つ。二階に服があるからそれ着てくれや」

 店長がエルザを二階の部屋に案内した。

「この部屋は俺の亡くなった娘が使ってた部屋で、何もかもそのままにしてあるんだ。娘の服、貸してやるわ。待て。汚れてるな。シャワーでも浴びてきたらどうだ? そこに風呂があるからな。俺は店があるから、あとは適当にやってくれ」

 エルザは脱衣所に入る。

「お風呂か」

 エルザはボロボロの服を脱いで浴室に入った。

 シャワーを出し、お湯を被るエルザ。

「服とタオル置いとくからな!」

 外で店長がそう言って階下へ去っていく。

 シャワーを終えたエルザは浴室から出ると、タオルで体を拭いて服を着た。

 階下に移動する。

「お世話になりました」

 エルザが店を出ようとすると、店長が足止めする。

「お嬢さん、あんた行く当てあるのかい?」

「え……」

「ないんだろ? 家で住み込みで働くかい?」

「そんな、そこまで。逆に迷惑じゃないですか?」

「構わねえさ」

「ありがとうございます!」

 エルザは住み込みで働くことになった。

「俺は小栗おぐり 拓也たくや。お嬢さんは?」

「エルザ・スティールです」

「外国人なのか?」

「そんなところ」

「そうか。あ、俺ちょっと買い足し行くから、店番頼んでいいかな?」

「ええ」

 拓也が店を出ていく。

 すぐに戻ってくるものだと思ってはいたが、一時間経っても戻ってくる様子はなかった。

 刻一刻と時間だけが過ぎていく。

「遅い!」

 流石に心配になったエルザは、拓也を探しに店を出た。

 地上より空路の方が早いか、エルザは空を飛んで拓也を探した。

「うわああああ!」

 地上を拓也が走っている。後方には怪人が。

「うわ!」

 拓也は躓いて転び、死の淵に立たされる。

「ぐはははは! 死ぬがいい!」

 怪人は、右腕のサーベルで拓也を襲う。

(殺される!?)

 そう思いつつ、顔面をガードして覚悟を決める拓也。

 だが、拓也は無事だった。

 ガードをしていた腕をどかすと、そこには、サーベルを掴んで押さえているエルザがあった。

「エルザ……?」

「小栗さんは私が護る!」

「なんだ貴様?」

 怪人はサーベルを引き抜こうとするが、微動だにしない。

「放せ!」

 エルザは怪人の腹部を拳で貫き、風穴を開けた。

「ぐお!」

 倒れた怪人は、その場で爆裂霧散した。

「大丈夫ですか?」

 エルザが振り返って手を差し伸べる。

「助かったよ。しかし、勇敢だなエルザは。しかもあんな化け物を一撃でやっつけるなんて、どこかで戦闘の経験があるのか?」

「あ、いや……」

 エルザは言葉に詰まる。

「……とりあえず、借りは返しましたよ」

「エルザ、あんた何者なんだ?」

「私は、トルバ星人よ。三百万光年離れた惑星から来たのだけど、宇宙船を失ってしまってね」

「スケールがでかいな。トルバ星人?」

「戦闘種族なんだ」

「戦闘種族? サ◯ヤ人みたいなものか? もしかして、変身も可能だったりするのか?」

「変身は無理だけど、巨大化と萎縮いしゅく化なら」

「こんな時に……救世主だ!」

「え?」

「この地球は今、侵略者の手に追われてるんだ。なあ、あんた! この星を救ってくれ! 娘も自衛隊で、奴らと戦ってたんだが、殺されちまってな。頼む! 娘の仇を取ってくれねえか!?」


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