夜空の星空に捧げる五重奏13
ソフィアとサガリの攻防がより一層激しくなっていく、剣と斧が当たる度に華麗な火花が舞い散るそれはある意味では花火のようだった同時に重なり合うごとに爆発のような金属音が鳴り響いた
ルディアが瞬きをするごとに場所が入れ替わり立ち代っていく
そんな様子を眺めながらルディアは一つ深く息を吸い一つの言葉を出した
「良し」
そうして深く思考するためにゆっくりと息を吸った後に目を瞑った
目の前の様子からして攻撃は確実に来ないという確信があった、というかソフィアがそういう風に立ち回っているのだろう、だから私は全力で考えていく
今できる最善の手を打つために、今現状の状況を打破するために思考を巡らせる
剣と斧がぶつかり合う音が頭の中へと木霊する、そんな音も消していく、ただただ自分の声だけで脳内が構成されていく
やるべき事は明確になっています、行ってしまえば今目の前の悪魔をアヤノさんから引き離すというだけ、それの枷となっているのが契約であるという所なんですよね、だったら契約をどうにかすれば良いというところなんですけど…
ソフィアさんは魔術で契約を解除しろと言ってるんでしょうか?…でも私はそんな術を知りませんし、知っていたのならばソフィアさんは一言でも魔術でどうにかしろというはずですよね
だけど彼女は「考えろ」としか言ってませんしね、だということならば魔術で契約をどうのこうのするというのは余りないのでしょうね
だとすれば何がある?
衝撃を加えて悪魔をひっぺはがす?そんな方法で解決するのであればもうすでに現状を見れば解決しているはずですから無しですね
だったら言葉で目を覚ましてもらう…いえそもそも私は余りにもアヤノさんとの交流が浅すぎますから意味がないですよね
様々な手を考えるがあまりいい手であるとは思えないものしか浮かんでこなかった
…私が手に持っている道具なんて高が知れている、私は人智を超えた存在じゃないないですからね、ただの人間だ、だからだから私にできることは決められている
私の手札は言ってしまえば魔術だけだ
魔術以外に何があると言われてしまえば私は何も持っていないと答えるしかないでしょう
だから結局魔術でしか………。
そんな思いを巡らした瞬間にゆっくりとゆっくりと目は自身の手へと視線が誘導された
誰になんて分からない、誰かに諭されたわけではない、だただた視線とゆっくりと視線は自身の手元に注がれた
なぜと思う、なんでと思った、自分の不可解な行動に心の中が何故で埋まった
だがそんな困惑した感情に答えが一つ聞こえてきた気がした、「あるでしょ?」とそんな声が聞こえてきた
その言葉を、その空耳に近い何かを聞いてルディアは力強く拳を握りしめる、そしてその手をまじまじと見つめ返した




