夜空の星空に捧げる五重奏7
「本当に気持ちが悪い、うぅやってられないですよ」
「もっと自分の心を気高く持てば酔わないよ」
「気持ちじゃなくて種族的な問題でしょうに、頭をもう少し使ったほうがいいんじゃないですか?」
「お前に割くほど頭の容量は残ってないからな」
「このやろ………羅針盤はどんな感じですか?目の前にいる人であってますか?いやですよ、ただの一般人だったら」
「それは多分ない、羅針盤はずっと目の前の人に向いてるし……ここまで異様な雰囲気を感じ取れているんなら間違いないだろ、寧ろ間違っていた場合目の前の人物はなんだってなるからそれはそれで対処しなきゃいけないんだよな」
「国王様も大変ですね、いつか労ってあげますよ」
「本当に労ってくれ、最近はなんかもう、さ」
そんな言葉を放ったソフィアの顔はげんなりとしていた、ルディアはそんなソフィアの様子を見て苦笑いしか浮かべることができなかった
だがそんな二人でも目の前の存在からは目を離すことはなかった
ルディアとソフィアの二人が話しながら様子を見ていたが目の前の人物は一歩たりとも動くことはなかった
何故?なんて考えても仕方がありませんね
「おいそこにいるお前…あ~そうだな武器を捨てて投降するんなら腕の一本で許してやるよ、この国にはある程度魔術が使えるやつらがいるからな腕一本程度では死なないから安心しろ」
剣を地面に突き立てながらソフィアはそんな宣言をした
「いや、足も追加で入れとくか、そうだな、両足と手で許してやるよ、私だけがな」
…えげつないですね、魔術があるとしても痛みは感じるでしょうに、ま、どうでもいいか
私はヒーローでも救世主でもないですし、善人でもあまりないですし、止める筋合いはあまりないですね
「どうするんだ?数秒は待ってやるよ」
「ねぇお姉さん達、今日はどんな日だった?」
なにかしらの金属音と共に目の前の人物が一歩前に出た、暗闇に紛れているために外見が一切見えない
「私はね、今日は外でいーぱい遊んだんだよ、普段通りにいつも通りに国を散策して、人と話したんだよ、そうだ、今日は花をも取ってきて貰ったんだ」
「……それは白い花でしたか?」
ルディアがわかりきった質問をする
「うんそうだね、白い花だね、綺麗だったなぁ」
「そうですか、それは良かったです、お母さんの体調は治りましたか?」
がりがりと金属音が地面を削る音が闇から聞こえる
「うん。そりゃあ勿論」
「………貴方はどうしてこんなことを?」
ルディアに驚きなんてものはない、驚きが表に出てないだけで勿論内心では驚きという感情はある、だがそれもひとかけら程度だ、だから言葉に驚きの声なんて乗るはずもなく、ただただ学生が先生に質問するかの如くただ普通の声の抑揚で言葉をかける
「どうしてだと思う?どうしてだと思う?……。」
がりがりと不快な金属音を奏でながら一歩ずつ前へ歩みを進める、一歩一歩闇の中を進む音が聞こえてくる
全てに不変なんてものはなく全ての森羅万象は流動的である
夜に舞う雲もその音に呼応しているかの如く、カーテンの幕開けのように動き出す
だからあと数分もすれば月明かりはまた主役たちを照らし出すであろう
一人はこの闇夜の中でも吸血鬼を象徴するような真っ赤な色をした剣の一対「ヒイロ」ともう片方では桜が模様として浮き出ている桜色の剣「アオゾラ」を構え戦闘前の準備を終えた
「……皆目見当尽きませんね、あれですかね?ツバメさんかダリアさん辺りに聞いたらわかるんでしょうかね」
「………………………。」
返答がなかったことを気にする様子もなく、もう一人の魔術使いも吸血鬼に続くようにして杖を構えた
「ソフィアさんは遊ぶような人ですか?」
「忙しいからな、こーゆーのは早く終わらせたい感じだな」
「それはまぁ助かりますね、こちらとしても今日はくたびれているんですよ、終わらせるんなら早く終わらせたいですしね」
終わらせるなら一瞬で、私は別にいじめる趣味とかはないので凍らせて後は任せましょうか
始まると思われた時間、幕開けの時間に一人の声が聞こえてきた
「……………はぁ」
それはため息だった、だが先よりも音程が低い
「どいつもこいつも相手の背景を考えねぇなぁ?こんなちっさい奴が鎌なんて持てるわけないだろ?頭おかしい奴しかいねぇのか?」
闇はまだ闇の中
「でも好きだぜ、自分自身が狂ってるからな、いや違うか生まれた時から自分はそんな存在だったか……ま、そんな事はどうでもいいさ。魔術使いの嬢ちゃん、質問だ、昼間に会った少女はどっちでしょうか?」
「ふぅーーー、はぁーーーーー、長い夜になりそうですね…。………偽物であって欲しかったんですけど、本物なんですか?」
「聞いといてなんだが、正解は秘密だ、ふふふ」
静かに笑っていた、だが顔は見えない、どんな表情をして、どんな顔をして、どんな目をして言葉を紡いでいるのかをルディアとソフィアは認知することができない
だが声は聴くことはできる、その声は音程は下がっていた、簡単に言ってしまえばその声は先ほどまでルディアと会話していた少女ではないように感じられた
「じゃあ追加で質問だ、そこの吸血鬼の”国王様”?お前は罪なき子供を殺すことができるか?罪なき子供の手足を奪うことはできるか?お前は罪なき子供の将来を奪うことができる立場か?」
「……………………………。」
肩に剣を何度も叩きながらソフィアは口をへの字に曲げた
剣は空気が澄んでいるためかソフィアの心の中とは正反対に位置するように綺麗な音を奏でていた
「ま、できなぇよな?やれるわけねぇよな?くくく!あっはっはっは!…………………………………さてと条件は頭に入ったよな?入ってないならもう一度言ってやってもいいが?まぁいらないよな」
さて幕は上がる
街灯は光り輝き、月も輝きを取り戻す
そのため今回の主役に光が当たる
その光は二本の剣を持った吸血鬼に当たった
その光はいつも通りの杖を持った魔術師に当たった
最後に当たった光は闇から這い出てきて少女に当たった、それは当たり前だが鎌を持っていて、そしてルディアはやはり記憶に新しい少女がそこに立っていた
そこに立っていたのは茶色のロングヘアーを持った、お母さん想いのアヤノがそこに立っていた
「さぁ、始めよう………いっちゃん楽しい時間をこれから奏でようじゃねぇか!!!!」




