表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
[主人公たち!]  作者: 狼の野郎
夜空の星空に捧げる五重奏
89/109

夜空の星空に捧げる五重奏6

夜空は綺麗だった


誰に言われようとも綺麗だった、誰にも束縛されずに、光を当てられて自分だけの光を放つ


誰に縛られるわけでもなく、誰かに文句を言われることもない、自分の力で輝く


そんな私になりたい、周りの感情に縛られることなんてなく、誰かの目を気にすることなく、誰かが決めたルールに従うつもりもない


だから私は相棒を受け入れた、受け入れて、服従させた


それは才能だったのかもしれない、それは天性の才だったのかもしれない………。




ルディアとソフィアの二名はソフィアが倒れていた広場に降り立ち、周りを見渡す


当たり前の話だがルディアがこの場から離れた瞬間から何も変わってはいなかった、強いて言うのであればリーシャの血液が地面へと流れ込み、血だまりが少しばかり引いているという点だけだ


その妹の血だまりを視界にいれ、苦虫をかみつぶした表情を覗かした後にルディアに問いかける


「で?どうするんだ?誰にも捕まえられていない者を見つけるのは中々骨が折れると思うが」


「リーシャさんの付着した魔力とここに残っていた魔力を追う算段でしたけど…。」


不味いですね……時間が立ちすぎていてもう薄すぎますね…追えないことはありませんが…。ただ正確ではないんですよね


「どうしましょうかね」


「おい」


「へっぽこ王様には何も言われたくないです、だいたいのうのうと逃してるからこんな事になるんですよ」


「あー?私が表に出られるわけがないだろ、考えろよ、頭空っぽ」


「……………。」


「……………。」


二人の生物がいるのにも関わらず静かな時間が流れる、静かというかひりついた空気がそこにあった


ルディアとソフィアはその静かな空間で立ち尽くす


闇雲に探したら見つかるでしょうか…途中で途切れる可能性がありますよね…。でもここで止まっていても進展しませんよね


だったら動き出してしましょうか


とルディアあ覚悟を決めたところでソフィアから待ったをかけられる、その自分の行動に制限を縛られたルディアは心底嫌そうな顔をしながら「何ですか」と言いながら振り返る


「おいルディア、アルから受け取った羅針盤は今どうなんだ?」


「羅針盤ですか?えっと…ポケットにありますけど……」


ポケットに閉まっていた羅針盤を取り出す、それは相変わらずに一点を指していた、ただの一点、北や南などの方角ではない


ただの一点だった


ルディアは呆れ、ソフィアも呆れた


「あの人は…。本当に」


「どーせ、指してあるんだろう?」


「良く分かりましたね、何で?」


「ただの勘だよ、というかあいつとは数年間関りを持ってるからなある程度は行動だけは把握できるんだ、したくないけど」


「きっと思考が似てるんですよ」


「よせ、あんなトチ狂ってるやつと一緒にするな」


目指す道は既に示されていた


言ってしまえば原理は分からない、正確に何を示しているかも不明だ、相手の魔力なのか、それとも自分が探しているものなのか、今あげた二つの例以外のものかもしれない


だが辿るべき道は重なっていた、辿ろうと思っていた道つまるところ魔力の流れと針が重なっていた


「アルさんも説明してから渡してくれれば良かったのに」


誰にも聞こえないほどの小さな、ため息交じりの感謝を表すかのような優しい声でそれはルディアの口から洩れた







消えてしまいそうな魔力をルディアとソフィアは空中を滑空しながら追いかける、手に収まるほどの羅針盤も進んでいる方角を指していた


風の音が耳に入ってくる、夜の空気はやはり人がいない分澄んでいて気持ちがいいと感じる


「間違っていないようだな」


「そうですね、ここまで来ると偶然っていうわけでもなさそうですし、目的に手が届くんじゃないんですかね」


「…準備運動はできてるか?」


「うるさいですよ、出来てるに決まってるじゃないですかというかもう身体を動かしすぎて寝たいんですよ」


「そうか、じゃあこの時間が無駄だよな?」


「は?…………どの時間がですか?」


「ん?いやだからな、この時間だよ」


自身の速度を上げたいがこれ以上上げると確実に制御が不可能になる、だから冷や汗が流れる


「いやですよ、絶対嫌ですからね、人間には限界っていうものがあってですn」


「ごちゃごちゃうるせぇ、それに吸血鬼だからわからねぇや」


「あ!!そーやって理解を拒むから亀裂というものが発生してですね!暴力というなの強制的な命令があるからこそ国は悪い方向へとだから、だから私のお腹に手を回すのはやめてください、ちょ、あ!コンパスを取らないでくだs」


「声出していると舌噛むぞ」


「馬鹿馬鹿馬鹿、ちょ本当に待ちませんか?確実に目的地にはたどり着けるんですから、ね?ね!?ぇあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」


この姉妹は本当に!!


ルディアの視界はめまぐるしく景色が変わり続ける、一秒、二秒、三秒と秒数を重ねただけでその目に入れていた景色はすでに過去のものとなる


ソフィアは周りを見ながら器用に飛んでいるために絶対に設置物、つまるところ壁や家には何があっても当たらないのだろう、そんなことを頭で分かっていても眼前に迫るほどの壁が目にも止まらない

速さで消えていけば恐怖というものが自ずと湧いてくる


怖い怖い怖い!!!


空気の圧力で胸が苦しくなる、空気が口にうまく入ってこないとか考えている暇ありませんって!!!


あぁぁぁぁぁぁぁぁっぁぁ!!!もうこの姉妹は本当にやだ!!!!







月が雲によって覆われている夜の中、頼りない少ない光と深淵に包まれている一人の人間の口から言葉が漏れる


「右、左、探してもいない…どこに行きやがった?」


誰かに問いかけているわけではないために、返事が返ってくることはない


「探しても探してもどこにもいねえ、あの瞬間に現れた奴はなんなんだ?屈折の魔術でも使ったのかと思ったがそうでもない」


餌を眼前に取られた猫のような声調と顔で言葉を放つ


「帰るか」


あの平凡でどこにでもある、何不自由ない家へと


そうしていつも通りに普段通りに暗い夜道を帰ろうとしたところで目の前に空から何かが静かにだが高速で地面に着地した


光が足りてないのか、はたまた月が隠れているためかお互いの姿が見えない状況にあった


誰だ?先ほど現れた魔術師か?それとも…


目を凝らして誰であるかを確認する


それは大きな翼をもっていた、鳥のように綺麗な、天使のような翼ではなく、虫のように機能に特化したような翼でもない、その翼は暗闇にこそ輝くような翼であった、蝙蝠のような翼であった


「よぉ悪役、直々に倒しに来てやったぞ」


この国にいるのならば一度は聞いたことがあるはずの声が闇の向こう側から聞こえてきた


げんなりとしたような、疲れた声が一つ聞こえてくる


「くそぉう、うぅ、こんな目に合うのはもうないと思っていたのに…絶対いつか復讐してやる」


情けない声であったがそれでも聞いたことのある声だった


最終目標だった二人がそこにいた


………………………まずい。


雲は風によって動かされ月は輝きを取り戻し始める

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ