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[主人公たち!]  作者: 狼の野郎
狂った少女は夜に照らされ静かな笑みを浮かべる
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狂った少女は夜に照らされ静かな笑みを浮かべる9

「「一」」


ルディアと同時に唱えたカウントダウンは”一”を迎え、それを皮切りに二人は同時に動き出した


アルはいつも通りに普段通りに、いつも使い慣れた魔術、昔からの使い慣れた「空間の連続性の否定」を使用する


目指すは後方、私たちをつけている人物、さぁて?つけている人物が誰だ?


アルは魔術を発動させると同時に空間から消え去り、ほぼ同時刻に違う地点に足を降ろした


「は?」


「へ?」


アルともう一人、鎖で雁字搦めにされた人物から素っ頓狂な声が漏れ出た


アルの着地は華麗には決まらなかった、ルディアの完璧な連携によって生み出された鎖が華麗に綺麗にアルを絡めとる、本来ルディアの仲間であるアルを華麗に綺麗に、一切の躊躇なく絡めとった


「ルディアさん!?ちょっと!?ルディアさーん!?話が違う!!打ち合わせではスマートに行く予定では!?」


鎖で腕や足などを遠慮なく、一切手加減が加えられることなくぐるぐると巻かれていた、身動き一つ取れる気がしない


鎖によってぷらーんとアルともう一人の人物は空中に浮かぶ


「あの…おーい。すいませーん、ルディアさーん‥‥」


アルはルディアに呼びかけるがその声は返事など一切のリアクションが無く、何故か、何故かしらルディアの返事は無かった


ま、まぁルディアさんもミスることはあるでしょうに…しょうがない魔術で、と‥‥んん?あれ?魔術が?出せない??嘘でしょ?


アルはいつも通りに普段通りに魔術を放とうとするがどうしてか魔術が発動しなかった、正確にいうと魔力が一ミリたりとも動かなかった、魔力を強制的に止められていた、反射的になぜ?と瞬で頭を回すが答えは一つしかなかった


これか


アルの目には自身がぐるぐると巻かれている鎖が目に入った。


あるとするならばこれだ、辺りには魔術が使われた痕跡は見えない、自身に魔術を使われた訳でもない、だったらこれしか無いだろう…‥それにしても進化している?ここまで強い束縛だったか?‥‥‥ふぅむ、魔力が一切使えないな、これは凄いな‥‥‥


アルは自分たちをつけてきていた人を確認するために縛られながら顔を上げた、そこにはアルと同じ状況に立たされている一人の少女がいた、背丈はルディアよりも断然高く、目線の高さはアルと同じくらい、ルドと同じ黒い髪の毛を持っているがその長さはアルと同じくらいに腰にまで届くほどの長さを有していた


「初めましてだな、夕飯も近いから用件だけ聞くぜ?どうしてここまでつけてきたんだ?」


「…‥あなた凄いね~お互い不格好のこの格好で話を進めようなんて」


「いいから~話が進まないからぁ~お互い状況打破なんて出来ないんだからぁ~」


「うぅそれはそうね…本当にこの鎖一体何で出来てるんだか…」


鎖をまじまじと見ていた少女はそうじゃないそうじゃないと一言呟いたのちに鎖を見ていた顔を上げ真面目な、誰一人とも冗談を言えることができない雰囲気を作り出した


それはアルも同じで先ほどの軽いノリは何処へやら、アルの声からも茶化が一切ない真剣な言葉が紡がれた


「で、お前は誰だ?」


「最初に言葉を交わすんだったら挨拶かしら?…初めまして、私は最近、一か月前くらいにこの国に来た超凄腕、解決できない事件なんてものはない超絶怒涛の探偵、ダリアよ、宜しくね」


二人の顔はひどく真剣だった、冗談なんて言える雰囲気ではなかった、お互いがお互いを警戒し合い有無を言わせぬ雰囲気を醸し出していた


だがその光景は余りにも滑稽であった


二人は鎖で雁字搦めにされ、空中でぷらん、ぷらんと情けなく風に身体を揺らしながら、情けなく足をぶらぶらとさせながら視線を交差させていた





「綺麗に吊られているなぁ」


アルはまじまじと一言呟いた後に興味がなくなったのかすぐさま読書に戻る


ルディアの目の前にはぐつぐつと炎は揺れ続ける、肉は自身の身体を柔らかくするために煮えていき、野菜もお湯によってとろとろと柔らかく溶けていく、段階を踏むごとに美味しそうな料理のにおいが部屋に充満していく


アルの魔道具店にあるキッチンではルディアが黙々と料理を作り出していく。絶品というほどの料理は作ることはできない、だが家庭の味つまるところお母さんの味ぐらいの腕前は持ってた


アルは静かにコーヒーを飲みながらダイニングテーブルで読書をしながらルディアの料理を待っている


以前にルディアの料理を手伝おうとしたが、その時に悲惨な事しか起きなかった物語がある、それ以来からルディアはアルに「料理中は何があっても絶対的に近づかないでください!!」と耳が腐るほどに言い聞かされていた


だからこそアルはのんびりとコーヒーを飲みながら夕飯をのんびりと待っていた、目の前に未だに空中に吊るらされているダリアを見ながら


「で?私たちをつけていた理由は何なんですか?ダリアさん?」


キッチンで料理をしながらルディアはダリアに聞く


「別に大した理由ではないのよ、だから鎖を解いてくれないかい?」


「理由を話すまでは嫌ですよ、痛い目見たくないですから」


「ほれぇほれぇ話したらどうなんだ?」


「まぁそうね、ここで溜めても仕方ないし、言っちゃいますか、そう私は!探偵なのよ!」


「知ってますよ、話を進めてください」


ルディアは半眼の冷めた目でダリアを見る


「ねぇそこのアルさん?探偵と言えば何だと思う?」


コーヒーをちびちびと飲みながら読書をしていたアルは手を止めダリアに顔を向ける


「あぁ?探偵なんぞ、何かを解決するために存在してるんだろ?」


「そうよ、そうなのよ、私は探偵であり、探偵いるところに事件ありってね、そう私は事件を解決しに来たのよ」


「はぁ、事件ですか、何かありましたっけ?アルさん」


「あれだろ?今巷で大人気の殺人未遂鬼だろ?どいつもこいつもお熱すぎねぇか?一人の人物に」


「あぁなるほど」


「そうなのよ、アルさん大当たり~私もつい一か月前に聞いてね、うずうずして解決に来ちゃった探偵なのよ」


「遠路はるばるよくこんな国のちっぽけな事件を解決しに来たな?本当に」


「何言ってるのよ、吸血鬼の国だけで珍しいのにこの一か月間の間逃げ延びてきている殺人鬼なんているのよ、珍しいに珍しいを掛けて超絶珍しいじゃない」


「はぁ、その感性は分からないな」


「私の感性を理解してもらおうとは思ってないわ、私はただ自分の手で解決して、自分の目で見たいだけだから」


「そうかい、変わった奴だな」


アルは興味がなくなったように本に目を戻す、待て待て待てとキッチンからルディアがちょこんと顔をだす


「じゃなくて、話が逸れていますよ、アルさんも面倒だからって知らんふりをしないでください!」


「ばれたか」


「”ばれたか”じゃないんですよ、それにダリアさんも話を逸らさないでください」


ダリアは気まずそうに言いたくなさそうに口を開いた


「やっぱり今言わなくちゃダメ?」


「…‥‥‥‥‥‥‥‥そろそろ食材がなくなってきたところなんですよね‥‥あぁそうだ、ところでアルさん?人を人ならざる者に変化させる魔術ってありましたよね?あー後、最近回復魔術の練習をしていまして、練習材料を探しているところだったんですよ。」


「えげつない事を言うな、いやまぁあるけど…」


「っひ…はい、言わせていただきます」


諦めたようにダリアは口を開き、ルディアとアルをつけていた理由を吐き出した

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