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[主人公たち!]  作者: 狼の野郎
狂った少女は夜に照らされ静かな笑みを浮かべる
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狂った少女は夜に照らされ静かな笑みを浮かべる6

オレンジ色の夕日が国を照らす、青い空は既にいなくなり、今は既にオレンジ色へと姿を変えていた、真っ赤な空は人に帰れと告げていると同時に綺麗な空を創り上げていた


ソフィア通りには様々な人がいた、自身の家に向かう者やこれからの夜の街を楽しむ者、はたまた予定もなく夕暮れ近い国を散策する者、いろんな人がこの国を歩んで自分の人生というものを歩んでいた


人がここまで溢れているのだ…‥様々な人がいるからこそ些細な出会いも起きるだろう


だから、このようなことが事が起こってもおかしくはないだろう


ルディアはこつんと何かにぶつかる、それは決して固い物体では無かった、何かしらの街頭や国のオブジェクトなどではない、それは人だった、ルディアよりも一回り、二回り小さい女の子だった


「あ!す、すいません、大丈夫ですか?」


「うん、私は大丈夫!おねーさんこそ大丈夫?怪我してない?」


「はい、大丈夫です、怪我してなくて良かったです」


「おねーさんも怪我無くて良かったよ~ばいばい~」


少女は可愛らしい手で人混みに紛れながらルディアに向かって手を振り続けた、ルディアもそれに応えるように手を振り返す


ルディアは少女が見えなくなるまで手を振った


「おーい、何やってんだ?置いてくぞ、リーシャもなにボケっと突っ立ってるんだ」


ルディアはぶつかった女の子が人混みに消えるまで見送った、リーシャに関してはぼーっと女の子を見ていた


「食べちゃ駄目ですよ?」


「我の事を何だと思っているんだ?フハハハハハハ!幼女など喰うに足らんよ!!」


「‥‥‥あれぐらいに素直で可愛らしかったらな…はぁ」


「人の顔を見てため息を吐くな」





夕暮れの帰り道、人々は帰路に向かうために歩を進めるが、アルとルディア、リーシャもその一部へと紛れながら歩いていた


「はぁもう疲れた、もういいです、もう…お腹一杯です」


「っふ我は楽しかったぞ、我を楽しませる行為をした貴様には後に災厄が訪れるだろう、フハハハハハ!!」


「なーんで、楽しませたのに不幸吹っ掛けられないといけないんですか、全く・‥‥楽しかったのなら良かったです」


「ん、なら、そろそろ解散するか?なんなら送っていくぞ?」


「我の事を何だと思っている、我こそは唯我独尊、天上天下、我は神をも喰らう存在であるぞ、フハハハハハ!!あははははははは!!」


「もー何なんでしょうね‥‥容姿と言葉使いが全く合ってないので、ちょくちょく頭がこんがらりらりですね」


「こんがらりらりだな、まぁ私も慣れるまでちとばかし時間をようしたな」


アルは苦笑しながら言葉を放った


「っふ!我のスタイルはかっこいいだろ?」


「はいはい、かっこいいですねーかっこいいですよー」


「むーもっと威厳を込めてほーめてー!」


「はいはい」


ルディアはリーシャの頭を撫でる、気持ちよさそうに猫のように目を細めながらリーシャは撫でられていた


「だったらまぁ、ここで解散するか」


「っふ、これぞ、運命が定めた時間の流れ、これこそが運命を決める人物が決めた流れである、今回の運命には流れに身を任せるとしようか!!」


「そうですね、良い時間帯ですし解散で良いんじゃないですか、夕飯も作らないといけませんし」


ルディアの言葉を聞いた瞬間にリーシャは顔を明るく、目を輝かす


「っむ、貴様は口に運ぶ食べ物を作ることができるのか、ならばいつか我の事を招待するという行為をルディア、貴様に許可しようではないか!いつでもいいぞ!」


「はいはい、いつか呼んであげますよーー」


「んじゃ帰るか、リーシャも気を付けろよ?最近物騒らしいからな、じゃーな、リーシャ、お前の姉によろしくな」


アルの言葉で締め、ルディアとアルが自身の魔道具店に帰ろうと踵を返す


二人は夕日を後にし、夜に向かう空へと向かって歩き始めた


だがルディアはその歩みを止める


いや止められた


リーシャはぎゅっとルディアの服の裾を掴んだ、それは頭がトチ狂った言動からはかけ離れている行動だった


それは言動から察することができないほどに弱々しい力だった


ルディアもリーシャの行動に驚き、瞬時に足を止めリーシャの方へと身体を向ける


オレンジ色の背景をバックにした吸血鬼の顔は優しかった、青い空でもなく、暗い夜の空でもない、暖かなオレンジ色の夕日は今の吸血鬼を表しているようだった


それは暖かな感情を表したものかもしれない


それは夕日のように一瞬だけ見せる顔だったのかもしれない


「ルディア!今日はありがとう、すごく楽しかった!私にはない物を触れさせてくれたし、お出かけにも一緒にしてくれて、本当に楽しかった!アルもありがと!‥‥またね」


リーシャは言葉を掛けるだけ掛けるとアルとルディアの返答を待つことなく手を振りながら人混みに消えていった


「はは、なつかれたなぁ」


「…‥‥‥‥‥ちゃんと喋れるんならちゃんと喋ってほしいですね」


「それもそうだな」


アルは微笑ましい二人のやり取りを見て楽しそうに、だが静かに笑った

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