狂った少女は夜に照らされ静かな笑みを浮かべる1
何時からでしょうか?どのタイミングからだったでしょうか?この感情を追い求め始めたのは…親が流行り病で死んだときでしょうか?それとも空を始めて飛んだ時でしょうか?はたまたこの吸血鬼の国に来たときでしょうか?・‥‥それとも最初から持っていて生まれたときでしょうか?
もうこの感情を負い始めたときなんて覚えていませんが、それでも最初の気持ちと今の気持ちは変わらないんじゃないんでしょうか?
真夜中の夜にふっと、自由に駆け回れる羽をもつ少女は一人で笑った
「アールーさん?」
ゆさりゆさりとルディアはアルの身体を揺らしながら声を掛ける
ちゅんちゅんと外からは鳥のさえずりが聞こえてくる。それに加え目を開けなくても朝の陽ざしが差し込んできているのがはっきりとわかる
「あと三時間ほど」
「どれだけ寝るんですか、頭痛くなりますよ」
「んなぁ、無理」
アルは布団を深く被り、全ての光を遮断し布団という鉄壁の空間を作り出し、少しばかり息苦しいがそれでも暗く眠りやすい空間でもう一度安眠を始めようとした
その様子を見て、ルディアは一つため息を吐いた後に魔力を練り始め、それに続き詠唱を始める
それを聞いてアルは急いで起き上がる
「待て待て待て!なにやろうとしているんだ!?ルディアさん!?」
「え?目を覚まして上げようとしただけですが?」
「家を破壊する気か!?」
「大丈夫ですって、多少びしょびしょになるだけじゃないですか」
「駄目に決まってるだろ!?‥はぁ目が覚めた」
「それは良かったです、さてと朝食できてますよ」
「うぅ、はい」
アルは渋々ながら布団から出ることを決めた
ルディアが作ってくれた暖かい朝食をもしゃもしゃと眠そうに食べ始める
「眠そうですね」
「そらぁな、眠い中起こされたからな」
「はは、ひどい人もいたもんですね」
「ルディアさん!?」
ころころとルディアは転がる様に静かに笑った、アルは呆れるように笑った
朝食を一通り食べ終わったところでルディアがぽつりとつぶやく
「さぁてと、今日はどのくらい来ますかね?」
「どのくらいねぇ?…ふーむ・‥‥なぁルディア?気分転換でもかねて今日は外にでもお出かけに行くか?店なんて閉めて」
「いいんですか?」
「どーせ誰も来ないからいいさ、国にでも出て今日はパーと遊ぼうぜ?」
「それでいいんですか…経営者…」
ルディアは呆れながら言葉を放った
ここでルディアは選択を誤った、普段通りにいつも通りに店番をしていれば良かったと心底後悔することになった、あぁこんな面倒くさい事になるんだったら寂れた魔道具店にいれば良かったと
「ちょっと!!アルさん!?どうにかして止められませんか!?」
「ちょーと無理かな~まぁ周りの被害は押さえておくからさ」
「変な所に気を回す余裕があるんだったら止めてください!!」
「今宵始まる、酔いしれるほどの舞踏会、私と一緒に踊りましょ?」
「今宵でもないですし!踊りたくないですよ!」
ぎんぎらと日光が降り注ぐ国の中央で国の王様の妹、吸血鬼の妹がルディアと対峙するようにそこにいた
書き忘れましたがエニュプニオンはギリシア語で夢です




