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[主人公たち!]  作者: 狼の野郎
前日譚 夢を見て空を見る少女 
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夢を見て空を見る少女32

アルとエニュプニオンは踊るように、方や少女の腕で赤い剣を振るい、方や細長い腕で禍々しい鎌を振るう


アルが魔法を放ったのならばエニュプニオンは具現化の能力を使い、魔法並みの現象を発生させる


剣が当たったならば、剣と鎌との拮抗で空間が揺れる、魔法が衝突したのならば空間が悲鳴を上げる


エニュプニオンには隙が無かった、頭部に無数についている頭は普通の顔と変わらず、目がついており、飾りやデザインなだけの目ではなくしっかりと一つ一つの目が稼働している


全ての物の位置を把握するためにぎょろぎょろと目ん玉は動き続ける


顔だけで生成されている翼も同様だ、目玉が忙しなく動き続ける


ぐるん、ぐるんと上を見る目玉もあれば、右を見ている目もある、その逆、左を見ている目だってある、目玉は回っている


その戦闘は平行線を見せているようにも見えた‥‥


「スターレイン!!!」


アルが魔法を唱える


魔法は通常通り、いつも通りに発動する


超上空の空には無数の惑星が召喚され、上空から凄まじいほどの熱量を纏いながら、星が宇宙を飛び回るかの如く降ってくる


全てを無に帰すほどの熱量、衝撃がエニュプニオンを襲うだろう


爆音、轟音と共にそれは着弾する


爆音が鳴り響き、凄まじい熱量が襲ってくる、それを耐え忍んでアルはエニュプニオンへと目を向けた


「「この盾、凄いわね、上出来じゃない!」」


「そりゃあ、どうも」


エニュプニオンは無傷であった、エニュプニオンは見知った、アルが多用して使っていた盾を構えていた


それは紛れもなくアイギスであった


「…‥‥」


アルは一つ苦笑いを顔に浮かべ、一言も発さないでその間に思考を巡らす


まじか、魔法すらも具現化できるのか…どうする


私が放とうとしている魔法はアイギスを上回るだろう、だが私の魔法が具現化された


ということは尚更、足を確実に止めなければ見切られ、躱される


すでに「空間の連続性の否定」を何度も見せてしまってるから


どうする…どうする…


相手に手の内を見せ続けるのもまずい


楽しいな、こんな奴まだいたのか………


思考を重ね続けるアルの額に汗が一つ流れ落ちる、ゆっくりと顔を伝い、その一滴が地面に落ちる


それが再戦の合図となった




アルの様子など気にする事無くエニュプニオンは動き始める


エニュプニオンは目の前から陽炎のように消えた、忽然と音もなく、気配すらも消して


同時に私の視界の端にに煌びやかな光が見えた、それは炎のように熱かった。


目が限界まで開かれる、アルはぎりぎりの所で光に反応できた


エニュプニオンはアルの死角に回り込み、全てを溶かす熱量をその手に抑え込み、いつでも放てる状況で回り込んでいた


「アイギス!!」


「「遅いわよ」」


両者の声が重なった、二つの声は交差すると共に、魔法も交差する


盾はアルの声と共に発動し、エニュプニオンと壁を隔てるように出現する


全てを溶かす熱の光線はエニュプニオンの声と同時に放たれ、アルを消し炭にするために向かていく


盾と光線は重なり合い、爆発が散る、火花が散る、光線と盾はどちらも引くことを知らず、負けることを知らずにお互いの身を削りながら、炎を散らした


だがそれは長く続かなかった、またエニュプニオンは飛んだ


空間の連続性の否定だ、空間を飛び、その場から居なくなった


そして飛ぶとほぼ同時刻、一秒の誤差なくアルの頭上にエニュプニオンは現れ鎌を持ちながら、威力を付けるためにぐるん、ぐるんと回り、回転を付けながら鎌を振り下ろす


アルは避けることは不可能だと察しすぐさま赤い剣を頭上に構え鎌をぎりぎりの所で受け止める


「ぐっ!」


鎌と剣が接触する、どちらも折られまいと、折ってやると、喰い殺してやると火花を散らし、金属音を鳴らし、拮抗を見せる


剣と鎌は拮抗を見せているが、衝撃が消えるわけではない、凄まじい衝撃が伝わりアルの足元が地面に埋まる


時間が、秒数が経つごとにアルの足元は地面に埋まり、足が悲鳴を上げ続ける


腕が筋を立てながら上下に微小ながら揺れる


「「本当に便利よね~この瞬間移動?本当に便利じゃない」」


「ちっき…しょう!使用料取るぞ!この野郎!!!」


気合で鎌を押し返し、拮抗を終わらす


「「あげるわよ、死っていう対価を」」


またエニュプニオンは消える


目の前の風景が突如として暗くなる


今度はいつの間にか用意されていた、先ほども見た超巨大な、空すらも引き裂くほどの超巨大な化け物が出現していた


その化け物は一切の躊躇いを見せずに拳をアルに向けて落とす


拳は隕石が振ってくるような爆音を奏でながら、空気を押し付けながら、地面に向けて、アルに向けて落ちる


アルは冷静にだが大胆に剣を構えて、振るった


振るった剣先から赤い真っ赤な光線が伸び、伸び続け、それは落ちてきている拳に向かっていく


豆腐を引き裂くように赤い光線は拳を引き裂く、引き裂いていき、引き裂いていき化け物を一刀両断する、化け物は真っ二つとなり、がらりがあらりと黒い粒子を散らしながら消えていく


だが


左右の耳から。真横から複数の不穏な音を聞く


ひゅっと剣が抜かれ振れらた音、ぶおんと大きい、巨大な斧が振られた音が


巨大すぎる化け物に気を取られ、いつの間にか至近距離に黒い人型がいた



くそが!こいつらどっから出てきやがった!


アルに向かって二振りの斧と剣が速度を殺さず、むしろ速度を上げながら一撃を加えるために振られていた


ノータイムで考える暇すらなく、ほぼ反射で何度も使っている魔法を発動させる


「アイギス!」


盾を出現させる、同時に剣は剣で受け止める


斧の攻撃は盾で防ぐ、がこんという重い物が当たる音が響き渡る


同時に赤い剣と黒い人型が振るった剣が拮抗し、金属音が重なり合い、気色が悪い金属音が響き渡る


「「アイギスって、一つよね?」」


間髪を入れずにエニュプニオンが頭上に現れ、同時に鎌を振るった


その鎌の速度は達人の域を越していた、奥義に手をかける一歩手前の技だった


空気を切り裂き、空間を切り裂き、音を置き去りにしながら鎌が迫る


それは死神の一撃のように感じられた



アイギスは!?駄目だ!斧と拮抗してやがる


魔法は!?間に合わない


空間の連続性の否定!?発動する前に鎌が私の首を斬り取りやがる


どうする?


どうする!?


どうする!!!


短い間にアルの思考はぐるぐると回る


新しい魔法を創るか!?


いやそれとも一か八かで空間の連続性の否定を使用してみるか、脱せたらまだ希望があるな!


無意味な思考も重なる、何度も何度も短い時間で思考が重なり、周り続ける


まずい、まずい、まずい、まずい、まずい


どうするべきだ、どうすれば打開できる、どうすれば‥‥どうすればいい!!!


ぐるぐると思考が回り続ける、その刹那の間で鎌はアルの首に触れる、エニュプニオンの鎌が首に触る


死神の鎌が首を跳ね飛ばすだろう



一人の人影が動き出していた、小さい身体を使いながら魔術を使用する


白い何かは地面に伝う、魔力は地面を走った、全てを捉えるために、全てを自分の世界に引きずり込む為に


鎌よりも早く、エニュプニオンの動作よりも早く、この世界に動く者たちより何よりも早く


世界を展開させる!


「白い世界!!!!」


彼女の声が、彼女の大声が世界に響き渡る、同時にパキンという世界が凍り付く音が聞こえた


彼女の声の直ぐ後に世界は展開された


彼女が綺麗だと思った世界、彼女が綺麗だと思った世界


白い世界が展開された


エニュプニオンは一つの動作もできないほどに凍る、黒い人型すらも凍る


アル以外を除いて全てが氷ついていた、白く真っ白く凍り付いた


だがそれも刹那の一時


凍らせるだけの魔術でエニュプニオンは止まらない、強引に自身の固まった身体を動かした、バキバキと音を立てながら氷を振るい落としながらエニュプニオンが動き出す


止まっていた鎌がアルの首を搔っ攫いに動いた


だがその鎌は大きく空を斬った、血なんてものは飛ばずに、アルが斬られることなく空間だけを切り裂いた


貰った時間を有効的に使い、瞬間的にアルは空間の連続性の否定を使用し、危機的状況を既に脱していた


アルは少し離れた地点に表れる


それと同時にルディアがエニュプニオンに向かって走り続ける


小さい身体を懸命に動かし、魔術使いには思えない身体能力でエニュプニオンに向かって走った


ルディアの髪が風で揺れる、ルディアの服が走ることで生まれる風とよって揺れる


ルディアは走りながらアルに伝えるために大声で声を響かす


「アルさん!!!!私が30秒持ちこたえます!!!そして絶対に止めて見せます!!!だから魔法を放って!!!」


ルディアは魔術を右手に貯めながらエニュプニオンに向かう


怖いけども地面を蹴った、痛いのはもう嫌だけど、走り続けた、死ぬのはもう嫌だけど、やるしかない!


ルディアは魔力を貯め魔術を放てる準備をする、最初から全力で行くために


怖いけども、勇気を持つために!!


「私を見やがれ!!!」


大きく大きく絶叫をしながらエニュプニオンに向けて魔術を放った


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