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[主人公たち!]  作者: 狼の野郎
前日譚 夢を見て空を見る少女 
34/109

夢を見て空を見る少女28

‥‥‥‥‥‥‥‥‥…‥‥


‥‥‥‥‥‥


‥‥


‥巻き戻らなかった


どうして?


何時まで経っても、何度も味わった治っていく感覚が来なかった


何で?…何が起こっていいるんでしょう?


ゆっくり、ゆっくり、恐る恐る目を開ける


私の目に情報が入ってくる


大量の光が目に入る、だがその光は私を避けながら通り抜けていっていた、いや目の前に誰かがいて光を防いでいた、だから光の柱が私を貫かなった


私の目の前に誰かがいた‥


私の目の前でローブがばさり、ばさりと揺れていた、ばさりばさりと揺れ動いているローブの音が耳に入ってきていた


茶色い髪の毛が光のレーザの威力によって輝かしく揺れていた、その髪は綺麗に揺れていた


それは見たことがある後ろ姿だった


オーローンさんでもないシャルルさんでもないツバメさんやヒイロさん、ソフィアさんでもルドさんでもない


”誰か”なんてすぐわかった、だけど彼女の後姿は私にはお伽噺に登場するような勇者の姿と重なって見えた


「アルさん?」


いるはずもない、来れるはずもない彼女の名前を呼んだ…


誰にも入ってこれない場所にアルさんがいた


「大丈夫だったか?」


声が返ってくる、そして顔だけこちらに向ける


右手で全てを無に帰すレーザを受け止めながら、その顔、アルの顔は余裕の表情をだった


「なんで…?」


「何でもかんでも、お前を助けに来たんだよ」


「どう‥‥や・‥‥って」


ルディアは泣くのを抑える、涙を強引に押さえつけた


「魔道具店の店主をしている私なんだぞ!不可能なことはなーいってな!」


可愛らしいウィンクを一つ向けてきた


「わけが分かり…ません‥‥よ」


だが我慢ができずにぽつり、ぽつりとゆっくりとルディアの目から涙がこぼれ落ちる


「何が起きていたのか流石に今回は分からないが‥‥これをぶっ放している奴がきっと、今回の諸々の元凶なんだよな、きっと」


「アル…さん…気を付け・‥‥」


言葉が上手く出なかった、涙で言葉が詰まった


「大丈夫だよ、ルディア、私は最強の魔法使いだから…任せておけ!」


私を落ち着かせるためなのかその言葉は優しかった、太陽のように暖かかった


壊れかけていた心が持ち直していく、心がゆっくりと暖かな物で埋まっていく


「あぁ‥‥あぁ‥‥あぁ」


ぼろぼろと目から涙が止めどなく出ていく


今まで擦り切れて、壊れそうになって、挫けそうになったけれども、それでも一人しかいなかったから、自分一人しかいなかったから、それを流したってなにも解決しないからと思って我慢していた涙というものが



アルの優しさによって溢れ出できた



ぼろぼろとぼろぼろと涙を流す、涙は頬を伝い、服へ、地面へとぽたりぽたりと止めどなく落ちていった


泣いている暇なんて無かった、泣いていたら死んでいたから


泣いている暇なんて無かった、目が見えなくなってしまうと死んでいたから


怖い感情、死にたくない感情、痛い感情、寂しい感情、死という恐怖の感情


その全てが今になって涙として溢れ出てきていた


アルは正面を向きレーザーを止めながら、ルディアが泣き止むのをただただ待った





ルディアが泣き止むまで時間は掛からなかった、ルディアは一つ落ち着くためにと「ふぅーーーー」長い息を吐く


泣いている訳には行きませんよね、アルさんが本当に強いのへ目に見えて分かりました、だけどこれは私が撒いた種です

私だけがぐずぐずと涙を流し続けていたら駄目ですね…


ルディアは涙を拭き、魔力を回し魔術を展開していく


未だに続いているレーザを防ぎながらアルは口を開く


「なんだちゃんと元気あるじゃないか」


「ありますよ、何時までもグダグダと泣いているわけには行きませんから」


「そりゃあ良かった…っとそろそろ」


今まで長い間、私たちを消し炭にしようとしていたレーザーが、”彼女”の攻撃は止んだ


「まーーったく!こんな程度かよ!!」


「あなた、誰‥」


”彼女”は興が削がれたように、先の興奮状態の声などなくなったように暗く、暗いように返事をした


だがそんなもの気にしない素振りでアルは話を続ける


「誰って聞かれちゃあ、自己紹介するしかないよな!そう私はっつぅ!!」


アルの言葉を待たずに全てを死に誘う無数の炎の球体が飛んできた、一つ一つの球体は一つの惑星と見間違えるほどの大きさを持っていた


それをアルは涼しい顔を保ちながら、焦る様子なんて見せずに一つの魔術を唱える


「アイギス!!」


アルは魔術を展開し、、前方、アルとルディアを覆うように一つの盾を作り出す、その盾は傷つくこともなく、全ての球体を防ぎ切る


盾に守られていない部分に目を向けるとそこには、炎の球体が着弾した地面は大きくクレーターが出来上がり、大きく大きく炎がメラメラと燃え上がっていた、その様子を見るだけで一発一発の威力を窺い知ることができた


「だーぁもぉ!お前自己紹介の途中で攻撃を仕掛けてくるなよ、あれだぞ、変身の中途と魔術の詠唱中のかっこいいシーンに対しての攻撃はご法度だぞ、まったく!その辺気を付けろよなー」


「いや、アルさん何言ってるんですか」


「どうやって入ってきた」


”彼女”が怒りをにじませながら、声に怒りを乗せながら聞いてくる


「どーやっても何も、歩いて、おーやってる?って言って扉開けただけだよ」


アルさんも真面目に答える気はないようだ


「てめぇ、真面目に答えろ」


「答えるわけないだろ、そもそもお前がちょっかい出さなければ私だって見逃したさ、だけどルディアを襲うわ、私とルドを襲うわ、で色々罪を重ねすぎ、ギルティだよ」


「・‥‥‥‥‥」


「ついでに魔法だか、魔術だか、能力だか知らないが私たちの戦闘を見ていただろ?まーったく見る分にはいいんだが手は出すなよ」


「だからどうした、私が何をしたってお前は私の事は止められない」


「お前、自分の事を頂点に近い位置にいるって思ってるのか?だったらその考え早々に捨てたほうがいいぜ、これはお姉さんからの忠告だぜ、感激しながら貰っとけ・‥‥‥‥っとそうだ忘れるところだった、お前名前あるか?」


「なんでそんなことを聞く」


「おいおい今答えないとお前、モブで終わるぞ?いいのか?」


同時にアルは魔力を開放する、普段抑えている門をこじ開け魔力を外へと垂れ流す、効率良く流れを良くするために、純度の高い魔力だけを扱うために、目の前の”彼女”を脅すために


「…!」


”彼女”とルディアは同時にたじろぐ


ルディアはアルから漏れ出た魔力を肌で感じ、目視し、顔が引きつる


アルの事が一瞬だが死神のように見えた…漏れ出ている魔力が人の域を優に超えていたからだ


私はその尋常じゃない魔力の量だけでぎょっとすると同時にここまでの人が一般人に紛れているものかと思った


その漏れている魔力だけでもアルの凄さが改めて認識させられる


私を含めオーローンさん、シャルルさん、私たちが戦ってきた奴ら、勇者や魔王などの肩書を持った者たちでも彼女、アルさんの足元に及ばないだろう


‥‥‥‥アルさんって一体何者なんですか?


「言わないのか?だったら始めるけども」


「‥‥私に対して区別する必要なんてないから名前なんてものはない、だがあいつはエニュプニオンって私の事を読んでいた」


「おお!かっこいい名前がしっかりとあるじゃないか、だったら私も自己紹介をしないとだな、そう!私は吸血鬼の国に住んでその国で魔道具屋を営んでいる天才最強魔法使いのアルストロメリアだぜ、あと数分の間だが、ま仲良くし酔うぜ、エニュプニオンさん?」


「大口を叩くな人間風情が、私はお前を殺した後にルディアで遊ぶんだよ!!」


「夢を語れるのはいいと思うんだが、うちのルディアを道具みたいに扱わないで欲しいな」


アルは魔力を回す、回して、回して、魔法を唱える準備を始めていた


もう二人に言葉は無かった、彼女とアルは二人対峙する


対峙していた二人の顔は対照的だった


アルはいつも通りに普段通りに楽しそうにこの場に佇んでいたが


エニュプニオンは今まで見たことが無かったくらいに険しい表情を浮かべていた、私を痛めつけて優越に浸っていた表情は今はもう見れらなかった


「さて始めようぜ?」


アルはにやりと笑った


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