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[主人公たち!]  作者: 狼の野郎
前日譚 夢を見て空を見る少女 
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夢を見て空を見る少女23

最初にルディアが動き出す、前に瞬時に黒い勇者は動き出していた、ルディアが後手に回った


「っち、来い鎖よ!!」


ルディアの呼び出しにすぐさま、残った腕の手が青白く幾何学模様に光りだす


鎖は何もない空中に出現して、ルディアを守る様に動き出した勇者を絡めとり、一歩も動けなくする


だが黒い勇者は決して一人ではない、無数にいる、勇者だけではない魔王もいる


ゴキブリのように、蟻のように、一人の勇者が動き出したのを皮切りに全ての影が動き出した


だったら!止めるまでです


「白い世界!!」


全てを凍らす魔術はルディアを中心として広がっていく、地面を伝い、全てを凍らすために音の速さで黒い影たちに迫る


パンと弾ける音が聞こえてきた


何・・を弾いた・・・何が・・起こった


斬られていた、切り伏せられていた、原理は分からないが今放ち黒い影たちに迫っていた魔術、「白い世界」が斬られた、魔術が不発に終わっていた


なんで、どうやって・・ですか・・・!!次を考えないと


驚愕に襲われている中で行動が止まったルディアを奴らは見逃さなかった、狼狽えたルディアに一撃を加えようと動き出していた


そう、常人を越した速さでルディアに迫る


ルディアは瞬時に次に打つべく手を考えるが、全てが遅い、次に取れる手なんて一つしかなかった


「緊急防壁!!!」


便利な、便利すぎる魔術を唱える、瞬時に魔力がルディアを守るためにルディアを覆う


がそんなものがあろうがなかろうが魔王を勇者は剣を振るってくる


ルディアと剣、斧の間には確かに緊急防御によって張られた障壁は一瞬だけ拮抗を見せる、だが一瞬だった、本の一瞬だった


その障壁は剣と斧に触れただけで、ガラスが砕け散る音と共に消し飛んだ


嘘ですよね・・


障壁が消し飛び斧と剣の直接の威力を味わう、お腹に二対の斬撃を食らい、高く、高く、空中に打ち上げれれた




「っぶ」


強引に飛ばされ感じる重力と先に斬られ、打ち上げられた痛みによって腹の中に入ってきたものが飛び出そうになる


緊急防壁によって威力は格段に落とされていたが、じわりじわりとお腹のあたりが赤く侵食していく、斬られていた、緊急防御を張った上から上回る攻撃力でルディアの身体が斬られた



ゴムボールのように上に打ち上げられたルディアを逃すほど勇者たちと魔王たちは甘くは無かった


一つの斧が弾丸の如く飛んでくる、一つの剣が一直線に飛んでくる


「っつ緊急防壁!!来い鎖!」


ルディアは空中で体制を整えながら魔術、能力を同時に展開する


鎖はルディアの目の前に分厚い壁として展開され、ルディアの落下を受け止めると同時に剣、斧を防ごうとした


だが剣、斧は鎖を易々と食い破った、緊急防御によって展開された障壁は最初に飛んできた斧と剣によって無残にガラスの音と共に砕け散った


鎖の空いた隙間から数多の黒い物が目に入った、太く太くそれは一つに見えたが、実際はそれは剣であり、斧であった


ルディアの眼前には、大量の、無数と言ってもいいほどの黒い剣と斧が目に映った


鎖は止まることを知らずに全て食い破られた


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あぁ


絶望のさなか、少しでも一縷の希望を掴み取るために自身に残っている莫大な魔力で緊急防壁を張り続ける


だが掠るだけで緊急防壁は吹き飛び、何回も、何回もガラスが飛び散る音が聞こえてきた


ぱりん、パキン、パリン、パリンと割れるたびに傷みが増えていく


その様子は正に雨だった、重力に逆らい上に飛んでいく黒い雨だった。剣が斧が無数に、無限にルディアに向かって規則性なんてものは無しに飛んで行った


暇を持て余した魔王や勇者が的あてゲームの要領で剣や斧を投げていた、一つ一つが弾丸、いや大砲の威力と速度で向かってきていた


顔にかすり、血が溢れ出る


残った腕にかすり、血が溢れ出る


腹を切り裂き、ギリギリのところで繋がっていた皮膚を引き裂き、腹の中身が空中でどろりと出てくる、長い長い、長いピンク色の棒状のものが自身のお腹から出てくるのが目に入った


血が溢れる


臓器が空気にさらされる


緊急防壁によって威力を殺した斧が当たる、バギと固いものが折れる音が響き渡る、骨が折れる、砕け散る


剣が目の前に迫り、避けられずに器用に目玉あたりを不意飛ばし、片耳も剣によって削がれる


血が溢れ出た


喉が切り裂かれる、血が溢れる


足に剣が突き刺ささり、突き破る、突き破られ足は身体と離れ離れに空中に飛んでいく


剣、斧の威力の余波で当たるごとにルディアの身体はくるりくるりと宙を転げ落ちながら回った


ルディアには途方もない時間に感じられたが終わりを迎える




ルディアは地獄から地面に向かってうつ伏せに自身の血液と共にぐちゃりと気色が悪い音とともに落下した


何処が痛いのかもう既に分からなかった、全身が痛かった、感覚がない場所からも痛かった、全身から血液が出ている


腕は辛うじて繋がっている、だが辛うじてだ、腕の肉は穴ぼこでありズタズタに肉がそぎ落とされている、ぎりぎりの所で皮が、文字通り皮が一枚繋がっているだけだった


その腕からももちろん血は溢れ出ていた


痛い・・・・・・・・痛いです・・・


足は片方は空中でどこかへ飛んで行った


貫かれた足からも止めどなく血が溢れだしていた


腹はうつ伏せのために臓器は辛うじて体内にしまわれている


だが長い、長い長い腸は地面にぷらんと自由自在に絵を描くように転がっていた


片目は吹き飛び、同時に耳すらも吹き飛び、片方の目は真っ黒であり、音すらも聞こえなくなっていた


身体は既に動かなかっただがそれでも身体を起こそうと奮起をする


動いて動いて、動いて!痛い痛い!痛い!


身体は動かなかった


脳で身体に動けと命令すらがどの部位の骨も砕け散り、臓器は血に塗れ、腕は使い物にならなく、残った足も腕同様ぎりぎりの所で繋がっているだけだった



動かせと脳が命令をするたびに身体が拒否をする、激痛が走り続ける


身体に残っていた血液が口からピシャリと溢れ出る


「っは」


喉は切り裂かれ、かすれた声しか出なかった


ルディアは既に気合で命を繋いでいるだけだった、身体の底にある心の底にある物だけで命を繋いでいた


・・・・・・・・・あ・・・・・あ・・・・・・あ・・あぁ



こつり、こつりと誰かが近付いていた


誰だ?なんて思わなかった


最後の気力を振り絞り、能力を発動させようとする


ぎりぎりに繋がっている腕が幾何学模様に青白く発光するが


能力が発動前に剣を振り下ろされた


お腹辺りが斬られた感覚に陥った



黒い勇者はなんの躊躇いもなく剣を降り下ろしていた、その剣は当たり前へにルディアの繋がっていた背中側の腹を切り裂いた


ルディアはルディアの上半身、下半身と二つに分かれた



視界が暗くなっていく、力が抜けていく


力を一つも入れられない、力が入らない


痛さという苦痛から解放されていく


眠気が襲ってくる、寒気が襲ってくる、ルディアは残った目をゆっくりとゆっくりと閉じる



閉じる前に声が聞こえてきた


いつの間にか憎い憎い”彼女”が近くにいた


「なんで勝手に死のうとしてるのよ?誰がそんなこと許した、まだ終わらないぞ」


彼女の声を皮切りに世界は修復していく、元通りに何事も無かったかのようにすべてが復元していく


それはルディアにも適応していく


全てがもとに戻っていく


千切れた腕は元の綺麗な腕に戻る、飛んで行った足はいつの間にか生えていた、両目を開ければ普段通りの視野が確保でき、耳も普段通りに音を拾えていた


血は全てがルディアの中に満たされ、臓器も元の位置、普段通りの位置に戻っていた


「ここは、私の世界、ここの世界の神様は私なんだよ?私の許可なく行っちゃ駄目でしょ。あはは」


彼女はあっけからんと言葉を放った


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