授業参観
日常回
授業参観
あるってよ
あまぐり
「はぁ、授業参観なんて小学生までだと思ってたな〜〜」
私は北条美琴。
ピチピチの高校一年生だ。 多分……
高1って、ピチピチだよね……?
そんなことより、今度授業参観がある。でも、
親の家は県境を2回くらい跨ぐところにあるし、どうしようか迷っていたところだ。
「お兄ちゃんに来てもらおうかな……?」
でも、兄だし……
あ、でも、授業参観に親じゃないとダメっていう決まりはあるのかな?
まぁ、まだ1週間あるし、先生に聞いてみようかな?
「今悩んでも仕方ないかぁ」
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「ただいま〜〜」
「あ、お兄ちゃんお帰り〜〜」
「美琴喜べ。兄ちゃんが1万円を持ってきたぞ」
「え…… お兄ちゃん何したの……?」
「え、なんでそんな犯罪者を見るような目をするんだ……?」
「いや、だって、イチマンエンは大金だよ⁉︎」
「ゴブリン10体討伐したら貰えた」
「あ、な〜んだ。そんなことか」
「俺を疑いすぎじゃね?」
「あ、そうそう。来週授業参観があるんだけど……」
無視すんな!
と言いたかったが、美琴が思いの外真剣な顔をしていたので、耳を傾ける。
「お兄ちゃんに来てもらえる?」
「え? 俺は良いけど…… 兄って授業参観に行くもんなの?」
「分かんない」
「う〜〜ん…… 先生に聞いてみたら? 『兄は授業参観に来れますか?』って。事情も説明して」
「やっぱそ〜なるよね」
「ま、結局はな」
「…… よし、ご飯作ろう」
「たまには俺が作ろうか?」
「いや、いい」
「何故⁉︎」
「この間のこと忘れたの?」
「? 俺なんかしたっけ?」
「野菜炒めを作ろうとして炭を作ったんだよ」
「ソンナコトアッタカナ〜〜?」
いや、違うんだ。
アレはコンロが悪いんだ。
火力が高すぎるんだ。
そんでフライパンも悪かった。
熱伝導率が高すぎるから、焦げたんだ。
「今日は白身魚のポワレでーす」
「何それうまそう」
「まぁ、言ってしまうとただのフライパン焼きだね」
「何だ、期待して損した……」
「! 作ってあげてるのにそんなこと言わない!」
「ごめんなさい」
「うむ、よかろう。ほれ、7千円。食費にあてる」
「食費って高いんだなぁ」
「私の学費の貯金分も入ってるからね」
「実際の食費はどんくらいなの?」
「5千円あれば十分」
「へ〜〜。…… お金、取られすぎ……⁉︎」
いや、フライパンは熱伝導率が低かったら不良品だよ⁉︎