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第七話 ルール

 

「すごく感謝されたね」

 

「めちゃくちゃ感謝されたな」

 

「南君も信じてもらえて良かったね」

 

「ただの放火魔だと思われていたとは……。勝手に召喚しといて……」

 

「火遊びしていた南君とそれを助けた僕って思われていたみたいだね」

 

「ふん。我が魔力を疑うとは……」

 

「でもいいの?宮廷魔術師?の誘い受けなくて」

 

「我の器は国に使われるほど小さくないわ」

 

「でも大きなお屋敷とメイドまで付けてくれるって言われた時、鼻の穴が大きくなっていたよ?」

 

「……そのようなもの、後からいくらでもついてくるであろう。今必要では無い」

 

「帰らなきゃいけないもんね」

 

「……ミミちゃんが待ってるからな」

 

「でも何かあった時には手を貸してあげるって優しいじゃない?」

 

「ふん。報酬が目当てなだけだ。旅をするのにも金が要るからな。それよりお前はいいのか?その、治癒術師として手厚く歓迎すると」

 

「だって南君は帰る手がかりを探しに行くでしょ?」

 

「ああ。だが……」

 

「南君が一人で旅をしたらすぐ死んじゃいそうだから。仕方なくついていくよ!」

 

「失礼だな純。だが……」

 

「なあに?」

 

「純は……この世界に居たいんじゃないのか?帰りたくないんじゃないのか?」

 

「うーん。帰れたとしても南君、またひとりぼっちになっちゃうじゃない?しょうがないから一緒にいてあげるよ」

 

「人のせいにするな!」

 

「……じゃあ僕は南君の居る世界を選ぶことにするよ」

 

「……」

 

「自分がそうしたいから。……これでいい?」

 

「……」

 

「これでいい?」

 

「……ああ」

 

「うん!今日の宿はどうしようか?」

 

「……昨日と同じでいいんじゃないか?」

 

「そうだね!」

 

「それにしても報酬無しと思いきや、結構な重さがあるぞ。この袋。今後利用される対価だろうが……」

 

「いくらくらいあるんだろうね?広げてみたいところだけど」

 

「とりあえず部屋を取ってからだな」

 

「うん!」

 

「よし着いた」

 

「昨日と同じ部屋でいいよね」

 

「ああ」

 

「はい。昨日と同じで。お願いします」

 

「空いていて良かった」

 

「ね!うーやっぱり階段キツイね」

 

「今日は昨日より体力を使ったからな」

 

「よいしょ。着いた!」

 

「二回目だが安心感がある」

 

「だね!慣れちゃったね!ねえ、報酬を広げてみようよ」

 

「う、うむ。お前のだけど俺がやっていいのか?」

 

「まだそんな事言ってるの?怒るよ?」

 

「う、すまん」

 

「このテーブルの上にドバーっとやっちゃおう!」

 

「よし」

 

「……」

 

「……」

 

「け、結構あるね?」

 

「金貨ばっかりだな……」

 

「数えてみよう」

 

「ああ」

 

「……」

 

「丁度100枚だな」

 

「うん。えっと、100万円くらいだと思ってもいいのかな?」

 

「……ああ。そう考えてもいいだろうな……」

 

「……お金持ちになっちゃったね」

 

「……ふははっはは!世界が我を歓迎している!」

 

「はいはい。そうだね。でもこれから何があるか分からないから大事に使わないと」

 

「う、うむ」

 

「明日は南の国の事を調べよう」

 

「そうだな」

 

「出発できるならしちゃおう」

 

「ああ。冒険の始まりだ」

 

「ふふふ。楽しみだね」

 

「とりあえず今日の夕食を考えよう」

 

「うん。街に出てみよう」

 

「酒が無い店にしよう……」

 

「何か言った?」

 

「いや……」

 

 ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

 

「この店はなんだろう?並んでるね」

 

「……この香り……まさか?!」

 

「ラーメンっぽいね?」

 

「我が胃袋を満たすのはこの店に決まった」

 

「はいはい。じゃあ並ぼう」

 

「外に書いてあるメニューも読めないし、写真も無いしよくわからないね」

 

「一番人気のやつを頼めばいいだろう。くそ。まだか。このスメル。腹が鳴る」

 

「興奮しすぎでしょ」

 

「この世界で我がソウルフードに出会えるとは!運命!」

 

「進んだよ南君」

 

「あと二人……!店内が見える!まさにラーメン。マイソウルフルラーメンヌードル!!」

 

「恥ずかしいから静かにしてよ南君……」

 

「よし来た。俺のターン!」

 

「カウンターなんだね」

 

「店主。我に一番人気の品を頼む。隣の彼にも。だ」

 

「すいません。ちょっと。はい。この人変なんです。すいません」

 

「ワクワクテカテカするな!純!」

 

「今日日聞かないね……。恥ずかしいから静かにしてよ?」

 

「……この瓶詰?!まさか高菜的な物じゃないか?!」

 

「だね。おいしそう。ラーメン来るまでちょっと食べちゃおうかな」

 

「馬鹿か!やめろ純!自殺行為だぞ!」

 

「え?」

 

「その取り皿を置くんだ。純。ラーメン的な物が来る前にその高菜的な物を食べてしまうと……ワールドイズエンド……だ」

 

「店員さんがそんな事無いって顔してるけど……」

 

「騙されるな。純。せっかく辿り着いた楽園から追い出されるぞ。タオルを巻いて腕を組んでないだけ威圧感は無いが、俺達は入店した時点で試されているんだ」

 

「ほんとすいません。食べたらすぐ帰るんで」

 

「お、着丼でござる」

 

「はいはい。ニンニン。わーおいしそー」

 

「まずはスープだ!純!」

 

「好きに食べればいいじゃない」

 

「おうふ!濃厚!コクがありコッテリかつあっさりで……」

 

「わけがわからないよもう……」

 

 ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

 

「……」

 

「テンションが上がるのはいいけど、迷惑はかけちゃダメだよ」

 

「……」

 

「異世界のお店で出禁って……」

 

「……」

 

「でも伏せ丼は無いよ。南君」

 

「すいません……」

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