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38. 混沌

ここまでお読みいただきありがとうございます。

ブックマーク登録ありがとうございます。

初評価ありがとうございます!何事かと、三度見しました。

 リアベール殿下に、またもや勝手に握られた手に逆上し、わたくしはついに殿下の手を振り払った。

ああ、この前のはわたくしがやったわけではないので、わたくし(キャサリン)としては初めてやったのよ。


不敬ついでに、そのまま振り返ってお父様に訴える。


「もう我慢できません!お父様!わたくし、殿下の婚約者候補を降ろさせていただきます!だめだとおっしゃるのでしたら、牢屋でも修道院へでも行きますわ!」


「キャサリン?キャサリンかい?」


「ええ、わたくしはキャサリンですわ。只今もどりました」


「キャサリン!よかった、心配していたんだ。体調に悪いところはないかい?

はっ!キティは?キャロラインは? キャサリン、キャロラインという人がそこにいないか?」


まぶたを腫らしたお父様が、わたくしの両肩を掴んでオロオロしている。


わたくしの体調より、お父様はご自分の心配をなさった方がよろしいのでは?すごいお顔ですよ。

ああ、お母様~、遅くなりまして申し訳ございません。


「キャロライン、叔母様ですわね。話はずっと聞こえていましたから事態は把握しております。今、呼びかけますわ。

叔母様!・・・あら?キャロライン叔母様?・・・声がしないわ」


実はわたくし、今までも戻ろうと思えば戻れたのでしょうけれど、いろいろと面倒だったので引き籠っていましたの。

今はちょっと、リアベール殿下に対する怒りで出てきてしまいましたわ。

せっかく叔母様の事も小説を読んでいるようで楽し・・・余計な口を挟まずに見守っていましたのに。


あ、もしかして、叔母様も引き籠られたいのですか?

ルディベール国王陛下の件、面倒なことになってきましたものねぇ。

そういえば先ほどは、わたくし(キャサリン)のふりをしようとなさいましたでしょう?

絶対に無理があったと思いますわ。

特にお母様には半目で見られたことでしょうね。

まあ少し、どんな演技なのか見たかった気もしますけれど。


「そんな・・・まさか逝ってしまったというのか?キャロライン?キャロライン!」


お・と・う・さ・ま・揺・さ・ぶ・ら・な・い・で・く・だ・さ・い・ま・しー


「リアベールがなぜここに? アルベルト、どういうことだ?キャロラインは?本当にキャロラインはいるのか?」

ルディベール国王陛下がカートレット先生に問うていらっしゃる。


「ルディベール、キャロラインはキャサリン譲に憑依していたんだ。呼び戻せ!まだ間に合うかもしれん、呼び掛けるんだ!」

カートレット先生、陛下にご命令なさっていますよ、大丈夫ですか?


「アンドレ、これはどういうことだ?キャサリンは、私が他の令嬢の話をしたから機嫌が悪くなったとお前が言うから、ここまで謝りに来たというのに。

ふたりっきりで湖畔で過ごせるという話は嘘だったのか?婚約者候補を降りるとまで言って、ますます怒っているではないか!」

リアベール殿下が側近に詰め寄っていた。


殿下の脇に控えている従者と陛下の従者が話しているのを聞くと、どうやらアンドレというリアベール殿下の側近が、陛下が急にリュッフェル湖へ行くことになって慌てている陛下の従者から、わたくし達(モンドリエ家)も湖へ行くことを知り、殿下を唆したらしい。

第一王子が自由すぎやしませんか?


お父様は上を見上げ、ふらふらと歩き回られながら、叔母様に呼び掛けている。

いいかげん、倒れてしまいますよ。お母様、お父様を止めてくださいな!


叔母様?キャロライン叔母様、せめてわたくしにはお返事をしてくださ~い!

引き籠りたいのでしたら皆には内緒にいたしますよ。

まだわたくしの体をお貸ししますわ。

わたくしもちゃんとお話をしてみたいですし。

もし、もう逝かれるのでしたら、せめて皆様にお別れを言ってくださいまし。

このままではお父様がめんどくさいですわ。



それぞれがわけも分からずに騒いでいて、場が混沌としているのを眺めていたら、いきなり二の腕を掴まれた。





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