2節
主人公が徴兵に赴く話です。
幼馴染が出て来ますが、主人公は親バカですが同い年です。(矛盾)
〜太陽が地平線に沈みかけている頃に〜
王都の入り口の一つであるとても巨大な東門には王国騎士団の兵士が警備をしており、門には人が入れないように大きな鉄格子で閉まっていた。
石畳の道をカポッカポッと音をさせて門の前に馬車が着くと、兵士が大きは声で声をあげた。
「何者だ‼︎」
クポリはその兵士に負けないような大声で返した。
「食品の配送だ‼︎」
そしてモトトに目配せして小さく言った。
「お前も答えな、大声でな」
「あっ、はい!」
モトトは馬車から顔を出してぎこちなく大声で答えた。
「徴兵で来ました‼︎東の方の山の麓にある村の出です‼︎」
「了解した‼︎徴兵の者は馬車から降りてこい‼︎」
「はっ、はいっ‼︎」
モトトが馬車から飛び降りるとクポリが声をかけた。
「短い間だったが、一緒に居れて楽しかったぜ、ありがとな。また会えたら、そん時は旨いもんでも食わしてやるよ」
「こちらこそ、ありがとうございました。お陰で予定より早く着けましたし、感謝しきれないですよ。また会う時は、もっとお話ししましょうね」
クポリが差し出した手にモトトも手を差し出し、グッと握手してからモトトはその場を離れ、兵士の元へ行った。
「徴兵の者はこっちだ、ついてこいよ」
兵士の1人がモトトにそう言うと、手招きをして進み出した、モトトはその後に続く。すると兵士は門右横の城壁にある扉を指さした。
「この扉を開けて右手に曲がって真っ直ぐ進め。右以外の方向に行くと迷子になるからな、気をつけろよ。」
「わかりました。では、失礼します。ありがとうございました!」
モトトはお礼を言って頭をペコリとしっかり下げて兵士に別れを告げると、外壁にある扉を開け、すぐの十字路を右手に曲がり、真っ直ぐ進むとある階段登ると城壁の上へと登る事ができた。そこから見える王都の景色は夕焼けに染まっており、和やかで賑やかな印象を受けた。
「すっごくデカいな、この街。村の何十倍だろう?」
モトトはしばらく止まって王都の景色を堪能すると再び歩みを進め出した。
しばらく歩いていると城壁に接する塔に着くとドアがギィと音を上げながら開く、すると中から腰ほどまでに伸びた真紅の赤髪と深海のように深く浅瀬の海のような煌めきの青色の瞳をした美少女が現れた。
「アリーナっ‼︎久しぶりだな!」
アリーナはモトトの嬉しそうな表情に笑みを溢した
「落ち着けよモトト、って!なんで泣いてんだお前!」
「アリーナっ、大きくなってべっぴんさんになって…立派になったなぁっ、俺、こんな立派なアリーナ見れて嬉しいぉ」
「相変わらずお前の物事を言う目線おかしいぞ。モトトは私と同い年なのに相変わらず私を子供扱いする」
アリーナはムゥ〜としているが久々の姿を見たモトトは目をウルウルと滲ませながらアリーナの頭をポンポンと撫でた。
「昔はあんな小さがったのに、もうこんな大きくなって…」
「会えなかったのは2年間だけだろ」
「そうかぁ、もう2年かぁ」
痺れを切らしたのかアリーナはモトトの頭をパコンと叩くとモトトの腕をガシッと掴んだ
「とにかく、寄宿舎に案内してやる。部屋に荷物をおいたら、すぐに出てこいよ。モトトの事を団長に紹介したいんだ!」
「ええっ!団長⁈王国騎士団団長⁈」
「そうだ、団長はいい人なんだ、モトトの凄さもわかってくれるさ!」
「いやいや!俺そんなすごくないって!」
「嘘つけ、《全属性使い》に《上級剣術》のスキルがすごくない訳ないだろ!」
「そ、それは小さな時のスキルで、も、もうなくなって」
「一度取得したスキルがなくなるなんて事あるか、ふざけてないでちゃんとしろ!」
「あっ、ちょ、アリーナっ!強い強い!力強いー!」
モトトがキャイギャイ言ってもアリーナはモトトをグイグイグイと引っ張っていく
「そもそもそんな簡単に団長に会えるわけ」
「会えるぞ、私は副団長だからな」
「そうだったね!手紙で教えてくれたもんね!王都じゃアリーナは有名人だってきいた〜!」
塔のグルグルとした螺旋階段を下り、城壁の中に入るとそのまま右に進んだ。もはやモトトは服の襟を掴まれながら引き摺られていた。
「アリーナ…首がちょっと締まるよ」
「抵抗したモトトが悪い」
「反論できない…そうだ、爺ちゃんもみんなも元気だよ。ヒスリーさんにも伝えないとね。」
「…そうだな。ただ兄さんは少し遠くにいるから時間ができたら伝えに行こう」
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