徴兵へと
主人公がほのぼのとした村から出て、徴兵に赴く話です。
子ども達可愛い。
名前のない山を降りて村の広場に向かうと、仕事中の大人を除いてみんな待っていてくれた。
「モトト、帰って来たか。」
「うん、爺ちゃん。」
この村で一番の長者である爺ちゃんは、みんなの爺ちゃんで、みんな爺ちゃんが大好きだ。もちろん俺も。
「お前は小さい頃から儂とヒスリーの授業をすっぽかして、ようあの山に篭っておったが、その小さい子どもが、こんなにも大きくなるとはなぁ。時が流れるのは本当に早いのぉ」
「本当だよ爺ちゃん。俺はともかく、みんなどんどんデカくなってくんだからいつ身長を抜かれるかってヒヤヒヤするよ」
「お主もだぞ」
「俺自身の事はよくわかんないな」
そんなたわいもない話をして笑っていると他の小さなみんなが寄って来た。
「モト兄、やっぱ行っちまうのか?」
「モト兄ちゃんともう会えないの?」
「モト兄さんとまだ一緒にいたですよ!」
「モトにいに、もっとここにいてよ〜」
「モトはここにいろよぉ〜」
「大丈夫だ。モトトお兄ちゃんとはまた会える。王都にいるのは4年間だけだ。大丈夫、心配しないで、安心していいよ。」
村にいる5人の俺より年下の子たち
「ラト、リナ、メル、アレ、ロイ、お兄ちゃんはお前達の事、ちょっとも忘れてやらないから、お前達も忘れないで待っててくれ。必ずまた会える。」
みんなを抱き寄せて頭を撫でれば泣きじゃくるけれど、しっかりと頷いてくれた。そっとみんなと離れる。
「じゃあ、もう行くな。みんなをよろしく頼みます。爺ちゃん。」
少しの着替えと小遣い、パンとジャムの入った鞄を持つ。
「ああ、ヒスリーとアリーナにワシらは元気だと伝えててくれ」
「うん。………行ってきます!」
駆け出して手を振りながら笑顔で村を後にする。年甲斐もなく泣きそうになるな、ちょっぴり恥ずかしいけど。
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