2節
前回の回想の続きです。規格外の魔力に振り回されるお話です。大怪我してます頑張れ主人公。
初めて魔法について知ったのは7歳の時。
同い年で幼馴染み(村の子どもは皆幼馴染だけれども)のアリーナと一緒に村一番の長者である爺ちゃんとアリーナのお兄さんのヒスリーさんから魔法についてと《火属性》と《水属性》と《風属性》の下級魔法、それからステータスについて教わった。
魔法は誰にも生まれつき備わっている魔力をコントールして使うもので、魔法には数多くの属性があり、適性はそれぞれ異なる。
ステータスとは自身の能力を総括して表すもの
内容は
体力(40で30分くらいなら走って鬼ごっこができる)
攻撃力(言わば筋力)(攻撃力30で斧を使って薪割りができる)
魔力(魔法を使う為のエネルギー)
防御力(肌の硬さのようなもの)(人間の平均値は10程度)
速さ(走りや体のスピード)の数値
それから職業(俺達のような子どもは「無し」となる)
さらにスキル(英検2級みたいなできる事が確約されたもの)がある。
ステータスは魔力と共に備わっている《ステータスチェック》というスキルを使う(自身の口から言葉として発する)事で自分だけの目に見えて、自身のステータスを確認する事ができる。
そんな素敵な魔法やらステータスやら、沢山の事を教えてもらった日。俺は俺自身のステータスを確認して度肝抜かれた。何度試してもそのステータスは嘘でした♪なんて事が起きてはくれなかった。
その時の俺のステータスはこうなっていた。
ステータス
体力40 攻撃力30 防御力9 魔力9999 速さ50
職業
勇者
スキル
《全属性使い》《上級剣術》《ステータスチェック》
これにより俺はこのスライムすらいない世界で「勇者」として生まれつき、まさかの魔力9999という規格外過ぎてもはやチートの魔力を手にしていた事が判明したのだ。
このままでは今までの平穏な暮らしが将来的になくなってしまう可能性の肥大化に対抗して、俺のこのチート級魔力のコントールに乗り出した。
このチート級魔力には本当に苦労させられた。村の近くにある山で試しにホへ〜と《火属性》の下級魔法 "ファイヤーボール" を使って見たところ、大岩ぐらいの大きさにも膨れ上がり、木々を燃やしていった。
山火事を起こした俺は、村に影響が出るかもしれないと焦り《水属性》の下級魔法 "ウォーターポンプ" を使ってしまったのだ。木に燃え移った火は消す事ができたが、水は湖でも作るのかという程に放たれ、その勢いでポーンと俺が吹き飛ぶと同時に ゴゴゴゴゴ と音が聞こえて地面がずり落ちていった。土砂崩れだ。
土砂に呑まれそうになった俺は《風属性》の下級魔法 "ウィングカッター" を下に向かって放てば助かるのではと考えて使い、山全体を見下ろせる高さまで空中に放り出された。
もちろんそんな高さから身を守る術なんてない俺はただただ落下していく事しかできなかった。
木々の枝や幹に当たって傷だらけになりながらも池に落ちたので命はあったが、両腕と左脚、肋骨4本の骨折をした。いろんな意味で忘れられない思い出だ。
その後、なんとか村の大人が助けに来てくれて助かった、大人には土砂崩れに巻き込まれたとちょっと無理な嘘をついた。
ヒスリーさんやアリーナには泣きながら怒られたので本気で反省したけれど、何度か同じ事が続いたのは仕方がなかったと思う…けど悪かった。
そんな危険なチート級魔力対策は地道にコツコツ頑張ってやる事が大切で、とっても集中して魔力の放出量を抑えてやらなきゃいけない。何度失敗して木々が燃えても、地滑りが起きても、吹き飛ばされも、制御出来なきゃもっともっと大変な事が起こる!そう自分に自己暗示して5年間、必死というかもう死を覚悟して訓練し続けた。
その結果、ファイヤーボールはみんなと同じサッカーボールくらいの大きさになったし、ウォーターポンプは家のバスタブいっぱいくらいの量になり、ウィングカッターは俺自身が吹き飛ばされる事も木が吹き飛ばされる事もなくなった。できた時には嬉しすぎて1分程ぴょんぴょんと飛び回った。
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