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それでも竜は・・・ ~幻想世界の就業日誌~  作者: 富田ホッケ
第一章 黄金の竜は、かく語りき(コガネノリュウハ、カクカタリキ)
8/23

1-4

 ・・・ピピピッ、ピピピッ、ピピピッ・・・


 目覚まし時計の快活なアラームで、いつものように目を覚ます。身体を起こして両腕を広げ、大きく()()をする。ベッドの脇に(しつら)えたナイトテーブルに置かれたミネラルウォーターを手に取り、濃紺のカーテンを開け朝日を浴びる。

 ルーティーンなんて大それたものではないが、毎日繰り返される日常の中で身についた、オレの寝起きの習慣だ。


「朝食はどうするか・・・」


 いつもなら疑問にも思わない朝の日課だが、今日は迷う。午前中の商談のために起床時間を1時間ほど早めたせいか、あまり食欲がわかない。少し迷ったが、今日は駅の近くのカフェで、トーストでも頼むか・・・

 『朝は和食派』のオレからすれば甚だ不本意だが、たまには『E』かも知れない。・・・ん、なぜ今『良い』が『E』になったのか・・・

 何とはなしに違和感を感じたが、それも熱いシャワーを浴び身支度を整えている間に、思考の端に追いやられた。


 -------------------------


「お早うございます。ゴヴニュ技研の住之江です。朝はやくに申し訳ありません。」


 そろそろ家を出ようとスーツの上着に手を掛けたとき、携帯電話の着信音が響いた。今日の商談先の担当者からだ。それにしても、相変わらずファンシーな企業名だ。ふつう知らんよなぁ?ケルト神話の工芸の神様なんて。せめて『ウカノミタマ技研』とか『ヘパイストス工業』とかだったら・・・変わらんか・・・


「いえいえ、お早うございます。どうかなさったんですか?」

「実は昨晩遅くに、身内に不幸がありまして・・・」

「ああ・・・それは・・・」

「一応、社内の他の者でも、ご対応はできると思いますが、取り急ぎご一報を、と。」


 ふむ、どうしたものか。確かに他の人間でも話はできるだろう。ただ今回の案件は、彼と二人で少しずつ進めてきたものだ。幸い進捗具合も良好で、近々に結論を出さなければならない程、切羽詰まったモノでもない。

 そう思案を巡らせたオレは、型どおりの弔意を表すと、商談の延期を申し出た。後日改めて連絡する旨を伝え、電話を切る。


 ・・・想定外に、今日の予定に空きが出来た。出社するには早すぎる。今から朝食の用意をしてもいいが、どうにも舌が『トーストとコーヒー』になってしまっている・・・


 まあいい。少し早いが、例のカフェに向かうとしよう。

 それにしても、さっきのは何だったんだろうか・・・『良い』が『E』・・・なんだその恥ずかしすぎる変換は・・・別段気にするような事でもないハズなのに、妙に気恥しい。

 そのうえ何故か『有給休暇を消化しようか』なんて考えが・・・何故だろう。仕事は順調だし精神的にも充実している。しかも、今朝は妙に体調が『E』気がする・・・あ、また・・・・・・


 ダメだ。とりあえず、家を出て、朝メシ食って、会社に行こう・・・


-------------------------


「あ、大隅さん。杉原係長、いる?」


 今日の予定が丸々飛んでしまったオレは、通常業務を早々に片付け『広報部』へと足を延ばした。この広報部、正式名称は『広告企画宣伝部』なんて仰々しい名前だが、実際には、そんなに大それたモノじゃない。一応『部』だから部長もいるが、人事部長が兼任している位だ。畑違いもいいとこだろ・・・

 さっき『大隅さん』に確認したのだって、挨拶みたいなモノだ。居るのは分かってるんだから。まあ、『社内で三指に入る』と評判の美人さんに声を掛けたかっただけ、ってのもあるけど。


「よぉヤマト、どしたぁ~」

「いや、ちょっと『コウタロウ』の仕事に興味があってね。」


 オレを見つけ、部屋の奥で気安く手を振るソイツの名は『杉原 光太郎』。今どきの、如何にも『デザイナーです』って感じとは真反対の、モサっとした髪。太い黒縁の丸メガネをかけた痩身の男だ。

 親父さんが『高村光太郎』に因んで付けた名前だそうだが、その名の通り、キッチリ芸術家肌の男に育ってしまったわけだ。体育会系のオレとは同期入社と云う以外、まるっきり接点がなさそうだが、妙に波長が合う、気のおけないヤツだ。


「営業部のエース様は、お暇なんですかねぇ~?」

「まあそう邪険にしなさんな。つぐみ庵の大判どら焼き、買ってきたから。」

「そいつは重畳重畳ぅ」

「ホント、現金なヤツだ。ああ、皆さんの分もあるんで、お茶にしませんか?」


『お前と違って、こっちは忙しいんだぞ』なんて言っても、顔が笑ってますよ、部長。大隅さんも、ニコニコしながらお茶淹れてくれたし。


 やっぱ、おやつは、みんなを幸せにしてくれるよね。


-------------------------


「それにしても、ヤマトが『この仕事』に興味があるなんて、珍しいこともあるもんだねぇ~」

「そんなコトないさ。業者さんに渡す営業資料なんかも『ここ』で作ってくれてるんだろ?ウチの部長も『他の部署の仕事もしっかり把握しとかないと、『E』営業マンになれないぞ!』ってのが口癖だからな。」


 言ってはみたものの、なんで今日に限って『ここ』に来てみようって気になったのか、イマイチ分からないんだけど。てか、また『E』・・・なんなの?マジで?


「まあ、ゆっくりしていけよぉ。どうせお前のことだから、今日の仕事は片付いてるんだろぅ~」


 そう言って、光太郎が椅子をすすめてくれる。やっぱお前は『E』ヤツだよ、コウタロー。


 みんなの仕事の邪魔にならないよう隅のほうで見学させてもらいながら、時々疑問に思うところなんかを質問させてもらう。みんな忙しいだろうに、オレの話をしっかり聞いてくれた。やっぱり『甘味』の効果は絶大だな。イヤイヤ、そこは、みんな『E』ヒト、だろ!


 ・・・・・・もう『E』はイイよ。『E』は・・・・・・


 その日から数日、オレは『広告企画宣伝部』に何度も足を運んだ。今まで知らなかったけど、やっぱ色々、考えてんだな~。オレが業者にバラまいてるパンフレット一つをとっても『地域性』とか『業種ごとの特性』だとか・・・広告打つタイミングとか『配色』があ~だ『文字の視認性』がこ~だとか。


-------------------------


 いや~、色々勉強になります。ありがとう『広告企画宣伝』のみんな!『名前が仰々しい』とか『大それたモノじゃない』とか言ってごめんね!!!


 確かに勉強になりました。凄く為になりました。でも、やっぱり分からない。本当に、サッパリ分からない・・・



 何故、オレは、『ここ』に来たのか・・・ナゼ、こんなにも、『E』なのか・・・・・・

 何の気なしに、つらつらと書いてみてますが、一応小説っぽくまとまったら『E』な~なんて思ってます。

 そして、何の気なしに『小説情報』ってやつを見てみたら・・・

 あ~~~!!!なんか評価みたいなやつが付いてる~~~!!!ゴイゴイスーーーー!!!!!!

 嬉しいやら気恥ずかしいやら・・・やっぱ嬉すぃぃぃいいい!!!

 

 つたない文章で恐縮ですが、何とかカタチになるように頑張ります!!!

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