従兄襲来04
アーノルドの進言に興味を引かれたらしく、お祖父様の頃からある書斎に行く事にしたスティーブ。
良かった、これでレッスンを邪魔されずに済む。
(…なんて思ってしまう私は、大人げないのかしら)
いくらスティーブが気に食わないにしろ、此処まで敵意を剥き出しにしていて良いのかとも思えてくる。
「お嬢様、ダンスの先生がお見えになりました」
アンリに呼ばれ付いていくと、先生と話しているスティーブの姿があるではないか。アンリの笑顔が固まり、アーノルドは申し訳なさそうな顔を此方に向けている。
「アリス、先生の許可を貰ったから、俺も行く事にしたよ。それにしても、先生がアリスのダンスの先生だったとは思いもしませんでした」
話の発端から推測すると、この先生はスティーブにも教えていたとわかる。
「アリス様のお父様が、スティーブ様のお父様の弟であられるとは伺っておりました。ですが、此方のお屋敷でスティーブ様とお会いするとは。私も思いませんでしたよ」
「先生に教えて貰う期間が短かったからですね。ほら、アリス。行くぞ」
(勝手に話を進めてるんじゃないわよ!私の意見は無視ですか、そうですか)
部屋に着くと、先生は閃いたと言わんばかりの顔でとんでもない事を言ってきた。
「ワルツを一曲、スティーブ様と踊ってみては如何でしょう?私と踊るのも良いですが、折角ですので」
(要らんお世話だわ、先生!)
内心荒ぶってきた私は、気持ちを落ち着けつつやんわりと返す。
「先生の仰っていらっしゃる事もわかりますが、なにぶん始めたばかりで。人と踊れるほど上達しておりません。兄様と踊るのはまたの機会にでも」
先生以外と踊るのは構わない。
うん、全然良いよ。
私もそれなりに踊れるようにはなったからね、練習した甲斐があったから。
はっきりと踊りたくないとは言わないで、遠回しに断ってみる。
先生はそうですか…と渋々納得してくれた。
対するスティーブは少し笑い、私を見て肩を竦めた。
「上達する為に、俺と踊るんだよ。わかってないな、アリスは」
(わかるわよ。わかってるからこそ、遠回しに断ってるのよ!そっちこそわかってないじゃない!)
先生はスティーブの肩を持ち、最終的には私の方が折れると言う事態に。
…えええ、このままスティーブと踊るなんて。
内心でずっと毒を吐き続ける私を知ってか知らずでか。
ニコニコと喰えない笑顔で私を見つめるスティーブ。
…殴り飛ばしたいわ。




