表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
両親は悪役貴族、娘の私は悪役令嬢…よね?  作者: 葦原 さくら
プロローグ
3/41

五歳の誕生日03

ルーイに連れられ、庭にやって来た。

庭師が整えてくれているバラの園は、なんと言っても私のお気に入り。

暇さえあれば、東屋に来てお茶をするのが日課になりつつあるくらいだから。


「ルーイは、私のお気に入りの場所を知ってたのね」

「なにかある度に、東屋ここ此処に来ていたからな。嫌でも覚えるさ。…親戚に会うのが嫌なのか?」


ルーイの言い方は、少し違う気がする。

嫌ではない。

寧ろ、叔父様や叔母様は大好きだから。

それに、他の従兄弟たちも来るから、会いたいと思っているくらい。

親戚のお家に行く事を憂鬱と思ってしまうのは、ある従兄が原因になるから。

父の兄である叔父様の息子、名前をスティーブと言うのだけど。

私より年上で、確かルーイと同い年だったと思う。

私はどうも、彼が苦手であるみたい。

なんて言えば良いのか…、笑顔に裏があると言うのは大袈裟かもしれないけれど。

当時、あの貼り付けたような笑顔をする十歳に、違和感しか感じなくて。

違和感と言うよりは、悪寒の方が近いかもしれない。


「何故そんな風に思ったのかは、私でもわからないんだけどね」

「悪寒を感じるなんて、よっぽどじゃねぇか。…俺も着いてくか?」


ルーイが付いてこれば、あまり構われないとは思うけど。

親戚の集まりに、執事の子供を連れていく訳にはいかなくて。

気持ちだけ貰っておく事にしておいた。はてさて。

二日しかないとは言え、今更ぐだぐだと言っていても仕方ない。

叔父様たちの機嫌を取る為に、もう少しマナーを勉強しなくちゃ。

ルーイも口調が戻ってるのに漸く気付いたのか、咳払いして口調を丁寧なものに直す。


「お嬢様、俺が一人前の執事になったら、使ってくれますか?」

「勿論、ルーイを私専属の執事に選ぶわ。…だから、早く一人前になってちょうだい。貴方が一人前になれば、私も立派な令嬢になってみせるから」


(勿論、悪名の方も轟かせてみせるわ!お父様みたいに!)


ルーイも執事になる為の作法等をじいややオースティンに聞いて、日々努力しているそうだから。

ルーイに負けてはいられない。

スティーブにも負けたくない!

勝負事をしている訳ではないけれど。


「じゃあ、ルーイ。二人で頑張ろうね!」

「ちゃんと覚えるんですよ?()()()お嬢様」


(っ!そっちで呼ばれるとは思わなかったわ…)


笑顔で頷き返し、お互いの顔を見合わせ、笑い合う。

ずっと、こんな穏やかな日々が続けば良いのに。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ