八話
ようやく街につきます
あれから更に一時間ほど森を歩くと、ようやく森の出口が見えてきた。森を出るとそこは広い草原になっていて少し先に街の明かりが夜の空を明るく照らしていた。
「ようやく森を抜けられたわ!」
「そうね、帰りも魔物と遭遇しなかったのはよかったわ~」
セシリアとルナマリアは無事に森を抜けられたことに安堵しているようだ。
(ようやく街につけるのか、しかし、ここまで空を飛んだり森を2時間ほどの歩いたがまったく疲れてない、向こうの世界ならバテて動けないだろうな。)
俺はアイリスの体の凄さに驚いていると、セシリアが呼び掛けてきた。
「さぁ、行きましょうか。多分あと一時間ほどで城門が完全に閉まってしまいます。そうなると、早朝の5時まで城門は開きませんので野宿になってしまいます。」
「そうよ!速く行きましょ!ギルドにも報告しないといけないことがあるし。」
「わかった、なら急ぐとしよう。」
街の前で野宿なんてしたくはないし、できれば布団で寝たい。
と俺とセシリア、ルナマリアは街まで走ることにした。
~防衛都市 ライラック南外壁城門前~
しばらく走ること数分、俺達は街の門前に到着した。
門はまだ開いており、外からの仕事帰りなのか結構な人が門前にいた。そこには検問をしているのか兵士が帰ってくる人に話しをしている。俺はセシリアに検問についてたずねる。
「……あれは、検問のようなものか?」
「えぇ、あれは街に入る人の中に怪しい人物がいないかを確認してるの、たまに他の街で悪いことをした人がこの辺境の街に流れてくることがあってね、だから一応の確認で検問をしてるの。」
「……なるほど、何か身分を証明できるものがないと中に入れないのではないか?」
俺はこの世界に来て身分を証明できる物なんて持っていない、
その事に気づいて街に入れないのではと考えてると、ルナマリアが答えてくれた。
「大丈夫よ、検問している人に相手の嘘を看破できるスキルを持った教会の神官がいるから嘘をついてなければ入れるわ。」
「……感謝する。」
「アイリスって本当何もしならいわね。今までどこで暮らしてたの」
ルナマリアは何もしらない俺に呆れてるようだ、しかしどこで暮らしていたかは答えたられない、言ったところで信じはしないだろう。
「さっきも言ったが、私は人混みが苦手なのでほとんどは森や山の洞窟で暮らしていた。」
「なによそれ!?人混みが苦手なだけで山暮らしって、どんだけ苦手なのよ。」
「もう~!ルーちゃん、アイリス、速く街に入りましょ!宿もとらないといけないんだし。」
ルナマリアと話しをしてるとセシリアが速く街に入ろうと急かしてくる。
「そうね、アイリスの常識の無さについて考えてるのはあとにしましょ」
「……………」
なぜか可哀想な人を見る目こちらを見るルナマリアは放っておいて
早速検問をしてる城門に行くとしよう。
~城門検問所~
検問所に着くとそこは更に人がおり、俺はローブのフードを更に深く被る。セシリアとルナマリアもローブのフードをかぶり直し
検問をしている兵士に話しかける。
「すいません。私達クエストからの帰ってきたのですけど入っても良いですか?」
「!こ、これはセシリアさん、ルナマリアさん!お帰りなさい!どうぞ入っても構いません。」
セシリアがたずねると兵士はセシリアを知っているのか、その佇まいをただしこちらに対して入る許可をくれるが、
「!セシリアさん、そちらの方は?」
当然俺のことを聞いてくる、確かに全身を漆黒のローブで覆いフードを深く被っている姿は不審者だろう。
「この人は私達を助けてくれた人で街まで案内を頼まれたの。」
とセシリアが俺のことを説明してくれる。
「セシリアさんとルナマリアさんを助けた!?って言うことは名のある冒険者さんでしたか!?」
「……いやたまたま苦戦していたところを加勢しただけだ、
それに冒険者ではない。」
「はぁ、はぁ。」
「なにいってるのよ!あれは、ゴモ!」
あまり目立ちたくないため兵士に対してごまかしてると、
ルナマリアが余計なことを言おうとしていたので、
こっそりとゲート・オブ・バビロンから取り出したアイテムの
『妖精の雫』と言う飴玉をルナマリアの口に弾き入れた。
『妖精の雫』
レア度 B+
妖精の涙を集めて煮込み100年以上経過すると固形となる
それが妖精の雫である、その甘さは高級メロンに匹敵する甘さでそれでいて口当たりは優しく口に甘さが残らない。このアイテムは妖精と仲良くなるとたまにくれるが、まず妖精と出会う確率はとても低く更にくれるまで仲良くなるのは更に難しい。
このアイテムはゲームの世界である妖精を助けた時にもらった物だ、
助けて以降その妖精はよくおれのもとに遊びに来ていたので蔵の中には結構な量がある。ちなみに遊びきては俺の胸に挟まれるのが好きな幼女妖精だった。
(あの妖精今でも誰かの胸にいたずらしてるのかなぁー)
俺が妖精のことを考えてると、隣からルナマリアの声が
「なによこれ!とっっっっっても甘くておいし~!」
「……それは妖精の雫という飴だ。」
「飴?それって王国の王都で貴族がよく食べてるって聞くけど。」
「さぁな、これは私の友がよくくれたものだ、まだあるから欲しいのならやるが?」
「!ならちょうだい!こんなに甘いの食べたの初めて!」
(たった飴玉一つでここまで喜ばれるとは、だがこれで話しは反らせたな)
ルナマリアが喜んでいるのを眺めながら考えてると、兵士がある神官の男性を連れてきた。
「すいませんが、そこの黒いローブの人、例え貴方がセシリアさんとルナマリアさんの知り合いだとしても身分を証す物がないひとをハイそうですかと通すのは仕事上無理なので、こちらの質問に答えてください。」
「………あぁ、別に構わんよ」
「まず貴方のお名前は?」
「アイリス」
「ご職業は?」
「ついてない」
「でわ、貴方は他の街で何か悪事をしましたか?」
「していない」
「はい、ありがとございました。街に入っても良いですよ。」
「………もういいのか?」
「えぇ、これだけです。貴方が嘘をついていないのはこちらの神官がしっかり見ていたので、もし嘘をついていれば分かります。」
「そうか」
(もし嘘をついていたら後ろに隠れている警備兵が捕らえるというわけか)
俺は門につけられてる隠し扉に兵士がいるのを察知していた。
通っても良いと言われ通ろうとすると、兵士が話しかけてきた。
「もし身分証明できるものが無いのでしたら。ギルドに登録すると
ギルドカードが発行されるのでそれが身分証明に使えますよ。」
「……情報感謝する。」
俺は兵士に感謝して、街に入った。
幼女妖精は後々に登場させるかもしれません。