十八話
ネタは考えてあるのに筆が進まん
アイリスがオークの死骸を処理するために平原に新しく湖ができるほどのクレーターを作ってから約二時間、街の近くに戻って来る頃には日は傾きそろそろ夕暮れになろうとしていた。
「ふむ、初めてのクエストにしては良い成果を出せたと思うが、ランクを上げるにはまだまだ依頼をこなさねばならんか……」
調査(?)を終えて今回のクエストを振り返り、今回のような依頼をあといくつもこなさなければセシリア達と同じランクまでたどり着けないのかと考えながら歩いていると、街の方からなにやら普段よりも騒がし音がまだ離れた場所にいるアイリスのもとまで聞こえてきた。
「ん、街でなにかあったのか?……まぁ、着けばわかることだな」
アイリスが街の城門に近づくと城門は固く閉ざされ街の守備兵たちがあわただしく動き回っているようで、守備兵たちは皆深刻な表情をしており今にもなにかが襲撃してくるような雰囲気だった。
「門が閉ざされているのか……これでは中に入れんな、さてどうするか……」
「……ん?そこの者!そこでなにをしている!」
閉ざされた門の前でどうするか考えていると、城壁の上にいた守備兵の一人が門の前にいるアイリスに気づいたのかこちらを見下ろし声をかけてきた。
「私は、冒険者として依頼をこなしてきた帰りだ。」
「なに!冒険者か、少し待ていてくれ!」
守備兵に今の状況を伝えると守備兵はこちらに待つように指示し城壁から頭を引っ込めどこかへと消える。
守備兵の指示通り少し待っていると城門に取り付けられた出入り用の小さな扉が開き先ほど上にいた守備兵ともう二人別の守備兵がでてくる。三人の守備兵たちはよく訓練されているのか動きに無駄がなく一人がこちらをもう一人は周囲を警戒し最後の一人はいつでも中に戻れる位置におり何かあればすぐさま中に戻り扉を閉ざし中に侵入されるのを防げる用になっているようだ。
「(なにやら警戒されているようだが)何かあったのか、なにやら騒々しい様だが……」
「あぁ……すまないな、実は二時間ほど前に北の平原で巨大な魔力反応と共に大地を揺らす程の爆発があったようでな、原因が判るま街は警戒体制でいるわけだ。」
どうやらオークの死骸を消し飛ばした天撃は威力が強すぎたようで、街にまで余波が届て守備兵があわただしく警戒する事態になったみたいだ。
「(ゲームの頃はフィールドにどのような魔法を撃ち込んでも街などに被害がでるなどなかったのだかな) なるほどな……それで、私は中に入ってもいいだろうかギルドに依頼の報告しに行かなければいけないのだが」
私はギルドカードを渡し入る許可を求める。守備兵はカードを受け取り後ろの仲間に渡して本物かを確認させる。
「しばらく待っていてくれ、なにぶんこちらも慌ただしものでな……」
「あぁ、そのくらい構わんよ。」
カードの確認が終わるまでそんなに時間はかからんだろうと考えていると守備兵がこちらに質問をしてくる。
「ところで、お前は北の方から戻ってきた様だがあの爆発について何か知っていることはあるか?」
「さぁな、確かに大きな爆発があったようだが私が居た地点では何も異常はなかったし、その爆発があった方には向かっていないのでな」
ここで知っているといったら面倒なことになりそうなので知らないフリをしておくことに仮に知っていると答えたら質問攻めにあいそうだからだ。
「そうか……すまんな、知らないのなら別にいいんだ。」
守備兵は何も知ってはいなさそうなアイリスにそう返答するとそれ以上は話しかけてこなくなった。ちょうど守備兵が話しかけて来なくなったタイミングで後ろに居た守備兵がカードの確認を終えて特に問題がないとのことで街に入ることが許可がおりた。
「ほれ、確かに冒険者のようだし特におかしなところは無いようだし、中に入ってくれて構わんぞ。」
「そうか、なら中に入らせてもらおう」
守備兵からカードを受け取り扉をくぐって街の中に入る。街に入ると後ろで守備兵たちが扉を閉ざして元の守備位置に戻っていった。
去っていく守備兵たちを見送りアイリスも城門前から移動する。
ライラックの街は北の平原の爆発の影響なのか普段よりも外に出ている人が少なくて体格が大きなアイリスが人混みをあまり気にせずに歩ける程度の人しかいなかった。
そんな街中を歩きながらアイリスは考え事をしていた。
「ふむ、少し時間がかかったがさっさとギルドに報告をすませにいくか……あまり蔵の中に死骸なんぞ入れて置きたくもないしな……それにそろそろ飯の時間だろうしあまり遅くなると面倒なことにまた巻き込まれかねん」
原初の蔵が繋がる先の蔵は別次元になっているため中の時間は止まっているので腐ることはないのだが気分的に嫌なものは嫌なのだ。
街の中を進むアイリスはオークの死骸をさっさと処理して早くご飯をすませてしまおうと考えていた。あまり遅くにギルドの酒場に飯をもらいに行くと他の冒険者達が多くいるし、初日に少しやり過ぎたからなのかどうやら他の冒険者達から距離をおかれているらしくセシリア達が出発して最初の夜に酒場に入った瞬間に賑やかだった酒場が静かになったなんてこともあった。
「別にこちらも関わりたいとは思っていないのだが……楽しんで食事をしている邪魔をしたくはないからな」
街中をしばらく進みギルドのある南側の歓楽街にまでくると酒場などの娯楽施設があるからなのか北地区よりも人が多くなり酔っぱらいなのかふらふらと道を歩く者や喧嘩をしている者もいる。
そんな道の端を歩いていると目の前の路地からボロボロな姿の男がアイリスの前に倒れるように出てきた。
ボロ姿の男は何かから逃げている途中だったのか傷ついた身体を必死に動かしてその場から移動しようとしていた。その時、路地から何人かの男が出てきて逃げようとしていた男を取り押さえた。
「おいおい、てめぇ何処へ行こうってんだ?まだ話しわ済んでねぇぜ?」
「「そんだ!そんだ!」」
路地から出てきた男共は格好的に冒険者のようで薄汚れた革鎧を着けて腰には剣を差していた。そんな冒険者に押さえつけられた方の男は一般人なのか普通の服装しており見たところ冒険者風の連中に絡まれているようだった。
「も、もう、やめてくれ、なんでこんなことを……」
押さえつけられた男はだいぶ消耗しているのか声がかすれていてこのままだと死んでしまいそうであった。そんな男に対して周りを取り囲んでいる連中はニヤニヤと笑いながら押さえつけられた男に言葉をかけていた。
「やめてくれだ~あ?そりゃ~できないな~」
「そんだせ?あんたが俺らにぶつかってきたのが悪いんだかんな。」
「そうだそうだ、そのせいでこっちの仲間が怪我したんだから慰謝料払うって言うのが筋じゃないか~?」
見た感じ連中の中に怪我をした奴はいないようで、どうやら周りの連中に適当な理由で絡まれて金をせびられたのを逃げ出したが捕まりまた逃げ出したがまた捕まったようだ。
こんなクズを体現したような連中が私の目の前でのさばっているのを見てるとセシリア達を物扱いしたあのクズ野郎を思い出して殺したくなる。なので目の前でニヤニヤしている男共の一人の頭を掴み加減をしながらそれでも潰れないギリギリの力で握りながら持ち上げる。
「へ?アギャアアアアァァァァァ!」
「なんだ!?」
「どうした!?」
男が出した悲鳴に他の連中が一斉にこちらに振り向くそこには片手で宙に持ち上げられた仲間の姿があった。
「ふん、ゴミどもが目の前で人の言葉を喋るとはな」
ぶん!ガッシャン!
持ち上げていた男をこいつらが出てきた路地に放り投げて仲間がぶっ飛んで逝くのを呆然と見ている連中の中で近くにいる奴を両手で一人づつ持ち上げてまた路地に放り投げる。
ガッシャン!ガッシャン!
「ふん、やはりゴミはゴミ箱にいれんとな」
「って、てめぇ!なにしてんだ!」
「……なんだ、ゴミが目の前にあったら捨てるのは当たり前だろ?」
目の前にはまだ四つの人の形をしたゴミがごちゃごちゃとなにか煩いので答えてやると連中は腰から剣を抜いてこちらに構えてくる。
「てめぇ、ただで済むとおもうなよ!ずたぼろに切り裂いてゴブリンの餌にしてやる!」
連中の構えてる剣は手入れがされておらず錆だらけでとても切れるような状態ではなかった。
そんな剣を自信満々に構えるゴミ共にこちらもローブの中から宝物蔵を通して宝刀を一閃し再び蔵に戻す。
アイリスが刀を取り出し一閃する速さは光よりも速く誰も刀を取り出したことにすら気づかない
カチン
「……ゴミがどうやって私をずたぼろにするんだ。」
「っへへ、どうやってだって?そりゃこの剣を使って………」
ゴミどもが錆だらけの剣を見せつけてこようとしたようだが、ゴミどもの手には持ち手の柄部分だけで刃の部分はそこにはなく刃の部分はゴミ共の足下に根本から切られた状態で落ちていた。
「な、なんで!俺たちの剣が!」
ゴミ共は柄だけになった剣に呆然とする。そんな隙だらけのゴミ共に近づき軽く左手で裏拳をかます。
ベチン、バゴン!
「……ふん、軽く叩くだけだぶっ飛ぶゴミに刃物は宝の持ち腐れだな」
「ひぃ、ひぃぃ!」「ば、化け物!」「ガクガク、ブルブル!」
残ったゴミあと三つ、その全部がこちらを恐怖に染まる目で見ている。これではこちらが悪者のように見えるかもしれんがこのゴミ共を見逃してやろうとは一切の思わないしどうせ逃がしたところで他の場所で同じような事をするだろう、ならここでゴミ箱に叩き込んでやった方が世のためになるだろう。
ゴミ共のリーダー格以外の残った二つを両手で掴み二つ纏めて路地に放り投げる。
ぶん!ボキ、ベキョ!
「……さて、残りは一つか、」
「ひぃ!嫌だ!死にたくねぇ!」
目の前で次々と仲間のゴミ共がゴミ箱に叩き込まれていくのを最後まで見ていたリーダー格はみっともなく泣きべそをかきながら逃げ出すが……
「……逃がす訳ないだろう」
すべてのゴミをかたずけて傷だらけの男に宝物蔵からポーションを取り出し傷を治してやり回復したのを確認してアイリスは再びギルドを目指して歩き始める。
ちなみにゴミ箱に叩き込まれたゴミ共はなんとか死ぬ前に助かったが、体の骨がほとんど折れていたり激痛が体を蝕み声が出せなくなったり失明したりと死んだ方がましと思える程の苦痛が永遠と続くことになった。
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