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10:うん。初めに言っておくとね、僕は魔法使いなんだ






 昨晩はお楽しみでしたね・・・。




 オレはいま、朝早くから馬車の荷台にお邪魔している。

 空は澄み渡り、足早に流れる雲に想いを馳せる。


 (あっ子鹿だ、かわいいなぁ~。おっ、この小鳥は人懐っこい奴だな、コラッやめろ、くすぐったい・・・)



 森の動物たちはどこまでも優しかった・・・。






 昨晩。


 村長との事後処理を終える頃には、先ほどの[すれ違い]について気が付いていた。


 (べっ、別にエロいコトする訳じゃないんだからね!)


 自分への言い訳を、心の中で呪文のように呟きながら、あえて、あえて訂正はせずに離れの客室へと急ぐ。


 (いやホント、この世界の話を聞くだけだし、別にそれが女性であったとしてもなんの問題もなくて・・・)


 ブツブツと唱えながら完全に頭の中では、初めに犯されていた30代程の女性の顔が離れなかった。

 全然ストライクです。

 汚されて、、、

 いや、むしろだからこそ・・・。


 ボロボロのスラックスが、さらに破れんばかりに、パンパンに覚醒してしまった、我が邪神様をシバき、鎮めつつ、本来の目的に思考が向かずにいる。


 「キテイル!この流れは完全にキテイル!!」


 動物園のオオカミのように、部屋の中をウロウロと行ったり来たりしながら、客が尋ねて来るのをまだか、まだかと待っている。




==トントン==

 ノックされる音が聞こえる。




 よし・・・


 「いや~、わざわざ来ていただいて申し訳な・・・」


 さわやかな笑顔でドアを開けた先に立っていたのは、


 完全に[オカン]って感じの女性?だった。



 (・・・いや、このパターンも高い確率で予想はしてたけど)



 「・・・チェンジで」

 思わず小声で、そんな呪いの言葉を吐いてしまう。


 「はっ?あたしは屋敷の者だよ。英雄様にお客が来てるんだけど、通していいかい?」


 えっ、と顔を上げると、




 そこに立っていたのは、美しい女性の方々、だった・・・




 「ジーザス・・・」


 今まで言った事もないような、リアクションをとってしまう。


 どうやら村長が村人を集め、夫を殺された未亡人達に、仇を取った英雄にお礼をしたい者はいないか?と募ったらしい。


 グッジョブ村長!

 でも村人全員に女性を部屋に呼んだって知れ渡ってチョット恥ずかしい・・・




 4人の女性はみんな30代ほどで、儚く良い感じにエロい・・・。


 そして部屋に入るなり、手を握りモジモジお礼を言う者や、抱きついて感謝を表すなど、もう完全にスイッチが入っちゃっている。


 もうムードがどうのとかそんなのは無く、我が邪神様の状態を察知され、自然に戦いのゴングは、鳴ってしまっていた・・・



 うしゃしゃしゃ・・・

 えっ?

 どうすればいいの?

 手が足りないよ?

 阿修羅さぁ~ん教えてつかぁ~さい!



 そんなフィーバーモード突入したのも束の間、一人の女性がボクの邪神様に触れた瞬間、、、




 あっ・・・・




 「あっ熱・・・」「・・・・」「・・・・」「・・・・」



 「・・・・・・・」




 時が止まる・・・




 「は・・・ハハ。いや~、す、スイマセン、まだまだいくぞ~、なんて、ハハ」


 ぎこちなく、ミッキーのような笑い方で、出方を見守る。


 「そ、そうですよねぇ」

 「これからよぉ」

 「うぅぅん、美味しい」

 「あたしにもちょうだい・・・」


 時が動き出す!


 連チャンである!

 まだフィーバーは終わっていなかった!!


 しゃー!不死鳥じゃー!!

 まだまだ、これか・・・・・あっ!


 もう蛇口がバカになってやがる。

 触れられた瞬間に発射してしまう・・・



 (うっうぅぅぅ・・・我慢するのが大人なのに。ううっ、これじゃあ、これじゃあ、子供じゃないか!)




 「プッ」

 「フフフフ・・・」

 「気にしてませんよ・・・」

 「プークスクス」


 「あぁぁぁ!!!帰ってくれ!!もう帰ってくれ!!!うわぁぁぁぁんん!」


 女性たちはまだ、服すら脱いでいなかったので、そのまま部屋から追い出すように泣き叫ぶ。




 「・・・死のう・・・もう、ここで死のう」


 完全に鬱状態で数時間パンツも履かず、ただ呆然と時間だけが過ぎていく。


 (リロード・・・リロード・・・・くそっ、無理か・・・)




 どれくらいの時間そうしていただろう。


 (もうここにはいられない!行かなくちゃ!!)


 まだ暗いうちに村長の家を飛びだし、村をあとにする。


 朝日が昇り始め、振り返えると村全体を見下ろすことができた。




 「・・・・・ありがとう」

 ドヤ顔でそんなことを言いながら、一人歩き出す。




 「おーい英雄さん、これから街へと行くんじゃが一緒に乗っていかんかねぇ」


 それからすぐに馬車に乗ったおじいさんに声を掛けられた。



 (・・・知らんようだな)


 最低の疑心を抱きつつ、お言葉に甘えるのだった・・・







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