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第一話:顧問登場

5月、日の入りが遅くなり日の出が早くなって来たとはいえどもまだ肌寒い今日この頃その朝も早くにグラウンドにはちらほらとユニフォームに身を包んだ球児達がいた。



キィィィン!!


この学校は校長の趣味の農園が周りにある為近辺への騒音問題の心配は出ずに済むのでバットの音も問題はなく響き渡っていく。


「お前何考えてるんだよ。こんな打球打って時間がないんだからふざけるなよな。」


音には問題なかったが、ボールが三塁ベースの上を越えフェンスに当たったことは少し問題が残る。


「何だと。てめえもサードだったら飛びついてでも取ってやる気はねえのかよ。」

「ノックも出来ない下手糞が人の性にしようとしてんじゃねえぞ。」

「何だと。」


「ちょっと2人とも・・・。」


この会話をしているのは最近ますます中の悪くなっている正捕手で今ノッカーをしていた2年生の羽村と三塁手で同じく2年生の田崎であり、今この二人をなだめようとショートから口を挟んで巻き込まれた少年がいてその子は一年の竹橋で50メートルを5秒すれすれのタイムで走れる俊足の持ち主である。



「いつも最後は竹橋君が巻き込まれて、かわいそうに。」

「竹橋ドンマイだな。」


「ちょっ、先輩も間野君も外野で落ち着いててもいいんですか?」


上から順に三年の戸塚に一年の間野、そして試合から数日後に入った新入部員の福地でまだあまり二人の喧嘩は見慣れていない事があって毎回心配になっているのだ。福地は何かの部活には入りたかったらしく軟式の小学野球の経験がある程度でまだボールがとれる程度である。


「大丈夫だよ。2人共限度は知ってるから。」

「そうそう、それに・・・・・・光が帰って来たからもう大丈夫だろ。」



朝のロードワークに出かけていたこの野球部のエースピッチャーの森下 光が戻ってきた。


「明後日は練習試合なんですからいちゃついてないで練習して下さいよ。このままじゃ相手チームの練習になりませんよ。」

「てめえはこのチームが弱いみたいに言ってんじゃねえぞ。」

「何言ってんだよ。俺等一回戦ボーイじゃん。」

羽村は反論しようとするが、田崎は呆れた表情でやれやれと呟いた。

そしてまた喧嘩し始める。


「ど、どうしようか森下君。」

マネージャーの永谷がやってきた。


「はぁ、仕方がないな。……サード!!」

喧嘩中の二人の間をボールが駆け抜ける。

加減はしてあるが当たったら少しまずい具合の球足である。


「お前あぶねぇだろ!!」

「当たったらどおすんだ。」


「レフトナイスカバー、先輩もう一丁。」

今度はちゃんと捕球した。


「ナイスキャッチ、田崎先輩は良いですねぇ。羽村先輩はどうですか?」

こんな言い方をされて黙っていられる人ではないので「何でも来いや!!」竹橋のグラブの中を叩いて待っている。


「じゃあ外野の中継プレイ見せて下さい。外野行きますよ!!」

それからはまともな練習だった。



この高校にはこの他にキャプテンの白岡、小柄で人懐っこい二塁手の瀬谷、細見の長身で人見知りのある一塁手の相川がいて三人は基礎練習中である。


そして、朝のホームルーム前の20分まで二時間近く練習して朝は終わった。






野球部の皆は朝も早くから起きたので授業は大変であった。


放課後はグラウンドもまともなスペースをくれないのでキャッチボールをしてフェンスを使ったペアノック、バント、ティー打ち、素振り等の練習をする。


この日は練習後に中々来ない監督がやってきた。

「おーおー、精が出るねぇ。他の部の先生も熱心だって褒めてたよ。」

顧問は野球を見るのは好きだが、知識はないという佐々木というおっさんの気がある女の先生だ。


「誰のせいでこんなことになったのか分かってるんですか?」

田崎が呆れ気味な感じで言った。


「勝手に練習試合組んだのは誤っただろ〜。それに昔の同僚と酔った席ならよくある話しだよ。」

どんな話しだよ、と皆が心の中で突っ込みをいれる。


「それに野球なんて試合してなんぼでしょう。」

悪いと思って無いのがひしひしと伝わってくる陽気な先生だ。


「普通の相手なら良いんだよ。俺らみたいなどこだそこ?みたいなレベルの学校なら。なんで毎年ベスト8位まで進むところの試合を持ってくるんですか?」

田崎は皆の代弁者になって話している。


「酔ってたら持ってくるんだよ。それにこの前は勝ったらしいじゃん。何で試合があるって教えてくんなかったんだよ〜。」

「あの時は相手が弱かったから勝てたんですよ。それにアイツが居なかったらまず負けてましたし。」

「ん〜、あいつってどいつ。」


福地を見てお前か!!、と指を刺す。


「違うって、あいつならもう帰ったからいないですよ。」

「そうなん………じゃ、頑張ってね。明後日の試合には来るから。」

ふらふらっと現れた先生はふらふらっと姿を消した。



そして、皆はダウンと柔軟をやって解散した。









遂に始まりました。第二部です。


皆さんに楽しんで読んいただけたらと思います。

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