表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/21

漂着


「ホントに島だったんだな……」

「ボロいです」


 収容所地下の洞窟をボートで抜けた先は、やはりというか海であった。

 少しばかり沖に出た所で振り返ると、見えたのはボロっちい建物だ。


 中だけ見栄えを良くして、外は手を抜いたのだろう。大人の事情ってやつだ。


「──で、どちらに向かうんです?」

「んー、秋守の野生の勘では?」

「……出入口は陸の方を向いていると考えると、西の方角ですかね」


 と言いつつ、秋守はフサフサの尻尾で西の方角を指し示した。かわいい。

 まあ、他に当てになるものはないし、同じ方向に進んでおけばいつかは陸にたどり着けるだろう。


「んじゃ、コンパスを創造してっと……」


 一瞬、この異世界でコンパスが使えるのかと思ったが、杞憂に終わった。

 普通に使えるみたいです、はい。


「さて、CPは何に使うかな……」


 飲食などは創造でまかなうつもりだし、その旨は秋守にも伝えていた。

 一度の食事に使うCPは一人当たり2~3程度。安牌を切って100日間分は必要と考えると、600ほど余らせておけば大丈夫だろう。

 それに、最終手段ではあるが、俺が自殺すればCPが10手に入るわけだしな。


 てか、クラスメイト皆殺しにした後にCPを確認してないな。

 ステータスをCPに還元する際のアナウンスを延々と聞いていたが、最終的にどれほど集まったのか確認してなかった。



──────────

名前:名瀬なぜ雪兎ゆきと

年齢:17

Lv:0

種族:人間(男)

職業:なし


~能力値~

器用値:0(+200)

敏捷値:0(+200)

魔力値:0(+300)

知力値:0(+200)

筋力値:0(+200)

生命力:0

精神力:0


固有スキル

『無への還元』(CP:41103)

『有の創造』

共有スキル

『剣術Lv.Max』『風魔Lv.Max』

『咆哮』『癒魔Lv.Max』

───────────



「うわ……」


 めっちゃ貯まってるやん。

 まあ、20人以上いるクラスメイト全員から吸い取ったらこうなるわな。

 もう少し稼げば、レーヴァテインを創造できるほどのCPだ。


 さて、何に使うか。


 ちなみに、『癒魔Lv.Max』を習得しているのは、ステータスの還元中にクラスメイトが死にかけてたからである。

 そりゃ、足を切り落とされれば、失血やら痛みやらでショック死してもおかしくないもんな。全員からCPを頂戴するには必要だった。


「てか、遅いな」

「すみません」

「いやまぁ、手漕ぎだから仕方ないんだけどな」


 うん、秋守にボートを漕がせている俺が、文句を言える立場じゃないしね。

 それに手漕ぎだと速度にも限界があるだろう。


「それじゃ、これだな……スキル『水魔Lv.Max』を創造──」


 早速、新たな魔法を創造する。

 何に使うのかはお察しの通りだ。


「潮流操作──」


 俺がイメージを乗せて、魔力を海水へと送り込むと、船がひとりでに動き始めた。その速度は、魔力を込めれば込めるほどに速くなり──


「は、速くないですか!?」

「あーうん、速いな」


 秋守が慌てる程度には速くなった。

 その速度は絶叫マシン並の速さであり、絶叫系が苦手なのか秋守は俺の袖に掴まる。


 うお……ッ!


 推定身長150cm以下であり小柄な印象の秋守だが、その胸の膨らみは相当なものだ。

 もう死んだが、クラスメイトの男子達もクラストップレベルなのではと噂するほどの双丘が俺の腕に───


「やめてくださいッ!」

「えぶしッ!?」


 はい、叩かれました。

 体の耐久性とほぼ同義である生命力。それがゼロである俺は首が一回転しかけましたとも、ええ。


「し、死ぬところでした……」

「俺は死んだけどな」


 秋守は息も絶え絶えといった様子だ。

 てか、ボートん中に入った水が妙に生あたたかいような……。


「まさか、秋守……」

「なんでしょうか?」

「いえ、何でもありません」


 真実を追求しようかとも思ったが、秋守の怒気に負けて聞くことが出来なかった。いつもと同じ声、表情だというのに怒りのオーラがヒシヒシと伝わってくるのだ。怖いね。

 うん、むしろ秋守のだったら聖水と同じだよ。俺は気にしないさ。


 さすがに今度は自重して、そこそこの速さでボートを進める。

 体感で言えば時速30km程度。

 魔法のおかげで、波も抑えることができるようで乗り心地は素晴らしく、船酔いの心配もなさそうだ。





「トイレはどうしましょう」

「海の中に……って、女の子は厳しいよな」


 そういや、さっき秋守は漏ら……してたから小さい方はでないはずだ。

 ま、まままさかッ!?

 いや、秋守は大きい方なんてしないよ。だって、秋守だもん。


「俺が『風魔』で空を飛んでおくから、その間に済ませてくれ」

「分かりました」


 思春期男児としては、覗きたい気持ちでいっぱいなのだが自重する。

 なんというか、覗けば確実にバレる自信があるからだ。獣人となった秋守の察知能力は侮れないものがある。


 10分ほどして戻ろうとしたが──


「まだですっ!」

「グハッ!?」


 剣を投げつけられ俺は海に沈んだ。

 なかなか浮上してこない俺を秋守が潜って救助するまで、何度溺死したかは覚えていない。

 ただ、CPが30も増えてたよ!


 生命力……上げとこう。




***




 航行二日目にして、ようやく陸が見えた。

 暇すぎて最後の方ではオセロをやってたよ。


 ただ、1日目の夜に遭遇した、サメのような魔物には冷や汗をかかされた。問題なく倒すことができたのだが、ボートに食いつかれて穴が空いたからな。

 まあ、創造ですぐに新しいボートを作ったから問題はなかったが。


 さて、到着したのは何も無い海岸だ。


 砂浜があり、その先には森が見える。

 海岸線はかなり遠くまで続いているようだし、もしかしたらここは大陸なのかもしれない。


「とりあえずは、人の生活圏を目指すか」

「そうですね。布団かベッドで寝たいところです」

「欲しいなら出すけど?」

「……そういう意味じゃありません」


 冗談だよ、冗談。

 俺もそろそろ、屋根のある場所で寝たい気分だ。


「それじゃあ、どっちに行く? 海岸線沿いに行くか、森を進むかだけど」

「海岸線沿いですね。港を探しましょう」

「あいよ」


 そんなわけで、海岸線沿いに進むことにした。

 日がかなり照っているため、秋守には日傘を渡してある。

 ボートにいる時に渡していたものだが、やはり黒髪と白い肌の対比ってのは綺麗だからな。日焼け止めも渡しておこうかな。


「ん……魔物です」

「そのようだな」


 まだ遠いが、俺にも魔物の陰が見えていた。海岸線をこのまま歩けば、程なく遭遇することだろう。


「どうする? 避けるか?」

「暇ですし、倒してしまいましょう」


 あら、そうですか。

 秋守は思ってたより血の気が多いようだ。

 クラスメイトを皆殺しにした俺が言えることじゃないけどな。




「カニだな」

「カニですね」


 その魔物はカニそのものだった。

 まあ、その大きさは人の腰ほどの高さがあるせいで、化け物にしか見えないけどな。


「んー、安全策をとって『鑑定』でも創造しとくかな」


 鑑定とはスキル百科に載っていたスキルのひとつだ。使用した対象の情報を読み取ることが出来るらしい。

 早速創造して、使用してみる。


──────────

個体名:ビッグクラブ

Lv:7

~能力値~

器用値:21

敏捷値:19

魔力値:8

知力値:10

筋力値:78

生命力:45

精神力:17


固有スキル

『剪断Lv.3』

共有スキル

『水魔Lv.1』

───────────



 弱い……のか?


 俺たちと比べれば普通に弱いのだが、強さ的にはこの世界ではどのくらいの立ち位置なのだろう。


「行ってきます」


 あ、俺が悩んでいる間に、秋守がカニへと襲いかかった。

 甲殻を打ち砕く蹴りで一撃である、南無三。


「手応えが無いですね」

「だろうな」


 多分、召喚直後の秋守でも余裕で勝てるレベルだろう。

 俺だと何度も殺されてただろうけどな。




 そうして、歩きながらもカニを殺して殺して殺し続けること3時間。

 ようやく、港町が見えてきた。

 まあ、見えてるだけでまだ離れている。あと一時間は歩かなければならないだろう。


 ふと、秋守のことが気になった。

 そういえば、ステータスを教えてもらったのは、今の獣耳や尻尾がない時のものだ。今はどうなってんだろ。

 鑑定もあるし、覗いてみるかな。


「鑑定──」



──────────

名前:秋守あきもり紅葉くれは

年齢:16

Lv:54

種族:人間(女)

職業:なし


~能力値~

器用値:789

敏捷値:1458

魔力値:562

知力値:501

筋力値:693

生命力:409

精神力:372


固有スキル

『【獣】の解放者』

共有スキル

『剣術Lv.6』『体術Lv.5』

『回避Lv.5』『風魔Lv.4』

『気配察知Lv.4』『気配遮断Lv.3』

『追跡Lv.1』『投擲Lv.1』

───────────



「は?」

「どうしました?」

「いや、なんでもない……」


 思わず驚きが声に出てしまっていた。いかんな。

 だが、驚くのは無理もないだろう。

 秋守さん、強すぎんだもん。

 敏捷値なんか、前回見た時の10倍は超えている。他の能力値も凄まじい上昇率だ。

 スキルの方も順調に伸びているようだし、もしかしなくても俺より強いんじゃ……。


 よし、俺も能力値を上げておこう。

 秋守を守ってやれるくらいでなければ、男が廃るってもんだ。

 CPを全てつぎこんでも、もったいなくはないだろう。


「能力値を創造──」


『能力値全てを創造します。必要CPは能力値1につき1です』


「ありったけのCPを均等に割つけろ」


 よし、これでいいはずだ。

 はっきり言って、今欲しいスキルもないしな。

 あ……食事取れねぇじゃん。こりゃ、自殺で稼ぐかな。


 そんなことを考えつつ、自分のステータスを改めて確認する。



──────────

名前:名瀬なぜ雪兎ゆきと

年齢:17

Lv:0

種族:人間(男)

職業:なし


~能力値~

器用値:0(+1000)

敏捷値:0(+1000)

魔力値:0(+1000)

知力値:0(+1000)

筋力値:0(+1000)

生命力:0(+1000)

精神力:0(+1000)


固有スキル

『無への還元』(CP:35120)

『有の創造』

共有スキル

『剣術Lv.Max』『風魔Lv.Max』

『水魔Lv.Max』『咆哮』『癒魔Lv.Max』

『鑑定Lv.Max』

───────────



 ありゃ?

 全てのCPをつぎ込んだつもりなんだが、失敗したのか?

 仕方ないので、再度創造してみる。


「能力値を創造──」


『ひとつのスキルで加算できる最大能力値は、各能力値ごとに1000までとなっています』


「マジかよ……」

「何を言ってるんです?」

「いや、何も」


 『有の創造』……このスキルさえあれば、無限に強くなれると思っていたがそこまで甘くはないらしい。

 まあ、それでも各能力値が1000もあるというのは十分心強いしな。我慢するとしよう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ